設立からわずか10年の間に、数多くの有名企業との取引実績を積み上げ、大手金融機関とのアライアンスを実現している会計ファームをご存知だろうか。
東京・港区にその本社を構える南青山アドバイザリーグループである。
次々と会計ファームが台頭する中で、南青山アドバイザリーグループが急成長できたのは、「専門性・誠実性・迅速性」を基本理念とし、「提案型のサービスを提供していたから」だと、創業者の仙石実氏は語る。
そして、創業10年目を迎える現在、ファームとして新たなステージに入ったと言う仙石氏に、同社の強みや、経営者と伴走する会計士に必要な素養は何か話を聞いた。
記事目次
- 信頼によって高まってきたブランド力、組織は次のステージへ
- IPOやM&A、税務にプラスαの付加価値を加える、南青山アドバイザリーグループの強み
- 経営者から信頼される公認会計士になるために必要な資質とは?
信頼によって高まってきたブランド力、組織は次のステージへ
南青山アドバイザリーグループは、南青山FAS株式会社と南青山税理士法人を中心に構成される。監査法人トーマツ出身の仙石実氏が、2013年に設立したファームだ。
同社は、会計・FAS・税務を総合的にサポートし、M&AとIPO支援を強みとする。特にオーナー経営者からの高い支持を得て、大きく成長してきた。
近年では、大手金融機関やPEファンドとの連携、上場企業やIPOを目指す企業の経営者が参画する「IPO・M&Aアカデミー」や、多数の上場企業や投資家などが登録しスタートアップの資金調達・ビジネスマッチングを支援する「リーダーズオンライン」といった企業ネットワークも活かしたサービスも手掛けるなど、コロナ禍においても増収増益を実現し、大きく成長を続けている。
南青山グループCEO
公認会計士・税理士/公認内部監査人
2002年、監査法人トーマツ(現:有限責任監査法人トーマ ツ)に入所。 東証一部上場企業などの各種法定監査業務、株式公開支援業務、 外部向け研修サービスに従事。 2013年、南青山アドバイザリーグループの代表に就任。 上場・非上場を問わず多数の取引先の会計税務支援サービスのみならず、IPOやM&Aのコンサルティング業務において1000件以上の実績 を有する。 2020年、南青山税理士法人は日本を代表する会計事務所を表彰する 「ベストプロフェッショナルファーム」に選出されている。 2021年、「人生を変えるお金の話」(共著、アチーブメント出版)を 出版。 楽天ブックスで総合1位を獲得。
今でこそ、数多くの案件を手掛ける南青山アドバイザリーグループも、設立当初はまったくのゼロからのスタートだった。
創業当初のモットーは、「依頼はすべて引き受ける」こと。
「専門性・正確性・迅速性」を基本理念として、高品質のサービスにこだわり、他分野の専門家とも連携しながら、ひとつずつ実績を積上げ、経営者の信頼を得てきた。
会計・税務に限らず、お客様からのあらゆるご相談に、ワンストップでサービスを提供したいという思いがありました。
自分の専門分野以外のことでも、私がハブとなって外部の専門家と連携をすれば、お客様は当社を窓口としてすべて解決できて、安心感があると思ったからです。また、設立当初は外部の専門家と連携していましたが、現在は、社内に在籍する公認会計士や税理士のバックグラウンドも多様化し、提供できるサービスも拡大しています。
会計系有資格者のほかにも、証券会社や金融機関出身者などのプロフェッショナルの採用活動も行っており、どのようなご相談にも高水準での解決策を導き出せるような組織づくりを目指しています。
仙石氏は、近年の南青山アドバイザリーグループは、「付加価値や収益性をより重視するステージに入っている」と語る。
お客様の悩みを解決し、一定の価値を提供するためには規模も無視はできないことから、お客様からの依頼は可能な限り断らないスタンスでサービスを提供してきた。そして、そのスタンスに比例するように規模も拡大し、現在では50名を超える組織へとたどり着いた。
おかげさまで、近年では、南青山アドバイザリーグループというブランドを以前より高く評価してもらえるようになったと実感しています。
以前よりも多数の依頼をいただくようになっているのはもちろん、専門的なご依頼もさらに増えてきています。
一方で、人手不足が顕著な会計業界において、規模だけを追い求めて、際限なく依頼を受けていくことも適切ではありません。
お客様のご期待に応えるためには、生産性や専門性を高め、また、従業員の貢献に応じた報酬アップを継続的に行っていけるファームになる必要があります。これからのステージでは、付加価値や収益性をより重視した経営を意識していく必要があると考えています。
IPOやM&A、税務にプラスαの付加価値を加える、南青山アドバイザリーグループの強み
南青山アドバイザリーグループのサービスの強みはIPOとM&Aだ。また、近年では、事業承継に関する相談も増えてきているという。顧客から評価される所以はどこにあるのだろうか?
