【更新】会計士は起業すると成功しやすい!?会計士起業家の活躍状況まとめ(2020年9月更新)



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日本でもここ数年、スタートアップ・ベンチャー業界が活況ですが、そんな中で、公認会計士出身者で、起業して活躍している方たちをまとめてみました!

今回は、会計・税務の分野にとらわれず“非会計分野”で独立し活躍している会計士起業家の皆さんの魅力に迫ります。

1:渡辺 祐樹(わたなべ ゆうき)氏

SENSY株式会社(旧社名 カラフル・ボード株式会社) 代表取締役CEO

公認会計士。そして起業へ

渡辺氏は、2005年に慶應義塾大学理工学部を卒業後、フォーバルに入社。その後、IBMビジネスコンサルティングサービスにて戦略コンサルタントとして製造業・サービス業の事業戦略策定、組織再編、業務変革などに従事。2009年コンサルティングファーム在籍中に1年で公認会計士試験に合格。2011年にカラフル・ボード株式会社(現:SENSY株式会社)を設立し、代表取締役に就任されています。

SENSYの事業サービス

SENSY株式会社は、1人ひとりの感性を個別に解析するパーソナル人工知能「SENSY」の開発とサービスを提供しています。ユーザーの日々の行動やチャットなどのコミュニケーションを通じて、ユーザーひとりひとりの感性を学習してくれます。

この人工知能「SENSY」を元に、顧客ごとにパーソナライズしたマーケティングを実現する「SENSY Marketing Brain (MB)」と、顧客単位・アイテム単位で売上を予測し、商品発注・仕入などのMD計画を最適化する「SENSY Merchandising (MD)」の2サービスを提供しています。

大手アパレル企業や化粧品通販企業の他、金融業界のチャットボットシステムにも幅広く利用されています。

SENSYの資金調達状況

SENSY株式会社は、これまで2015年4月、2016年10月、2017年4月、2020年8月の4回にわたり資金調達を行っています。

2015年4月は、ACA株式会社(本社:東京都千代田区 代表取締役社長:東明浩)が運営するファンド「アジアグロース2号投資事業有限責任組合」や国内事業法人などを引受先とする第三者割当増資により、1.4億円の資金調達を行っています。

2回目は2016年10月7日、代表取締役CEOである渡辺氏の母校、慶應義塾大学のベンチャーキャピタル「慶應イノベーション・イニシアティブ」の第1号投資案件として、2016年10月7日に慶應イノベーション・イニシアティブが運営するベンチャーキャピタルファンドを引受先とする第三者割当増資により、資金調達を実施しました。このラウンドで資金調達総額、約3億円になったとのことです。

3回目は、株式会社はるやまホールディングスグループの株式会社ミック、株式会社TSIホールディングス、株式会社ヴィンクスの3社を引受先とする第三者割当増資、並びに日本政策金融公庫の資本制ローン及び新株予約権付融資制度を活用したファイナンススキームにより、総額8億円超の資金調達を実施しています。3回のラウンドで、SENSY株式会社の累計資金調達金額は11億円を超えました。

4回目は、2020年8月で、三菱商事株式会社と、小売分野におけるAI活用を共同で推進していくべく、資本業務提携を締結しています。SENSYは、アパレル業界からサービスをスタートしましたが、他業界へと実績を広げています。このラウンドで、資金調達累計額は11.4億円にのぼっています。

2:緒方 憲太郎(おがた けんたろう)氏

株式会社 Voicy 代表取締役CEO

公認会計士。そして起業へ

緒方氏は、大阪大学基礎工学部電子物理工学科を2003年卒業。その後、大阪大学経済学部経営学科を2006年卒業しています。

卒業と同じ2006年に新日本監査法人大阪事務所に入所し、2010年に公認会計士登録。その後、2012年にErnst&Young NewYorkに入所。帰国後2014年にトーマツベンチャーサポート株式会社に入所し、300社を超えるベンチャー企業をハンズオン支援しています。

