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2026年9月12日(土)に「第18回 公認会計士ナビonLive!! ~ここが変化の最前線~」が開催されます。
本記事では、2026年2月28日(土)に開催された、「第17回 公認会計士ナビonLive!! ~プロフェッショナルとしての立ち位置~」より、トークセッション「事業会社を内部から支える会計プロフェッショナル」の様子をお届けします。
本セッションに登壇いただいたのは、共にスタートアップでCFOを務めるスタディプラスの中島花絵さんと、Asobicaの須藤直樹さん。大手監査法人からスタートアップに転職したふたりの公認会計士が、自分に合うスタートアップの探し方、スタートアップで生き抜くために必要なマインド、スタートアップで働く「リスク」について語ってくれました。聞き手はタックスナップでコーポレートマネージャーを務める安松綾菜さんです。
※本記事の登壇者の肩書・経歴等はイベント登壇時のものになります。
※本記事の内容は公認会計士ナビにてセッションでの発言内容に編集を加えたものとなります。
目次
監査法人からスタートアップに移った、そのきっかけは?
安松(タックスナップ):それでは、「事業会社を内部から支える会計プロフェッショナル」というテーマでセッションを始めさせていただきます。今回はスタートアップで働くおふたりをお招きしました。
スタートアップと聞くと、「大変そう」「忙しそう」という印象がある方も多いと思いますが、今日はリアルなお話を聞いていきたいと思います。
中島(スタディプラス):スタディプラスの中島です。よろしくお願いします。
2003年に公認会計士試験に合格してからあずさ監査法人に約4年間在籍し、シニアスタッフまで務めました。その後「価格.com」や「食べログ」を運営している株式会社カカクコムに経営企画として転職し、予算管理やIRを担当。10年ほどをそこで過ごし、2018年にスタディプラスに移りました。現在は取締役CFOとしてコーポレート全般を担当しています。
スタディプラス株式会社
取締役CFO/公認会計士
日本証券アナリスト協会 認定アナリスト・国際公認投資アナリスト(CIIA)
中島 花絵
2003年大学在学中に公認会計士試験2次試験合格、2004年にあずさ監査法人に入所、2007年に公認会計士登録。 あずさ監査法人では、国際部にて日本法人の会計監査のほか、米国・欧州法人のリファーラル監査に従事。2008年に株式会社カカクコムに入社し、経営企画室長、財務経理部長及び企画IR室長を歴任。2011年に証券アナリスト、国際証券アナリストの資格を取得。
2018年にスタディプラス株式会社に入社し、現取締役CFO兼管理部長。
須藤(Asobica):Asobicaの須藤です。私は2009年に会計士試験に合格した後に、現在のPwC Japan有限責任監査法人に入所し、5年ほど金融機関の監査業務に従事しました。そこからIPOアドバイザリー部門へ異動しています。
2018年には、証券会社の公開準備部門への出向枠があったのでそこに応募し、投資銀行部門として上場審査対応や上場オファリングの業務経験を積みました。その後監査法人に戻ったのですが、事業会社で働きたくなり、当時シリーズAからBくらいのステージにあったAsobicaにジョインしています。
安松(タックスナップ):須藤さんは証券会社にも行かれているんですね。
須藤(Asobica):そうなんです。「新しいことをやりたい」と思っていたところに、タイミング良く証券会社への出向の話があったんです。想像以上に良い経験になりました。
ただ上場支援をしている中で、どうしても「自分も当事者になりたい」という気持ちが芽生えてきて、思い切ってスタートアップに飛び込むことにしました。
株式会社Asobica
VP of Corporate/Finance
公認会計士
須藤 直樹
2009年公認会計士試験(論文式)合格、2013年に公認会計士登録。大学卒業後、大手監査法人に入所。監査業務、およびIPOアドバイザリー業務に従事。その間、国内大手証券会社の投資銀行部門に出向し、上場審査対応、上場オファリング実務にも携わり、複数の企業のIPO、市場変更を支援。会計、ガバナンス、ファイナンス、上場準備対応等の経験を幅広く有する。2022年にAsobicaにジョイン。コーポレート部門を管掌し、管理部門体制整備、ファイナンス業務を担当。
安松(タックスナップ):中島さんはなぜ監査法人を飛び出したんですか?
中島(スタディプラス):私は元々、監査法人に一生いるつもりはなかったんです。会計士を目指した動機のひとつも、サラリーマンになりたくないというものだったんです(笑)。
それから試験に合格して、しばらく監査をしていたのですが、そのうちに「会社のことってよくわからないな」と感じ始めたんです。会計士なら「財務諸表は経営者の主張」といった話は聞いたことがあると思いますが、だからといって、財務諸表だけを見ていれば経営者の意図がすべてわかるわけではありません。
数字を主に見ている会計士という立場だとあまり気にしないかもしれませんが、プレスリリースや新製品の情報の方が大事なことだってあります。そちらもわかるようにならないと、このまま会計士として生きていくのは難しいと私は感じました。それで事業会社、特に経営企画の募集を探すことにしたんです。
安松(タックスナップ):ありがとうございました。それでは事業会社やスタートアップの内実を聞いていきたいと思います。
株式会社タックスナップ
コーポレートマネージャー
公認会計士・税理士
安松 綾菜
2019年に公認会計士試験に合格。2020年、有限責任あずさ監査法人に入社し、大手製造小売業を中心に、法定監査、IPO支援業務、ファンド監査業務などに従事。その後、税理士法人へ転職し、2023年に独立。法人・個人の税務支援をはじめ、スタートアップ企業に対する内部統制構築や経理体制整備を行う。
2025年より株式会社タックスナップにコーポレートマネージャーとして参画し、バックオフィス全般の統括、資金調達業務に加え、税理士としての知見を活かしたプロダクト開発支援やセミナー開催など、事業成長を支える幅広い業務を担っている。
スタートアップで働くなら、仕事の境界線をなくそう
安松(タックスナップ):事業会社、特にスタートアップへ転職するに際して、考慮すべき点があれば教えてください。
須藤(Asobica):「会社のビジョンに共鳴・共感できるか」ですね。
会計士をやっていると、どうしても数字に目が行きがちです。僕もそうでした。ただ、いろんな会社を見ているうちに、数字ではわからないことも多いことがわかってきたんです。
自分が転職活動していた際に好印象だと感じた会社の中にも、1年後に民事再生になったり、組織崩壊をきっかけに倒産した会社もありました。これは数字だけでは必ずしも見抜けません。
大事になるのは、信頼できる人に背中を預けられるかどうか。事業に当事者として愛着を抱けるか。苦しんでいるときにそれを心の支えにできるか。僕はこの辺りを重視して、Asobicaを選びました。
安松(タックスナップ):CEOと話したりするのも大事ですね。
須藤(Asobica):そうですね。代表や役員と会って、謙虚に誠実に事業に向き合っているか、港区で飲み歩いてないかとか(笑)を確認していました。
中島(スタディプラス):私も同じ意見です。「この事業を自分で伸ばしたい」と思えるかも大事だと思います。

