“公認会計士と税理士の違い”って何?
会計系の資格受験を考えたとき、公認会計士にするか税理士にするか悩む人も多いと思います。
公認会計士も税理士も勉強期間が長く、受験するとなれば一生を左右します。勉強をスタートする前に資格について詳しく知りたいですよね。
私も受験前に専門学校の人にあれこれ質問してみたのですが、将来像がピンと来ませんでした。
そこで公認会計士と税理士の資格を持つ筆者が、同じような悩みを持つ皆さんが知りたいと思う、仕事や年収、受験資格などのポイントを比較形式でご紹介したいと思います。ぜひ受験の参考になさってください。
著者:大津留ぐみ(公認会計士・税理士)
本記事の目次
- 独占業務-公認会計士や税理士だけができること
- 独占ではないがよく行われている業務-公認会計士や税理士はこんなこともできる
- 資格者数-公認会計士や税理士の人数は?
- 受験資格-公認会計士や税理士の試験を受けるには?
- 試験の難易度(受験者数や合格率、年齢別合格者など)-公認会計士や税理士の試験の難しさは?
- 年収-公認会計士や税理士はどれくらい儲かるの?
1.独占業務-公認会計士や税理士だけができること
(1)公認会計士の独占業務
独占業務 “監査”とは
公認会計士の独占業務といえば“監査”です(公認会計士法第2条第1項)。
また、金融商品取引法第193条の2第1項や会社法第436条第2項第1号をはじめ、公認会計士又は監査法人の監査証明を義務付ける各種法律があります。
ところで、受験を考えている皆さんは“監査”とはどのような仕事かご存知ですか?
筆者が受験を考えたとき、監査の恩恵を受けたことがありませんでした(警察官とか看護師さんならすぐイメージできるのですが)。「監査とは何ぞや?何する仕事??」とモヤモヤしながら受験生活をスタートさせて、一度目の試験が近づいた頃ようやくどんな仕事か理解した気がします。
皆さんは公認会計士がどんな仕事をするのか、受験前に知っておきたいですよね。そこで監査を平たく説明すると次のようになります。
投資家が株式を買うとき、その会社の財務状況や利益を見て投資するかどうかを判断します。といっても企業が決算書で「儲かってます!」と言ってもなかなか信用できませんよね。
そこで会社から独立の立場にある第三者が、「大丈夫です。この会社が言っていることは本当です。」とお墨付きを与えるのが監査です(残念ながら、「この会社が言っていることは嘘です…。」とか「何か隠していて嘘か本当か分かりませんが、あやしいです。」ということもあります)。
会計士が試験に合格したら行う仕事
では、その監査業務ですが、試験に合格して監査法人に就職したら、どんな仕事をするのでしょうか。
まずは新人研修を受けます。その後、監査チームに配属されて初めてクライアント先に行くことになります。
入所時期なら、内部統制の検証をしに行くかもしれません。また決算時期なら、“売上”とか“仕入”とか科目ごとに分担して、それぞれの金額が合っているかチームで監査をします。新人だと“現金及び預金”を割り当てる監査法人が多いでしょう。
“現金及び預金”の担当になると、元帳を見たり、金融機関から取り寄せた確認状をチェックしたり、お金を数えたりしながら監査をします。例えば、数えた金額と帳簿残高が合わない場合は、実際の金額に直してもらいます(上場企業は管理がしっかりしているので、現金が合わないなんてお粗末なことはまず起きないのですが)。
大手監査法人では新人研修がしっかりと用意されていて、監査調書のつくり方や監査法人の監査手法を色々教えてくれます。また1年目だと監査のやり方に不備があれば、先輩会計士が細かく指摘・指導してくれるので、先輩の指導と調書をお手本にしながら監査スキルを身に付けることができます。
(2)税理士の独占業務
独占業務 “税務代理・税務書類の作成・税務相談”とは
税理士の業務は会計士の業務と違い、ご存じの方が多いかもしれません。
税理士の独占業務は、税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つです。(税理士法第2条第1項より)。