2016年に株式会社Delight Designを設立、スタートアップ数社の顧問アドバイザー、ベンチャーキャピタルのハンズオンアドバイザーを兼任しつつ,自らのITスタートアップである株式会社Voicyを設立し、代表取締役CEOに就任しています。他、役員兼任多数。

Voicyの事業サービス

Voicyの事業サービスは、クラウド放送局スマートフォンアプリ「Voicy」です。2016年9月23日よりAppStoreにて配信開始しています。

ビジネスの専門家やその道のプロ、ミュージシャンや著名人など、厳選されたパーソナリティによる“声のブログ”やニュース、ラジオのような放送が聴ける新しい音声メディアです。

好みの分野の情報を、好みの声を選んで聞くことができます。また、読まれる記事は、Voicyが厳選して提携した信頼性のある大手メディアやバラエティに富んだ雑誌等から、ジャンルも経済・社会からグルメ・エンタメまで幅広く用意されています。

新聞や雑誌を買わなくても興味のある情報を知ることができる上に、好みの声を選んで聞けるオリジナリティもいいですね。

Voicyの資金調達状況

株式会社Voicyは、これまで2017年3月、2018年2月、2019年2月、2019年3月の4回にわたり資金調達を行っています。

設立翌年の2017年3月に12名のエンジェル投資家から出資を受けています(調達額不明)。平澤創氏(株式会社フェイス代表取締役社長)、島田亨氏(元楽天株式会社副社長)、谷家衛氏、高野真氏、須田仁之氏、その他Voicyとシナジーのある事業会社のCEO5名及び、技術顧問2名が出資者となっています。

投資による資金面だけのサポートではなく、ビジネス面での連携も強化していくことが期待されています。

2回目は、2018年2月に、佐藤裕介氏(ヘイ代表取締役社長)、川田尚吾氏(DeNA共同創業者)、堀 義貴氏(ホリプロ代表取締役)など16人の個人投資家に対する第三者割当増資で2,800万円を調達しています。組織体制を強化し、「VoiceTechカンパニー」としてさらなるサービス拡大を目指すということです。

3回目は2019年2月、グローバル・ブレイン、D4V、TBS、電通などにに第三者割当増資を行い約7億円の資金調達を実施しています。技術組織の増強や、新しい音声コンテンツの開発、ブランディングや企画を目的としています。

4回目は、2019年3月に、ABCドリームベンチャーズ、文化放送、千葉功太郎氏、田端信太郎氏、名前非開示の個人投資家3名が参加し、約1.2億円を調達しています。今回のラウンドで調達額は8.2億円に上ります。資金は、新しい音声コンテンツの開発などに充てられるということです。

3:関 洋二郎(せき ようじろう)氏

株式会社 xenodata lab.(ゼノデータラボ)代表取締役社長

関洋二郎

画像引用元:カブドットコム証券

公認会計士。そして起業へ

慶應義塾大学商学部在学中に公認会計士2次試験に合格し、在学中2007年12月よりあらた監査法人(現:PwCあらた有限責任監査法人)にて、システム監査、データ監査業務など、IT統制を経験しています。2012年に株式会社ユーザベースに入社。アジア最大級ビジネスプラットフォームであるSPEEDA事業の事業開発部責任者として活躍後、2016年2月にゼノデータラボを設立し、代表取締役社長に就任しています。

ゼノデータラボの事業サービス

投資情報をチェックしている人は、知らないうちにゼノデータラボのサービスを利用しているかもしれません。

ゼノデータラボが提供しているサービスは、言語を理解する財務分析AI開発です。「xenoFlash」は独自の自然言語解析・PDF解析技術により自動生成されたレポートで、決算発表後瞬時に企業の決算発表内容の定性情報を高速で自動分析するレポートサービスです。

2017年7月から、カブドットコム証券向けに、決算短信の自動分析レポートサービス「xenoFlash for kabu.com」の提供を開始しています。これにより、個人投資家でも中小型銘柄の分析的情報が見られるようになりました。

また2018年11月からは、ニュース解析による将来予測AIサービス「xenoBrain」をリリースしています。日々配信される最新ニュースをAIが自動で解析し、需要動向や素材価格への影響を総合的に評価したスコアを提供するサービスです。新型コロナウイルスに関するニュースからもAI予測し、アフターコロナの世界経済を読み解きます。