安松(タックスナップ):監査法人とスタートアップでは働き方も求められることも異なると思います。実際に飛び込んでみてからは、どのように感じていますか?
中島(スタディプラス):スタートアップはあまり「仕事の境界線」がないんですよね。だからこそ「何でもやる」という精神が大事になってきます。
須藤さんは両方の経験がありますが、世のCFOには、証券会社系と会計士系がいます。
前者に求められるのは資金調達ですが、後者は必ずしもそうではありません。会計士は数字はもちろん、法律なども含めオールマイティに勉強してきている点が強みです。それを活かしつつ、どのような業務でもなんとかするというマインドが大切になってきます。
須藤(Asobica):確かに、会計士がCFOになろうと思ったら、まずはコーポレート業務から担当することが多いはずです。経理のみならず、経営企画、総務、労務、IT、場合によっては人事もすべて巻き取らなければならないかもしれません。
とはいえ、それも自分ひとりで回せるわけはなく、業務を理解して社内に仕事を振ることが必要。
そういう意味では、浅くてもいいので幅広い知識を備え、人を動かす力は必要となってきますね。
特にアーリーフェーズのスタートアップは、本当にカオスな状況です。請求書を出していなかった、契約を結んでいなかったなんてことも珍しくありません。
ただ、そこで文句を言うのではなく、それはそれで楽しまなければならないし、むしろ大切なのは、その環境を良くしていこうというマインドです。会社を変えていかなければならないタイミングになったら、ちゃんと周りを説得して、全体の調整をして、変革に向けて推進していくことも重要だと思います。

安松(タックスナップ):逆に、周りの方を見ていて、監査法人や大企業からスタートアップに転職して苦労している方の特徴はありますか?
中島(スタディプラス):周囲の方へのリスペクトを持たない方ですね。これは気をつけないと会計士も陥りがちかもしれません。
会計士は当然、会計の専門家です。一方で現場には、「私たち会計専門家にとっての常識」をぶち壊してくれる方が一定数いるんですね。でも、その方はその方で現場で戦っていて、別の分野でのスペシャリティがあるわけです。その点をリスペクトできないと、孤立してしまったり、動きにくくなったりしてしまう面はあるように感じます。
須藤(Asobica):完全に同意ですね。リスペクトをもちながらアンラーニングして、自分の考えを押し付けすぎない、正論をぶつけすぎないことが大事です。そのためにはコミュニケーション能力が必要で、自分の行動を変えられるかが重要だと思います。

スタートアップで働くことへのリスクをどう考えるべきか?
安松(タックスナップ):スタートアップでは業務範囲が広くなるというお話がありました。中島さんはどこまでの業務を担当されていますか?

