本日、令和元年度修了考査の合格発表が行われました。
本年の修了考査では854名の方が合格となりました。
合格された皆様、おめでとうございます。また、残念ながら不合格となってしまった皆様におきましては、次回、良い結果が得られるよう祈念しております。
さて、本年は、平成18年度に公認会計士試験制度が新制度へと移行され、旧3次試験が修了考査へと変更されてから、14年目の修了考査となりましたが、コロナショックの影響か、合格発表日が直前に2週間後に延期されることとなりました。
また、本年は過去最低の合格率となるなど、修了考査の難化が顕著となった結果にもなりました。
本記事では、令和元年度の修了考査の合格発表の内容を詳しく考察していきます。
令和元年度・修了考査合格者の概要
まず、令和元年度の合格発表に関する概要は下記の通りです。
【受験願書提出者数】1,896名
【受験者】1,749名
【合格者】854名
【対受験願書提出者数合格率】45.0%
【対受験者数合格率】48.8%
合格者数と合格率
合格者数は前年比16名増、過去3番目に低い結果に
さて、合格者数や合格率を見ていきましょう。
まずは合格者数です。
令和元年度の修了考査における「合格者数」は前年度の838名と比較して16名増の854名となりました。これは修了考査開始以来、過去14年で3番目に少ない合格者数であり、昨年に続いて非常に少ない人数となりました。
受験者の総数は昨年の1,495名から1,749名へと増えてはいますが、合格者数はほとんど伸びていない状況です。
対受験者数合格率は過去最低の48.8%
※平成18年度・修了試験の「対受験願書提出者数合格率」は開示されていないため、旧3次試験を受験した51名のデータとなっています。
続いて合格率を見てみましょう。
合格率は昨年に続き例年を大きく下回る厳しい結果となっています。
「対受験願書提出者数合格率」は45.0%となり、昨年の51.8%から6.8%の大幅減となっています。
また、「対受験者数合格率」は48.8%と昨年の56.1%を7.3%下回る結果となり、こちらも大幅減となっています。これは修了考査が始まって以来、データのない初年度(平成18年度)を除いた過去最低の水準であり、受験者のふたりにひとり以上が不合格となる非常に厳しい水準であるとも言えます。
氏名非公表制度は合格者の8.4%が利用
修了考査の試験内容や結果とは関係はありませんが、平成28年度の修了考査から制度変更があり、現在の修了考査では、受験者本人から申請があれば、合格発表時に氏名を公表せず受験番号のみを公表することが可能となっています。
今回の修了考査においても、合格者名簿を確認すると、全国で72名の方が氏名非公表制度を利用しているようです。
これは合格者全体の8.4%の人数となりますが、昨年度の利用者は9.7%でしたので、微減となっています。
本年度の特徴と今後の傾向、そして、転職市場は?
合格率の低さの理由は???
今回の修了考査合格者854名すべてが公認会計士協会の正会員登録を行ったとすると、公認会計士(正会員)数は31,793名(2020年3月31日現在)から32,647名へと、約2.6%増加することとなります。
また、今回の修了考査で特筆すべき点はやはり合格率の低さと言えるでしょう。
今回の修了考査の主な受験者は、平成28年(2016年)の会計士試験合格者、そして、平成27年(2015年)の合格者のうち昨年の修了考査で惜しくも不合格となった方々であり、合格率約10%の難関試験をくぐり抜けてきた方々となります。その母集団に対してこの低水準の合格率というのは、単純に試験が難しかっただけなのか、試験の難易度調整がうまくいかなかったのか、もしくは、会計士協会側に別の意図があるのか、気になるところです。
合格者の転職活動とコロナショック
修了考査の合格は、法人内での将来的な昇格にも影響するなど、公認会計士のキャリアプランにも影響があります。また、修了考査の合格を機に転職を考える方も少なくありません。
現在の転職市場はコロナショックの真っ只中であり、今後、求人が大きく減少していく可能性が高いと予想されます。
一方で、今年の修了考査の合格者数が少なく、転職市場に出てくる公認会計士の数も例年より少なくなる可能性もあります。転職市場は求人数と求職者数の需給バランスで成り立っていますので、求人数と求職者数が今後どう推移していくのか要注目です。
いずれにせよ昨年までの転職活動をすれば好条件の内定が獲得できた転職市場とは大きく変わると予想されますので、今後のキャリアに対してより早い段階から真剣に向き合えるかどうかで公認会計士のキャリアにも差が出てくる環境になると言えるでしょう。
※本文中のデータは全て公認会計士協会発表のデータより作成。
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