ゼノデータラボの資金調達状況

ゼノデータラボは、これまで2017年2月、2017年11月、2019年3月の3回にわたり資金調達を行っています。

2017年2月に、株式会社三菱東京UFJ銀行、株式会社帝国データバンク、カブドットコム証券株式会社、三菱UFJキャピタル株式会社を引受先とした第三者割当増資により、総額6,000万円の資金調達を実施しています。

この資金調達で7月にカブドットコム証券向けのサービス開始。今後は出資者である帝国データバンクの未上場企業情報を用いて、銀行業務を含む幅広い分析シーンの自動化も進めていくということです。

2回目の資金調達は、2017年11月に行われています。DBJキャピタル、三菱東京UFJ銀行、帝国データバンクほか8社を引受先とした第三者割当増資により、総額2.5億円の資金調達を実施しています。ゼノデータラボの技術の実用化、事業化を目的とした業務提携が行われています。

3回目は、シリーズBラウンドで2019年3月25日に7.8億円を調達しています。慶應イノベーション・イニシアティブ、第一生命保険、時事通信社、ジャパンインベストメントアドバイザー、ナントCVCファンド等、合計13社および藤野英人氏(レオス・キャピタルワークス代表取締役社長)等4名の個人を引受先とした第三者割当増資で6.8億円の資金調達と、1億円の融資を実行しています。この資金は「xenoBrain」の機能・コンテンツ拡充に充てられます。

今回の調達で、ゼノデータラボの累計調達額は10億円に達しています。

4:加茂 雄一(かも ゆういち)氏

株式会社CaSy 代表取締役CEO

公認会計士。そして起業へ

大学を卒業してから31歳で会社を創業するまで、会計士としてIPOや株式上場のコンサルや監査業務を行っています。

2011年にグロービス経営大学院に入学し、ベンチャー・キャピタル・ファイナンスのクラスを受講。授業でチームを組んで家事代行のベンチャー企業の創業を提案。その時のチームメンバー3人で、2014年に実際に家事代行のCaSyを起業しています。

CaSy (カジー)の事業サービス

株式会社CaSy (カジー)の事業サービスは家事代行サービスですが、料金水準・利便性・品質の面で、従来の家事代行のイメージを覆すサービス内容になっています。

サービス料金が業界最安値水準になっており、定期的に利用するなら週に1回で1時間2,190円、必要なときだけのスポットでも1時間2,500円で利用することができます。この値段なら、家事を少し休みたいときにも気軽に利用することができますね。

また、通常であれば利用に際して、営業マンによる見積もりや打ち合わせなどがありますが、カジーではスマホ登録をすれば24時間365日、簡単に予約・キャンセル・変更ができます。また、急ぎのときは頼んでから3時間で来てもらうことも可能です。生活リズムが不規則な人でも、自分のリズムで依頼することができます。

自分の家に来てもらうので、どんな人が来るのかも気になるポイントですね。スタッフの選抜は面接と審査を行っており、訪問前にスタッフの評価や自己紹介を確認することができます。また同じ人に来てもらいときは指名することもできます。

普段忙しくて家事に手が回らない方はもちろん、家族からお母さんへ家事代行プレゼントというのも素敵ですね。

また、2020年4月3日から、新型コロナウィルスの流行に対応して、学校や保育・介護関係、病院、企業等の大型施設から一般住居の「除菌清掃サービス」を開始しています。

不特定多数の人が利用する施設では、専門スタッフが対応して除菌してくれるとなれば、安心して利用できそうですね。

CaSy (カジー)の資金調達状況

株式会社CaSy (カジー)は、2014年6月16日に、起業スペシャリスト集団BEENOS(ビーノス:株式会社ネットプライスドットコム 本社:東京都品川区北品川、代表取締役:佐藤輝英、以下、BEENOS)を引受先とする第三者割当増資を実施しました(調達額不明)。