中島(スタディプラス):経理、法務、労務、人事、広報、情報セキュリティなどです。広報や情報セキュリティ、人事は未経験でまったくわかりませんでしたが、外部の専門家と話ができるようになれば、なんとかなります。自分が納得できるところまで学べたら、あとはできる方を集めていくのが仕事になりますね。
須藤(Asobica):自分がすべての専門家になる必要はないので、社外の専門家を使いながら、自分は採用に汗をかくのが、スタートアップとしては王道かなと思っています。
僕も「このポジションの人を採用したい」となったら、1日1時間ちゃんと時間をとって、媒体を使いながらスカウトメールを送っています。
安松(タックスナップ):自分のキャリアを考えたときに、「いろんなことをする」ことに対してはどのように考えていますか?私はそれをすべきと頭ではわかってはいますが、同時に「キャリアや専門性の軸がブレてしまうのでは…」といった不安のような気持ちも抱いてしまいます。
中島(スタディプラス):いろんなことができるようになってくると、共通しているものがわかるようになってきます。なので、広げたから軸がブレるというより、結果として自分に残ったものを見るのが大事なのではないでしょうか。それに応じて自分の肩書きを適当に変えてしまえば良いと思います。

とはいえ、私も監査法人時代から、そんな自信があったわけではありません。転職していろんなことをやって、ここまでなんとかなってきたという結果があったからこそ、今の気持ちになっている面はありますね。
安松(タックスナップ):かっこよすぎます(笑)。
須藤(Asobica):業務が広がるのは、それはそれで成長に繋がるとは感じています。ただ、プレイヤーから離れていくという意味では、自分は少し寂しさを感じていて、物足りなさがないわけではありません。
例えば最近だと、AIツールの活用は会社として利用を避けられないと思いますが、それをどのように業務に落とし込んで生産性を上げるかということも、本当はもっと試したいなと思っています。
イベントの終盤では懇親会も開催しました
安松(タックスナップ):最後に、会場の皆様に対してメッセージをお願いします。
中島(スタディプラス):「会計士がベンチャー企業に行く」と聞くと、「リスクが高いのではないか?」と感じる方もいるかもしれません。ただ、ここでいう「リスク」を深く考える必要があります。
もちろん、ベンチャー企業にはビジネスが上手くいかずに倒産するリスクがあります。しかし、それが必ずしも働く方のリスクともなるわけではありません。そこに至るまでに何かしらの経験は積んでいるでしょうし、自身が賭けたものから何か得たものはあるはずです。例えば、私なら、今のCFOの経験を活かして、次は新たに監査役という仕事ができるかもしれません。
そういう意味では、会社の倒産=自分のキャリアにマイナスとは限りませんよね。
必ずしも会社のリスクとご自身のリスクは同じではないことを念頭に置けば、リスクを取りに行くことは問題ないと思います。
最後に、スタディプラスでも採用をしているので、興味のある方はぜひ採用ページを覗いてみてくれると嬉しいですね(笑)。
須藤(Asobica):スタートアップに転職してから、監査法人や証券会社時代に比べて接する方が増えたのは、個人的には嬉しく思っているポイントです。今日みたいなイベントもそうですし、資金調達に際してのVCや銀行の方とのコミュニケーションも、大きな経験値となっています。
スタートアップに飛び込むのは楽しいですよ。いろんな仕事をして、それを自分の血肉にできるというのは、非常に良い経験となっています。若手の会計士の方々は、ぜひスタートアップに飛び込んでみてください。
あと、Asobicaも採用ページを見てみてくれると嬉しいですね(笑)様々なポジションで積極採用しています。
安松(タックスナップ):中島さん、須藤さん、本日はありがとうございました。

【参加受付中!】第18回 公認会計士ナビonLive!! 開催!
第18回 公認会計士ナビonLive!!の開催が決定!
「ここが変化の最前線」をテーマに、「会計士×関税コンサル」「独立会計士×税務」「独立会計士×AI活用」「会計コンサル×IT・DX支援」といった分野にフォーカスをして公認会計士の方々にお話を伺い、みなさんとの交流の機会をお届けする予定です。みなさまのご参加お待ちしております!