仙石氏とは監査法人トーマツ時代からの付き合いであり、創業時からタッグを組む、同社パートナーの香取忠秀氏はこう語る。
香取 忠秀(かとり ただひで)
南青山アドバイザリーグループ パートナー
公認会計士・税理士
2005年監査法人トーマツ(現・有限責任監査法人トーマツ)入所後、国内上場企業を中心に会計監査業務、J-SOX導入支援業務等に従事。
2013年の南青山税理士法人設立時よりパートナーを務める。会計及び税務分野の広い知識を活かして、一般会計・税務、組織再編、IPO等、各種のコンサルティング業務に従事。
例えば、IPOコンサルティングを手掛けているファームでは、N-2~3期あたりから、申請書類の作成や規程の整備といった作業の支援を手掛けるケースも多いと思いますが、当社の場合、経営者がIPOをしたいと考え始めた段階から相談にのり、サポートするケースが多くあります。
そのため、いわゆるIPO準備作業に限らず、資本政策の立案や資金調達の支援といった初期段階からサポートし、信託型を含むストックオプションの導入や種類株の評価なども含め、IPOで必要となるあらゆる課題に対して、ワンストップで支援を行うことが多い点は特徴だと思います。
また、IPOではなくM&Aによる売却を選択する場合や、無事にIPOを経て買収側としてM&Aを行う場合では、財務デューデリジェンス、バリュエーション、PPAといったFAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)や、時にM&Aの仲介を行う場合もありますし、当社のお客様には、オーナー経営者様も多くおられますので、資産管理会社を設立して財産保全のための税務アドバイスや、年配の経営者様であれば、事業承継を踏まえたアドバイスへと派生していくこともあります。
IPOやM&Aありきではなく、経営者の方のニーズに寄り添い、それに応じたソリューションを提供できるのは南青山アドバイザリーグループの強みだろう。
さらに、そんな同社のサービスを強固なものにしているのが、経営者たちとのネットワークだ。
実務面の支援以外で、当社が強みとしているものに、「経営者のネットワーク」があります。
当社では、『IPO・M&A ACADEMY』という、上場企業の経営者をゲストにお迎えして行うイベントを毎月開催したり、20社以上のIPO準備企業をお招きして食事会を開催したりするなど、IPOに必要なビジネスパートナーをご紹介するためのイベントも開催しています。
また、当社とつながりのある経営者の方々の中で、ビジネスパートナーになれそうな企業様がいれば、経営者様同士をお引き合わせするといったことも行っており、こういった活動も好評いただいています。
我々がおつなぎした経営者の方々がビジネスを拡大し、そこからさらに当社にお客様をご紹介いただく自然な流れができているのが、当社の本当の強みなのかもしれません。
経営者から信頼される公認会計士になるために必要な資質とは?
もうひとつ、南青山アドバイザリーグループの強みを語るにあたって、外すことができないのが、経営者に対する「提案力」だ。
同社の顧客には、上場・非上場含めたオーナー企業も多数存在するが、ただ、専門性が高いだけでも、経営者とのネットワークを有するだけでも、経営者からの信頼を得ることはできない。
「社長の夢はなんですか?」
「今、これに悩まれているのですね」
「この案を実行してみましょうか」
経営者に寄り添い、その夢の実現や、悩みの解決のために提案を行う。
経営者にとっては、人や会社を紹介して貰えるのも、大きな付加価値なんですね。会計の知識ではないところにお客様の付加価値があることも多いんです。
先述の経営者同士のマッチングに関しても、その意図を仙石氏はこう語る。
経営者の想いに応えようとするこういった姿勢も、同社に数々の依頼を呼び込んでいる源泉だろう。
仙石氏は、この提案力を組織として維持していくために、「経営者の想いを叶えるために伴走できる会計士を育てていきたい。」との想いを述べつつ、「ただ、それは簡単なことではないと思っています。」とその難しさも同時に口にする。
その素養と意欲のある会計士を採用し、かつ、そういった人材に長期で定着してもらえる組織を作る必要があるからだ。
経営者と伴走し、課題を共に解決していける公認会計士にはどんな素養が必要だろうか?