調達した資金は、プロダクト開発・カスタマーサポート・マーケティング活動等を加速させ、サービスの向上に利用される予定とのことです。

5:安田 瑞希(やすだ みずき)氏

株式会社ファームシップ 代表取締役

画像引用元:Morning Pitch

公認会計士。そして起業へ

花卉専業農家に生まれ、明治大学農学部で施設園芸を専攻。

卒業後、米国オレゴン州のOregon Roses, Inc.にてバラの生産管理及び販売業務に従事。帰国後に公認会計士資格を取得、2007年より新日本有限責任監査法人の国際部に入所して、監査業務及びアドバーザリー業務を担当しています。監査法人を退職後、外資系大手メディアにてオンラインメディアビジネスの経営企画、事業開発マネージャーとして事業推進をされています。

2014年3月に株式会社ファームシップを設立し、代表取締役に就任しています。

ファームシップの事業サービス

株式会社ファームシップは、農業×ICT×流通ベンチャーです。食料不足や食料廃棄といった食料生産、食料流通に関する社会的課題を、ICTをはじめとした最先端テクノロジーを活用して解決することを目的として設立されました。

ファームシップのサービスは、大きく流通事業、技術開発事業、人材事業、事業開発事業の4つの事業に分かれています。

技術開発事業では、生産から加工までを一体で行えるラインを備えた生産加工一体型植物工場、光技術による野菜の長期鮮度保持処理技術の開発などを行っています。

農業のイメージを刷新する、新たな農業ビジネスを展開しています。

ファームシップの資金調達状況

株式会社ファームシップは、これまで2015年7月、2019年5月、2019年8月の3回にわたり資金調達を行っています。

みやこキャピタル株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役:山口哲史)、株式会社リバネス(本社:東京都新宿区、代表取締役CEO:丸幸弘)等より総額約1億円の資金調達を実施したことを、2015年7月20日付のプレスリリースで発表しています。

この資金は、富士Labに併設した完全閉鎖型植物工場において、新たな品種の栽培方法の開発、最適な栽培用資機材の開発、植物工場用センサーの開発や、環境監視・制御システムを含む運営管理システムの開発・機能強化に取り組み、『植物工場事業』と『農業データサイエンス事業』の強化などに使われるそうです。

2回目の資金調達は、2019年5月14日付で、初回と同じく株式会社リバネスを引受先とする第三者割当増資です(調達額不明)。アライアンスの強化、栽培技術の向上や小規模栽培ユニットに関する技術開発、自働AIロボットなどの研究開発などを資金使途としています。

3回目は、2019年8月20日付で、小橋工業株式会社(本社:岡山県岡山市南区 代表取締役:小橋正次郎 以下「小橋工業」)を引受先とする第三者割当増資を実施しています(調達額不明)。両社は業務提携を行い、自動収穫機など、植物工場の自動化に向けた機械設備の共同開発を進めるとしています。

6:宮地 俊充(みやち としみつ)氏

株式会社Boot home 代表取締役社長、株式会社ティーンスピリット 代表取締役社長、元:株式会社ベストティーチャー 代表取締役社長

画像引用元:TECH WAVE

公認会計士。そして起業へ

2007年、公認会計士試験合格。あらた監査法人(現:PwCあらた有限責任監査法人)でIFRSコンバージョン業務、監査業務に従事。その後、GCAサヴァイアングループにてM&Aアドバイザー、事業再生などを行っています。2011年にベストティーチャーを設立し代表取締役社長に就任。翌年2012年5月11日にサービスを開始しています。

宮地氏は、大学在学中は「電波少年的放送局企画部 放送作家トキワ荘」に出演するなど、放送作家・脚本家として活躍したという異色の経歴を歩まれています。

宮地氏の、大学生時代から起業するまでの詳しい経緯は、

をご覧ください。

また、第1回・公認会計士ナビonLive!!「FAS・コンサルティグ」「ベンチャー・スタートアップ」についてのトークセッションの中で、宮地氏に会計士のスタートアップへの転職についてお話を伺っています。詳しくは、過去記事