税金には固定資産税のように家を買ったら納付書が送られてくるものと、所得税や法人税のように自分で税額を計算・申告しないといけないものがあります。
税務知識が豊富で税務ソフトの操作もお任せあれというなら話は別ですが、そうでなければ自分で税務書類を作って申告するのは難しいですよね。そういう人(個人)や企業(法人)のために税理士は、税金の相談にのったり、申告書を作って提出したりします。税務署からの問い合わせにも本人に代わって答えたりします。
税理士が試験に合格したら行う仕事
税理士試験は会計事務所で働きながら受験する人も多いので、税理士受験生の方々の中にはすでに経験済みの方もおられるかもしれません。
会計事務所の職員は、クライアント先を巡回したり、メールなどのやりとりで領収書などの資料を預かり、それらのデータを会計ソフトに入力して決算書を作ったり、税務申告ソフトに入力したりします。
最初は上司の指導のもと補助として業務に取り組みますが、経験を積んでいくと、副担当→主担当と職責も上がり、会計や税務の質問に答えたり、節税の相談にのったりするなど、業務も高度になっていきます。
また、税理士になると職員の行ったこれらの業務をレビューして、間違っているところがあれば修正して、税務申告書にサインをすることになります。
ちなみに、税理士になると、個人で開業するか、税理士法人や事務所に所属するかを選びます。個人で開業した場合や税理士法人で社員税理士(役員)となった場合は、申告書に自分がサインすることになります、
税理士試験に合格し、会計事務所で実務経験を積むと税理士登録と同時に開業もできます。
その場合はいきなり所長になるわけですから、税務業務を行いつつ、顧客開拓(営業)や事務所の経営(人事・採用、資金繰りなど)にも尽力することになります。
2.独占ではないがよく行われている業務-公認会計士や税理士はこんなこともできる
(1)公認会計士の独占ではないがよく行われている業務
コンサルティング業務
公認会計士は会計や税務以外にも、経営学、法律の知識など幅広い知識が求められます。また内部統制を検証すためにはシステムに関する知識が不可欠なので、ITに関する勉強もします。
監査で会計士に求められる知識は多岐に渡ります。そのため監査で経験した強みを活かして、独占業務以外で以下のような業務がよく行われます。
- 会計に関するアドバイザリー*
- 組織再編やM&A、企業再生などに関するアドバイザリー
- 財務デューデリジェンス(財務調査)、バリュエーション(株価や企業価値評価)
- 会社の経営管理などに関するアドバイザリー
- IPO(株式公開・上場)に関するアドバイザリー
- 不正調査
- 会計システムなどのコンサルティング
- システム監査 など
*アドバイザリー:アドバイス(助言)業務のこと。
大手監査法人やコンサルティング会社では、大企業のクライアントを相手に、時に新聞に載るような大型のプロジェクトであったり、難解であったり先進的であったりする、プロジェクトに携わることもあります。
また、独立したり、中小~中堅の監査法人やコンサルティング会社に転職して、中小・ベンチャー企業や中堅企業をクライアントとして、上記のようなアドバイザリー業務に携わるケースもあります。その場合、クライアントの経営者や役員との距離が近い点や少人数で幅広くサービスを提供できる魅力があります。
いずれのケースも、豊富な経験と専門的な知識が求められるやり甲斐のある仕事です。
経理やIPO準備などの業務
監査法人では企業に指導する立場にいる公認会計士ですが、そのノウハウを生かして上場企業やIPO準備企業などに就職する人もいます。
経理部に所属して決算や開示資料の作成に従事したり、財務部門で資金調達や資金繰りに従事したり、その他、経営企画やM&A、内部監査や内部統制業務に従事するケースもあります。
また、ベンチャー企業に転職をして、IPO(新規株式公開)準備作業を行ったり、CFOとして財務や管理業務を統括するといったケースもあります。
企業に勤務するということは、会計士にとっても監査人としての経験を活かすことができ、また、監査のプロに監査対応やIPO準備をしてもらえるので企業にとってもメリットが大きく、近年では公認会計士の人気のキャリアのひとつにもなっています。
