本日、令和2年度修了考査の合格発表が行われました。
本年の修了考査では959名の方が合格となりました。
合格された皆様、おめでとうございます。また、残念ながら不合格となってしまった皆様におきましては、次回、良い結果が得られるよう祈念しております。
さて、本年は、平成18年度に公認会計士試験制度が新制度へと移行され、旧3次試験が修了考査へと変更されてから、15年目の修了考査となりましたが、試験後に問題文の表記間違いが発覚し、当該問題についてはすべての受験者の解答が正解となる事案もありました。
本記事では、令和2年度の修了考査の合格発表の内容を詳しく考察していきます。
令和2年度・修了考査合格者の概要
まず、令和2年度の合格発表に関する概要は下記の通りです。
【受験願書提出者数】2,126名
【受験者】1,936名
【合格者】959名
【対受験願書提出者数合格率】45.1%
【対受験者数合格率】49.5%
合格者数と合格率
合格者数は昨年より増加の前年比105名増
さて、合格者数や合格率を見ていきましょう。
まずは受験者数と合格者数です。
令和2年度の修了考査における「受験者」の総数は昨年の1,749名から1,936名へと増加しています。
また、「合格者数」は前年度の854名と比較して105名増の959名となりました。この合格者数は修了考査開始以来の過去15年で4番目に少なく、昨年に続く低水準ではあるものの、わずかに増加となっています。
対受験者数合格率は過去2番目に低い49.5%
※平成18年度・修了試験の「対受験願書提出者数合格率」は開示されていないため、旧3次試験を受験した51名のデータとなっています。
続いて合格率を見てみましょう。
合格率は昨年に続き例年を大きく下回る厳しい結果となっています。
「対受験願書提出者数合格率」は45.1%となり、過去最低の合格率となった昨年の45.0%とほぼ同水準となっています。
また、「対受験者数合格率」は49.5%と、こちらも過去最低の合格率となった昨年の48.8%とほぼ同水準、過去2番目の低さとなっています。昨年に続き、受験者のふたりにひとりが不合格となる非常に厳しい水準であるとも言えます。
氏名非公表制度は合格者の9.1%が利用
修了考査の試験内容や結果とは関係はありませんが、平成28年度の修了考査から制度変更があり、現在の修了考査では、受験者本人から申請があれば、合格発表時に氏名を公表せず受験番号のみを公表することが可能となっています。
今回の修了考査においても、合格者名簿を確認すると、全国で87名の方が氏名非公表制度を利用しているようです。
これは合格者全体の9.1%であり、制度開始以降の推移は以下のグラフの通り、直近3年間で8~9%程度の推移となっています。
本年度の特徴と今後の傾向、そして、転職市場は?
合格率の低さの理由は???
今回の修了考査合格者959名すべてが公認会計士協会の正会員登録を行ったとすると、公認会計士(正会員)数は32,487名(2021年2月28日現在)から33,446名へと、約3.0%増加することとなります。
また、今回の修了考査で特筆すべき点はやはり前年に続く合格率の低さと言えるでしょう。
修了考査の合格率が大きく下がったのは、一昨年の平成30年度の試験からですが、そこから3年連続で低水準の合格率が続いていることから、試験が難化していると考えても良いかもしれません。
高度な専門性を必要とする職業会計人という職種の特性上、試験に一定の難易度は必要かと思いますが、修了考査の主な受験者は、合格率約10%の難関試験*をくぐり抜けてきた方々であり、そこに対してどの程度の難易度の試験を課すべきなのか、難しい問題かと思います。
コロナ禍でも堅調な合格者の転職活動
修了考査の合格は、法人内での将来的な昇格にも影響するなど、公認会計士のキャリアプランにも影響があります。また、修了考査の合格を機に転職を考える方も少なくありません。
現在の転職市場は昨年からのコロナ禍の影響を受けて、一部の業種や職種では求人状況が悪化していますが、公認会計士の転職市場においては影響はあまり出ておらず、引き続き転職希望者が有利な売り手市場となっております。
また、修了考査に合格しなければ転職を先延ばしにする方も一定数いることから、ここ数年の修了考査の合格者数の低迷にともない、今年も転職市場に出てくる公認会計士の数は低水準(≒引き続き転職希望者が有利)となる可能性もあります。
転職市場は求人数と求職者数の需給バランスで成り立っていますので、修了考査の合格率や合格者数が今後どう推移していくのかにも要注目です。
※本文中のデータは全て公認会計士協会発表のデータより作成。
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