をご覧ください。

ベストティーチャーの事業サービス

ベストティーチャーは「自分が普段話している日本語をすべて英語にすれば、英語は話せるようになる」というコンセプトに基づいたオンライン英会話レッスンです。

通常のSkype形式のオンライン英会話と異なり、自分が話したいことを書き講師が添削するWritingレッスンと、その英文をもとに会話するSkypeレッスンの2種類が用意されています。自分が話したい会話文を書いて話して丸暗記することで、英語が話せるようになるというレッスン法です。

講師は50カ国以上470名程度が在籍しており、お気に入りの講師を選んで受講することができます。仕事が忙しくて英会話スクールに通えない人も、ネット環境さえあれば毎日24時間レッスン受講なので便利ですよね。

ベストティーチャーの資金調達とEXIT

株式会社ベストティーチャーは、これまで2012年1月20日と2013年3月15日の2回のラウンドでベンチャーキャピタルからの資金調達を行っています。また、2016年8月2日付けで、代ゼミグループ・SAPIX YOZEMI GROUPにEXITしました。EXIT後も、引き続きベストティーチャーの代表として経営を行っていましたが2017年末に退任し、個人ではエンジェル投資などの活動も行っています。

資金調達からEXITまでの詳細は、

で紹介しています。

第2の起業、ティーンスピリットによるエンタメ事業への進出

宮地氏は、2018年、2度目の起業として「株式会社ティーンスピリット」を設立。女性ダンスボーカルグループ「スペシャルナイト」のプロデュースや、音楽・映像などの制作やインターネットを活用したプロモーション事業を行っています。

宮地氏に、会計士試験合格後の10年についてお話を伺っています。詳しくは、過去記事

をご覧ください。

2020年5月、コロナ禍の新ビジネスはオンラインフィットネスクラブ “Boot home”

宮地氏は、2020年5月、3度目の起業として「Boot home 」を設立。『フィットネスを通して、世界を繋ぐ』をコンセプトに、オンラインフィットネスクラブの企画・開発・運営を行っています。24時間365日開講で、1レッスン25分で、ビデオ通話アプリZoomを使ってライブレッスンを提供します。

7:高谷 元悠(たかたに もとひろ)氏

BEC Inc. 代表者CEO

高谷 元悠(株式会社BEC CEO/公認会計士試験合格)

公認会計士。そして起業へ

2011年、20歳という若さで公認会計士試験論文式に合格。その後、大手監査法人に入所し、IPO支援、内部統制構築支援、M&A、上場企業の監査を担当されています。

サイバーエージェント主催のアントレプレナーイノベーションキャンプにて、チーム優勝。2014年1月に、当時サイバーエージェントに在籍していた黒瀬氏(BEC・CTO)とともに株式会社BECを設立しています。

BECの事業サービス

株式会社BECでは、クラウド労務管理サービス「Gozal(ゴザル)」を提供しています。

Gozal(ゴザル)は、雇用、勤怠、給与、退職などすべての労務管理ができるクラウドサービスです。

労務管理は法令順守が求められ専門知識も必要ですが、スタートアップや少人数の会社では、労務管理に人員を割く余裕がないケースが多いと思います。Gozalを導入したスタートアップの中には、労務管理にかかる月次作業量が10分の1になったという企業もあるそうです。

BECの資金調達状況

株式会社BECは、これまで2014年と2016年の2回のラウンドで、ベンチャーキャピタルから資金調達を実施しています。

まず2014年は、株式会社サイバーエージェント・ベンチャーズ(本社: 東京都新宿区、代表取締役社長: 田島聡一)が運用するCA Startups Internet Fund2号投資事業有限責任組合を引受先とする第三者割当増資による資金調達を実施しています(調達額不明)。

この調達資金の使途は、開発体制の強化や、バックオフィス課題の解決のための「インフラ」構築などに利用されるようです。

    また2016年は、

    • 株式会社サイバーエージェント・ベンチャーズ(本社: 東京都新宿区、代表取締役: 田島聡一)が運用するCA Startups Internet Fund 2号投資事業有限責任組合
    • ベンチャーユナイテッド株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:金子 陽三)が運用するDACベンチャーユナイテッド・ファンド1号投資事業有限責任組合
    • 株式会社クレディセゾン(本社:東京都豊島区、代表取締役:林野宏)のコーポレートベンチャーキャピタルである株式会社セゾン・ベンチャーズ(本社:東京都豊島区、代表取締役:三浦 義昭)
    • 株式会社Speee(本社:東京都港区、代表取締役:大塚 英樹)