税務(税理士登録)
公認会計士の中には税務を行う人もいます。
公認会計士は、税理士登録をして税理士会に入会すれば税務業務が行えます。
税理士法人に転職して、税務を行う公認会計士もいますし、公認会計士が独立開業した場合は、個人で監査を引き受けるのは難しくなっているので、税理士登録をしてコンサルティング業務と合わせて税務業務も行うのが現実的です。
(2)税理士の独占ではないがよく行われている業務
経営者の次に会社のことを知る立場
税理士の仕事は税務業務ではありますが、中小企業のクライアントが多いため、税務業務を引き受けていても、会計・税務に関することだけではなく、後継者問題や自社株式の相続贈与、労務関係、財務、経営者の健康状態など実に様々な問題について相談を受けます。税務相談だけのクライアントは、むしろ少ないかもしれません。
会社のことを色々知りうる税理士は、独占業務以外にも会社側の視点を提供することができます。金融機関との折衝では、会社の問題を認識して必要な情報を提供することができます。また問題が起きたときいち早く気づく立場にいるので、弁護士や適切な専門家を紹介して早期に問題を解決することができます。
税理士は経営者の次に会社を知る立場にあります。その強みと専門知識を活かして、会社が抱えうる様々な問題に対してコンサルティング業務を行うことができます。
一方、大手の税理士法人で働く場合は、会計事務所とは顧客の種類が異なります。海外子会社や海外支店を擁してグローバルに活動するクライアントもいます。
移転価格税制や海外現地法人の設立関連の国際税務のアドバイザリー、M&Aや組織再編に関する税務のアドバイザリーなどは、大手税理士法人が得意とするところです。
税理士も外部監査人になれる!?
監査といえば会計士しかできないと思われがちですが、監査も色々あります。
都道府県、政令指定都市、中核市は外部監査を受けることになっており、公認会計士だけではなく税理士や弁護士も外部監査を行うことができます(地方自治法第252条の28第1項・第2項)。
外部監査は包括外部監査と個別外部監査があります。包括外部監査は、包括外部監査人が必要と認めるテーマを選び、その内容を監査していきます。個別監査は、有権者や議会などから請求があった場合に監査を行うものです。
監査という名前はついていますが、公認会計士が行う財務諸表監査とは内容が異なります。
3.資格者数-公認会計士や税理士の人数は?
(1)公認会計士の資格者数
日本公認会計士協会の会員数を見ると、公認会計士・準会員・未入会会計士補等を合わせると、約3万6千人にのぼります(平成29年12月31日現在)。
(データ引用元:「2017年12月31日現在の会員数」日本公認会計士協会Webサイト)
そのため、全国に約3万6千人の公認会計士と会計士試験合格者がいると言えます。
公認会計士は、北海道・埼玉・千葉・東京・神奈川・近畿・兵庫・北部九州など16地域会のうちのどれかに所属しますが、地域会ごとの在籍者数を見ると、会計士の約6割が東京会、約1割が近畿会に所属しており、首都圏集中型の分布になっているのが特徴です。
これはクライアントが首都圏に集中していることを意味しています。大勢の会計士ともに、様々なクライアントを監査してみたいと考えるのであれば、東京で就職するのがおススメと言えるかもしれません。
(2)税理士の資格者数
一方の税理士登録者は約7万7千人ほどです(平成29年12月末日現在)。会計士の約2倍です。
(データ引用元:「税理士登録者数」日本税理士会連合会Webサイト)
税理士も会計士と同様に、東京・東京地方・千葉県・関東信越など15の会のどこかに登録しています。会ごとに所属人数の分布を見ると、税理士のうち東京会が約3割、近畿会が約1割となっています。
会計士と比べると税理士は地方にも分散しているのが特徴です。
これは公認会計士のクライアント(会計士が監査する企業)は上場企業などの大企業が多く、税理士が税務を行うクライアントは主に中小企業であることが理由と考えられます。
地方で働きたいと思っている人には、税理士が適した資格とも言えるかもしれません。
4.受験資格-公認会計士や税理士の試験を受けるには?