仙石氏は、「経営者を支えたいという強い気持ち」、そして、「時間をかけて信頼関係を築いていく根気」のふたつを挙げる。
士業の方がキャリアを考える際、その特性として、どうしてもスキルに目が行きがちになってしまいます。
当社に応募いただく公認会計士の方の多くも、「経営者を支援できるように、FASや税務を総合的に経験したい」とおっしゃられます。そういった志向は大歓迎ですし、経営者の悩みを解決する手段としてスキルも必要です。
他方、高いスキルを持っているからといって、経営者は本当の悩みを話してくれるわけではありません。
当社に中途入社する公認会計士の方についても、経験のない部分はOJTを通じて少しずつ身につけていってもらいますので、経験面だけで言えば、4~5年程度の監査経験がある方から選考対象としています。
しかし、経営者が抱える経営や株式、後継者、相続といった問題は、いずれもデリケートなもので、時に親族の話題などプライベートなことにも及びます。経営者と信頼関係を築き、「この人に相談したい」と思える人物にならなければ、悩みを打ち明けてくれさえしません。
そのためには、自身のスキルアップだけではなく、「経営者を支えたい」という想いを持っている方かどうかは重視しています。
そして、ふたつめの「時間をかけて信頼関係を築いていく根気」について、スキルと関連付けて仙石氏はこう語る。
例えば、「同じクライアントを10年担当すること」を、どう考えるでしょうか?
「スキル」という側面からだけ見ると、10年間同じクライアントを担当することは、「10年間同じことを繰り返すこと」とイコールだと捉える方もいます。
私も会計士なのでわかるのですが、3年くらい同じことをしていると新しいスキルを身につけたくなります。実際、世の中には数年ごとに新しい経験が積める職場を探す会計士の方もおられたりもします。
しかし、10年という時間を「人間関係」という側面から見ると、その企業の経営者や役員と10年間も関係を維持できたことは、素晴らしいことではないでしょうか。
そして、そういった信頼関係が築けているなら、会社のステージに応じて経営者の夢や悩みも変わり、私達が提案できるサービスも変わります。結果として、自身も新たな経験を積むことができますし、仕事をもっと面白いと感じられるようになる側面もあるはずです。
仙石氏は、最後に、経営者を支えることを目指す公認会計士に対してメッセージをくれた。
経営者との信頼関係を作ると言うと、公認会計士や税理士の方には、コミュニケーション能力に自信がないと思う人も多いかもしれません。
もしそうでも、最初のうちは「なにかお困りごとはありませんか」「我々でサポートできることはありませんか?」と聞くだけでも十分です。
こう聞くと簡単に思えるかもしれませんが、これを伝えることによって仕事が増えてしまったり、自分の専門でない分野の話がでてきてしまったりすることもありますから、実はなかなか言えない士業も多いんです。
そして、経営者の方と膝と膝を突き合わせて、実際に顔を合わせて話をすること。
リモートワークも普及してきましたが、やはり実際に会うことで、より深く踏み込んで話ができ、関係性を深めることもできます。
食事会やゴルフなどいわゆる相対のコミュニケーションを通じて、経営者の方々と親しくなることも大切な方法です。
また、若い世代の方々であれば、これにオンラインを組み合わせて、より新しい関係性を作っていけるでしょう。信頼関係を築き、お客様から「あなただから相談したい」と言っていただけたら、それこそが士業の醍醐味ではないでしょうか。
そういう意味で、一番大切なことはお客様と信頼関係を築くことです。
そして、この考え方に共感してくれる方が我々の仲間になってもらえたら嬉しいですね。
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