    の計4社を割当先とする、総額約1億円の第三者割当増資を実施しています。

    高谷氏については、公認会計士ナビのイベントに登壇頂いた際の下記の記事

    もご覧ください。

    8:大野 拓海(おおの たくみ)氏

    株式会社クラフル 代表取締役社長

    公認会計士。そして起業へ

    2011年に公認会計士試験合格。合格後は経理・IPO準備、会計コンサルティングなどの実務を経験しながら、2015年3月、株式会社クラフルを設立し、代表取締役社長に就任されています。

    大野氏の詳しい経歴については、公認会計士時代から起業するまでの詳しい経緯は、

    をご覧ください。

    第5回 公認会計士ナビ on Live!! in 大阪のトークセッション~関西出身会計士たちが語る会計士のベストキャリアとは!?~では、大野氏にもご登壇いただき起業への道のりを語っていただきました。詳しくは、過去記事

    をご覧ください。

    クラフルの事業サービス

    株式会社クラフルは、Craful(クラフル)、Handful(ハンドフル)のふたつのサービスを運営しています。

    Craful(クラフル)は、ハンドメイド作品の写真・アイデア・作り方などを共有するCGM型プラットフォームです。作ったハンドメイド品の写真とアイデアを投稿すれば、ハンドメイドの想い出として残せて、他のユーザーと共有することもできます。

    一方で、Handful(ハンドフル)は、ハンドメイドやものづくりをしたいという創作意欲をたくさんの方へ届けるWebメディアです。

    クラフルの資金調達状況

    2017年2月28日付で、株式会社エスネットワークス、株式会社コロプラネクストが運営管理する「コロプラネクスト次世代起業家ファンド」、株式会社サンブリッジコーポレーションが運営管理する梅田スタートアップファンド1号投資事業有限責任組合、大和企業投資株式会社が運営する大和スタートアップ支援投資事業有限責任組合の計4社を割当先とする第三者割当増資を実施し、総額3,960万円を調達したと発表されています。

    資金は、ユーザー獲得及びサービスの成長のために、エンジニア採用、認知拡大へ向けたマーケティング施策の実施、オリジナル商品の開発、Webメディアの編集体制を強化などに充てられる予定とのことです。

    9:佐藤 淳(さとう じゅん)氏

    株式会社Stayway 代表取締役CEO

    第6回 公認会計士ナビonLive!!佐藤氏

    公認会計士、経営コンサルティング、そして起業へ

    2007年、東京大学経済学部経営学科卒業に有限責任監査法人トーマツに入所。日本及びアメリカにおいてIPO支援業務・財務DD・監査業務・会計コンサルティング・海外展開の市場調査などの実務を経験。2015年、YCP Holdingsに参画し、事業戦略の策定・新規事業立ち上げ・アライアンス支援など幅広く従事。2017年7月に株式会社Stayway(ステイウェイ)を設立し、代表取締役CEOに就任されています。

    佐藤氏はYCP Holdings在籍時に公認会計士ナビのイベントにも登壇頂いています。

    Staywayの事業サービス

    株式会社Staywayは、ホテル・旅館・民泊を含む、宿泊施設検索・比較サービス「Stayway(ステイウェイ)」を運営しています。

    Staywayは、世界100国以上20,000都市以上の、民泊・貸別荘・ホテル・民宿・コンドミニアム・コテージ・古民家・マンスリーマンション・シェアハウス・ゲストハウスの検索が可能です。提携パートナーは、Booking.com、Expedia、agoda、Trip.com、HomeAway、RakutenTravel、一休.com、Hotels.com、WIMDUなど多数。

    Staywayの資金調達状況

    Staywayは、2019年130日付で、株式会社エボラブルアジア、元マネーフォワード取締役浅野千尋氏、株式会社VOYAGE VENTURESを引受先とした資金調達について、プレスリリースを発表しています(金額未公表)。

