本日、令和6年11月15日（金）、令和6年（2024年）公認会計士試験（論文式試験）の合格者が発表されました。

合格者の皆様、おめでとうございます！

また、今年惜しくも合格とならなかった皆様に関しましては、次回はきっと良い結果となりますよう祈っております。

さて、本記事では、毎年恒例、合格発表の内容を速報していきます。

まず、今年度の合格者に関する概要は下記の通りです。

合格者数と合格率

合格者数は1,603名と増加、合格率は7.4%と昨年に続き低下

本年の公認会計士試験（論文式）における合格者数は1,603名となりました。また、合格率は7.4%でした。

この結果は、昨年と比較すると、合格者数は59名の増加となり、合格率は0.2%の低下となっています。 

合格者数に関しては、平成27年（2015年）に1,051名で底を打って以来、徐々に増加し、一時期は1,300名台で推移していましたが、昨年は1,544名、今年は1,600名を超え1,603名となりました。直近14年ではもっとも大きい数字となっています。

また、合格率は以前は10～11%で安定的に推移していたものの、一昨年から7.7％→7.6％→今年は7.4％と7%台が続いています。受験者数も増えていることから、合格者数は増えているものの、合格率が下がり、ここ数年は難易度が高い状況が続く結果となっています。

【図１：直近22年間の合格者数と合格率】

※クリックすると拡大します。

願書提出者数

会計士志望者は9年連続で増加！！

本年の願書提出者の総数は21,573名でした。

願書提出者の総数は9年連続の増加となりますが、本年は昨年の20,317名と比較して1,256名の増加となっています。

かつて減少トレンドにあった願書提出者数は9年連続で増加しており、気がつけば会計士人気が低迷していた時代も過去のものとなってしまいました。

一方で、合格者数の増加は限定的であるため、志望者が大きく増えたものの、合格率が近年より低くなり、試験の難易度が上がっている側面も見受けられます。

【図2：直近22年間の公認会計士試験 願書提出者数の推移】

※クリックすると拡大します。

合格率と平均年齢

合格者の平均年齢は24.6歳！昨年に続き24歳台と低年齢化は継続

本年の合格者は、25歳未満が62.6%を占め、平均年齢が24.6歳、大学在学中の合格者の比率が37.7%となっています。

合格者の平均年齢は、本年は昨年、一昨年に続き25歳を切っており、また、合格者の約3分の1強の37.7％が大学（および短大）在学中と近年の公認会計士試験のトレンドを継続して、若い年齢での合格者が多い状況となっています。

一方で、「大学（および短大）在学中」の合格者比率は、直近3年では下記のように低下しています。

令和4年（2022年）：44.1%
令和5年（2023年）：42.2%
令和6年（2024年）：37.7%

受験者数が増えてきていること、コロナ禍が終わって様々な活動も増え大学生が会計士試験にだけ集中しやすい環境が変わってきたことなどが要因としてあるかもしれません。

試験合格者に占める女性人数・比率

女性合格者数は今年は359名、女性比率は22.4%

試験合格者に占める女性人数と女性比率の推移は以下の通りです。

今年は、女性359名が合格、女性比率22.4％となりました。

【図3：直近19年間の合格者に占める女性人数と女性比率の推移】

※クリックすると拡大します。

今年は昨年の22.3％から微増し、22.4%となりましたが、長期トレンドで見ると、近年は20％台で継続的に推移してきています。

また、女性合格者の総数に関しては、359名と今年も300名を上回る結果となりました。合格者の総数が3,000名を超え、女性も600～700名が合格していた時期と比較するとまだまだ見劣りはしますが、近年は、300名前後は安定的に輩出される状況が続いており、過去14年で最も多い合格者数となっています。

近年は、監査法人においても女性が勤務しやすい環境が以前よりも整ってきています。また、世の中全体でもリモートワークの普及、出産・子育て環境の整備、上場会社の女性役員比率を高める動きなどから、女性会計士が活躍する機会もさらに増えつつあります。

業界全体を見るると、まだまだ女性会計士比率は低いですが、今後、より女性が活躍しやすい環境が整備され、活躍する女性会計士やその露出がさらに増えることによって、女性の受験者や合格者がさらに増えていくことが期待されます。

監査法人の採用・合格者の就職活動

合格者数1,600名超えでBIG4監査法人への全員就職時代は終わるのか…？合格者就活は分水嶺か？

会計士試験に合格された方々は次は就職が気になるところかと思います。

業界を見渡してみると、法人や部署によって多少の違いはありつつも、全体としては中小～大手まで監査法人の人手不足が大きく緩和されている印象はあまりなく、業界全体で採用ニーズが高い状況にはありそうです。

一方で、今年は合格者数が1,600名を超える状況となっています。BIG4監査法人の定期採用（論文式試験の合格者採用）の総数は、4法人合わせて1,200名程度が上限ではないかと推測されるため、合格者の8割がBIG4監査法人への就職を希望すると、その時点で採用枠を超えてしまう可能性がありそうです。

ここ約10年は、就職活動をする合格者のほうが有利な売り手市場が加速していましたが、BIG4監査法人への就職に関しては、そろそろ分水嶺に差し掛かっているのかもしれません。

とはいえ、BIG4 FAS、BIG4税理士法人、大手以外の監査法人、会計ファーム、事業会社など、論文式試験合格者を対象に採用活動を行なっているファームや企業はたっぷりとあるので、就職活動自体に焦る必要はないかと思います。

合格者のみなさまには、様々な監査法人や会計ファームなどの情報を収集して納得の行く就職活動を行っていただき、充実した会計士キャリアをスタートされることを祈念しています。あらためて試験勉強お疲れ様でした＆合格おめでとうございました！

※本文中のデータは金融庁の「令和6年公認会計士試験 合格者調」「令和6年公認会計士試験の合格発表の概要について」を参考に作成。

※願書提出者数、合格者数、合格率等、本文中の数字は短答式試験みなし合格者、旧第2次試験合格者を含んだ数字で算出しています。

この記事の著者

公認会計士ナビ編集部

→記事一覧

公認会計士ナビの編集部です。公認会計士や監査法人業界の様々なニュースや情報をお届けしています。