(1)公認会計士の受験資格
受験資格に制限はありません。大学生で受験を始める人が多いですが、高校生でも社会人でも幅広く受験できるのが特徴です。
(2)税理士の受験資格
一方の税理士は細かく受験資格が定められいます。大学を卒業しているから受験資格はあるだろうと思い込んでいると、実は必要な科目の単位を取っていない場合もあるので注意が必要です。
以下、国税庁のWebサイトから受験資格を抜粋します。
受験資格を満たすには、次の学識、資格、職歴、認定のいずれか1つに該当する必要があります。
●学識
- 大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者
- 大学3年次以上の学生で法律学又は経済学に属する科目を含め62単位以上を取得した者
- 専修学校の専門課程(①修業年限が2年以上かつ②課程の修了に必要な総授業時数が1,700時間以上に限る。)を修了した者等で、これらの専修学校等において法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者
- 司法試験に合格した者
- 旧司法試験法の規定による司法試験の第二次試験又は旧司法試験の第二次試験に合格した者
- 公認会計士試験短答式試験合格者(平成18年度以降の合格者に限る。)
- 公認会計士試験短答式試験全科目免除者
●資格
- 日本商工会議所主催簿記検定試験1級合格者
- 社団法人全国経理教育協会主催簿記能力検定試験上級合格者(昭和58年度以降の合格者に限る。)
- 会計士補
- 会計士補となる資格を有する者
●職歴(以下の事務又は業務に通算2年以上従事した者)
- 弁理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士・不動産鑑定士等の業務
- 法人又は事業を営む個人の会計に関する事務
- 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助の事務
- 税務官公署における事務又はその他の官公署における国税若しくは地方税に関する事務
- 行政機関における会計検査等に関する事務
- 銀行等における貸付け等に関する事務
●国税審議会より受験資格に関して個別認定を受けた者
(引用元:「受験資格について」国税庁Webサイト)
年齢制限はありませんが上記の受験資格を満たす必要があります。そのため受験資格に制限がない会計士と比べると、受験開始年齢はやや上がります。
5.試験の難易度(受験者数や合格率、年齢別合格者など)-公認会計士や税理士の試験の難しさは?
(1)公認会計士の試験の難易度
受験者数と合格率
公認会計士の平成29年度試験の受験者数、合格率は以下の通りです。
- 願書提出者…11,032人
- 論文式受験者数…3,306人
- 合格者…1,231人
- 願書提出者数に対する合格率…11.2%
- 論文式受験者に対する合格率…37.2%
(引用元:「平成29年公認会計士試験合格者調」公認会計士監査審査会Webサイト)
合格率はひと昔前の一桁台から10%代に上昇しており、難関ながらも合格しやすくなっています。
年齢別合格者
次に、合格者に占める年齢別の構成比は、以下の通りです。
- 20歳未満…1.1%
- 20歳以上25歳未満…52.6%
- 25歳以上30歳未満…23.3%
- 30歳以上35歳未満…13.0%
- 35歳以上40歳未満…4.7%
- 40歳以上45歳未満…2.5%
- 45歳以上50歳未満…1.3%
- 50歳以上55歳未満…0.6%
- 55歳以上60歳未満…0.6%
- 60歳以上65歳未満…0.1%
- 65歳以上…0.0%
(引用元:「平成29年公認会計士試験合格者調」公認会計士監査審査会Webサイト)
公認会計士試験の合格者は、20歳以上30歳未満が合格者の4分の3を占めています。大学在学時または卒業数年内に合格するイメージです。30歳を過ぎて監査法人に就職すると、現場責任者以外の先輩は全員年下ということもありえます。
ちなみに、平成29年の合格者の最高年齢は62歳、最低年齢は19歳でした。幅広い年代の人が受験しています。
学歴別合格者は
次に合格者の学歴別分布を見てみたいと思います。
- 大学院修了…4.1%
- 会計専門職大学院修了…5.0%
- 大学院在学…0.9%
- 会計専門職大学院在学…1.8%
- 大学卒業(短大含む)…42.5%
- 大学在学(短大含む)…38.4%
- 高校卒業…5.1%
- その他…2.2%
(引用元:「平成29年公認会計士試験合格者調」公認会計士監査審査会Webサイト)
合格者のほとんどが大学以上でした。