    資金は、システム開発とサービス提供体制強化のための人材獲得に充てられるとともに、インバウンドへの対応、トラベルD2Cとして独自ブランドの宿泊施設プロデュースを展開していく予定とのことです。

    10:沼澤 健人(ぬまさわ けんと)氏

    株式会社Aerial Partners 代表取締役CEO

    会計士になってわずか2年で起業家へ

    2010年、慶應義塾大学商学部卒業。同年、公認会計士試験に合格。2012年3月に慶應義塾大学大学院商学研究科修士課程を修了後、翌月4月より有限責任あずさ監査法人に入所し、監査業務やM&A業務に従事。2014年8月有限責任あずさ監査法人退職後、アプリ開発等を手掛けるtaskey株式会社を創業。2016年12月から会計コンサルティング事業等を行う株式会社Atlas Accounting CEOにも就任。2017年に株式会社Aerial Partnersを創業されています。

    Aerial Partnersの事業サービス

    株式会社Aerial Partnersは、仮想通貨の取引支援事業を行っています

    仮想通貨税務サービスでは、複雑な税務計算をサポートするソリューションの提供、仮想通貨に精通した税理士の紹介サービス『Guardian』、仮想通貨取引のサポート・システムを提供しています。

    また、ICO(Initial Coin Offering=仮想通貨を発行することによる資金調達手段)支援では、証券法規や資金決済法規による各種規制への対応、ICOを行うためのスマートコントラクトの実装、トークンの設計等を支援しています。

    Aerial Partnersの資金調達状況

    Aerial Partnersは、2017年11月と2019年2月の2回にわたり資金調達を行っています。

    初回は、2017年11月22日付で、家入一真氏(株式会社CAMPFIRE 代表取締役社長)、石倉 壱彦氏(株式会社3ミニッツ 取締役 CFO)、日本テクノロジーベンチャーパートナーズ他2名を引き受け先とした、第三者割当による新株予約権の発行を実施した5,000万円の資金調達について、プレスリリースを発表しています。

    資金は、仮想通貨税務に精通した税理士紹介と、仮想通貨取引の記帳代行を中心とた仮想通貨保有者における確定申告の総合的サポートサービスである『Guardian』の提供に使われる予定とのことです。
    す。

    2回目は、2019年2月14日付で、ヤフーの子会社で、仮想通貨・ブロックチェーン事業などを手がけるZコーポレーションから約1億円の出資を受けて資本提携するとともに他からも出資を受け、総額約1億8,000万円の資金調達について、プレスリリースを発表しています。

    資金は、仮想通貨の損益計算ソフト『Gtax(ジータックス)』の開発体制強化に充てられるほか、『Guardian』のサービス拡充や、採用をはじめとする組織体制強化、ブロックチェーン技術のR&Dを含む新規サービスの開発に充てられる予定とのことです。

    11:宮下 晃樹(みやした こうき)氏

    Carstay株式会社 代表取締役

    ロシア出身公認会計士が提案する快適な車旅“VANLIFE(バンライフ)”

    1992年3月生まれ、ロシア出身。慶應義塾大学経済学部卒業。2014年より有限責任監査法人トーマツでベンチャー支援に従事。2016年にNPO法人SAMURAI MEETUPSを創業し観光まちづくりに参画するとともに、4年間で延べ1,200人の訪日外国人をガイド。外国人旅行者の車移動の課題などを実感し、2018年6月に“快適な移動と感動体験を創出するプラットフォーム”『Carstay(カーステイ)』を設立、代表取締役に就任されています。

    Carstayの事業サービス

    Carstayは、快適に車中泊・テント泊をして車旅を楽しみたいゲストと、駐車場・観光体験を提供したいホストをつなぐシェアリングサービスを提供しています。

    Carstayの主な機能は、①Carstayマップ ②ホスト施設の検索 ③駐車・体験のオンライン予約決済 ④予約情報の管理 ⑤ホスト施設や地域の魅力を伝えるWebメディア の5つです。

    ゲストがスマホ・PCで目的地を検索すると車中泊・観光体験可能なステーションが表示されます。ステーションを選択して予約決済後に目的地に向かうと、チェックインと体験ができる仕組みです。

    一方、空き地・空き時間を活用して副収入を得たいホストが登録すれば、WebのPR・予約・決済に費用をかけずに、施設に集客ができます。

    2020年6月30日より、キャンピングカーを含む車中泊可能な“バン(VAN)”などの車を共用・シェアできるサービス「バンシェア」もリリースしています。

    Carstayの資金調達状況

    Carstayは、これまで2019年4月、2020年8月の2回にわたり資金調達を行っています。

    2019年4月25日付で、ライフタイムベンチャーズ(本社:東京都港区、代表パートナー:木村 亮介)及び原田大作氏(株式会社メルカリ)から約3千万円の資金調達を実施し、プレスリリースを発表しています。

    資金は、フロントエンドエンジニアの採用強化に使われる予定とのことです。

    2回目は、2020年8月3日付で、株式会社サイバーエージェント・キャピタル(本社:東京都渋谷区、代表取締役:近藤裕文)、ライフタイムベンチャーズ(本社:東京都港区、代表パートナー:木村 亮介)、平井誠人氏、田端信太郎氏を含む個人投資家から、約5千万円を資金調達しています。これにより、金融機関からの借入を含めCarstayの資金調達の総額は1.3億円になります。

    12:岡田 隆(おかだ りゅう)氏

    株式会社ソラミツ 代表取締役・共同創業者

    会計士、コンサルタントを経て、起業家へ

    2006年明治大学卒業。2007年に公認会計士2次試験合格後、有限責任監査法人トーマツへ入所。2011年より株式会社AGSコンサルティングに転職。2014年に5ennn株式会社を設立し代表取締役に就任。2015年に株式会社コンプ取締役就任。2016年にソラミツ株式会社を武宮氏と共同創業し、代表取締役に就任されています。

    ソラミツの事業サービス

    ソラミツは、ブロックチェーン技術の開発とこれを活用した新たなアプリケーションやサービスを提供しています。

    オリジナル開発者としてブロックチェーン技術『Hyperledger Iroha(いろは)』を開発し、2016年10月にHyperledgerプロジェクトに採択されました。この技術は、各種通貨、ポイントなどデジタルアセットをブロックチェーン上で管理し、セキュアなデジタルウォレットとして利用されています。現在本サービスのブロックチェーンサーバーは、NSD(ロシア連邦証券保管振替機関)、KDD(スロベニア証券保管振替機関)、Lykke(スイスの仮想通貨交換所)に設置されています。

     

    以上、公認会計士の資格を持ちながら、まったくの異分野で起業し活躍されている起業家の方々をご紹介しました。

    監査業務や税務の知識を活かした士業としての独立ではなく、非会計領域での起業家としての独立は、会計士の新たな活躍のビジョンを提示してくれています。こういった活躍は公認会計士のみなさんの刺激にもなるのではないでしょうか。

    公認会計士起業家の皆様の、今後のさらなるご活躍を祈念いたします。

    (著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧



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    【大津留ぐみ:公認会計士・税理士/会計士・税理士専門ライター】 大学在学時にシェイクスピアを学んだことをきっかけに劇作家を目指すも挫折。編集プロダクションで編集やライティング業務に従事した後、公認会計士試験にチャレンジし合格。大手監査法人の東京事務所にて監査業務、財務デューデリジェンスなどに従事。 その後、フリーランスの公認会計士として非常勤監査、税理士法人の社員税理士として税務業務に従事しつつ、大津留ぐみのペンネームでライターとしての執筆活動にも従事。ライターとして、お金、社会保障、会計、税務などに関する記事を執筆。また、2児の母となったことをきっかけに、子どもの貧困や教育格差、子どものイジメに関する記事なども執筆。現在は、株式会社ワイズアライアンスの専属ライターとして会計・税務の記事を執筆しつつ、会計事務所にて内部統制業務にも従事するパラレルワーカー。公認会計士・税理士。

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