受験資格はないにもかかわらず、受験する人は高学歴の人が多いのが特徴です。これは試験が暗記で解答できるものはほとんど出題されず、高度な読解力と応用力が求められる結果ではないかと推測します。
(2)税理士の試験の難易度
受験者数と合格率
税理士の平成29年度試験の受験者数、合格率は以下の通りです。
- 受験申込者数…41,242人
- 受験者数…32,974人
- 合格者数合計(一部科目合格者含む)…6,634人
- 合格率…20.1%
(引用元:「平成29年度(第67回)税理士試験結果」国税庁Webサイト)
受験者数が減少傾向だと言われていますが、公認会計士試験よりも圧倒的に多いですね。
合格率は、公認会計士の約2倍ですが、税理士試験は1~2科目ずつ複数回に分けて受ける人が多いため、一概に2倍と捉えることはできなさそうです。
年齢別合格者
次に、合格者に占める年齢別の構成比は、以下の通りです。
- 41歳以上…22.6%
- 36から40歳…15.9%
- 31から35歳…20.4%
- 26から30歳…20.8%
- 25歳以下…20.3%
(引用元:「平成29年度(第67回)税理士試験結果」国税庁Webサイト)
20歳以上30歳未満の若い世代が合格者の4分の3を占める会計士とは異なり、学生でも社会人でも幅広くまんべんなく受験と合格のチャンスがあります。
ちなみに年齢別の合格率を見ると25歳以下が34.0%ともっとも多くなっています。とはいえ他の世代の合格率と顕著な差は見られませんでした。税理士は、社会人にも取りやすい資格といえます。
学歴別合格者は
次に合格者の学歴別分布を見てみたいと思います。
- 大学卒…74.1%
- 大学在学中…4.4%
- 短大・旧専卒…2.3%
- 専門学校卒…8.1%
- 高校・旧中卒…8.1%
- その他…3.0%
(引用元:「平成29年度(第67回)税理士試験結果」国税庁Webサイト)
合格者のうち大学以上は8割で、公認会計士受験に比べて少なめです。高校やその他の学歴の人も1割を占めており、色々な学歴の人が受験して合格しているのが特徴です。
6.年収-公認会計士や税理士はどれくらい儲かるの?
(1)公認会計士と税理士の年収比較
最後は気になる年収です。
国税庁から出ている平成27年度の統計情報を見ると、「税理士、公認会計士」の1人あたり所得金額は約678万円でした。
- 申告所得税・所得種類別人員、所得金額27年度(国税庁Webサイト)
この約678万円という金額は、公認会計士と税理士の両方を合わせた金額です。
税理士と公認会計士を区分した統計情報は見つけられなかったのですが、年収も気になるポイントかと思います。そこで、個人的な経験と色々な採用情報などを参考にコメントしたいと思います。
【公認会計士の年収イメージ】
公認会計士の場合、監査法人や事務所の規模により異なりますが、大手監査法人に就職すると、初任給は残業代を含めて600万円弱で、マネージャーになると1,000万円くらいが目安になります。
【税理士の年収イメージ】
一方の税理士は、中小の会計事務所だと、500~600万円、受験生や科目合格者の間は、250~400万円くらいが目安です。BIG4税理士法人に入れば、BIG4監査法人に就職した公認会計士と同等かそれ以上の収入が期待できます。
(2)大手で働く公認会計士と税理士の割合は?
就職先で年収が異なるとお伝えしましたが、年収が高い大手法人に就職する割合はどれくらいなのでしょうか。
公認会計士は約36,000名のうち、BIG4監査法人に約15,000名が在籍しています。
会計士でBIG4監査法人で働いている人の割合は約4割です。会計士は試験に合格すると大部分がBIG4監査法人に入るため、初任給で600万円、そのままいれば1,000万円くらいの年収は実現しやすいと言えます。
一方の税理士約77,000名のうち、BIG4税理士法人に約1,500~2,000名程度が在籍しています。公認会計士と違い、BIG4で働いている人は3%弱しかいませんでした。
大手監査法人や大手税理士法人だけで考えると、公認会計士のほうが大手法人に在籍できる可能性が高く、年収も高くなる傾向にあります。
ただし、これらはあくまで、大手法人の勤務会計士や勤務税理士の年収だけを比較した数字ですので、独立した場合や企業やコンサルティング会社に転職した場合など、選ぶ進路によって異なってくる可能性もあります。
以上、公認会計士と税理士の違いをお伝えしました。働きながらコツコツ受験したい方、将来は幅広くコンサルティング業務も視野に資格を取りたい方。向いている資格はどちらなのか、その判断材料になればと思います。
最後に、みなさんの合格を心よりご祈念いたします。
【後編】はこちら→公認会計士と税理士の違いとは?【後編】キャリアや就職&転職事情を徹底比較!