海外で働く -公認会計士の転職ナレッジ



海外で働く_キャリアページ用_求人情報_画像_求人用thumb

経済のグローバル化が進展し、大企業だけでなく日本の中小企業までが海外進出を行う現在、公認会計士が活躍するフィールドも国内だけに留まりません。日本経済が縮小傾向にある中で、高い語学力や国際感覚を身に付け、公認会計士がグローバルに活躍していくためのキャリア形成について解説します。

記事目次

海外で働く職種への転職の傾向

全体的な傾向

海外留学や海外勤務は公認会計士の中でも比較的人気のキャリアパスです。海外勤務が前提の求人は転職市場に一定数存在しますが、その中で公認会計士が採用対象になる求人となると、財務会計分野に限定されることもあり、少なめになります。

公認会計士が海外で働くためには、下記の4つの選択肢が想定されます。

1.国内の監査法人から海外に出向する。
2.海外現地の監査法人に転職する。
3.国内の事業会社から海外に出向する。
4.海外で現地の事業会社に転職する。

転職市場においては、即戦力の人材が求められるため、そういったポジションにチャレンジできるのは30代前半程度までが基本です。35歳を過ぎるとそれまでに実務上で語学を使う業務や海外勤務を経験していなければ、そういったポジションに転職するのは難しい傾向にあります。

また海外で働く場合は、キャリア以外にもビザ取得の問題などもあるため、働きたい国のビザ取得が容易かどうかも重要なポイントです。

海外勤務を実現するために必要な英語力

海外勤務や語学を活かせるポジションへの転職においては、ノンネイティブの場合「TOEICスコア」「ビジネスでの英語の使用頻度」「英文職務経歴書」をもとに総合的に判断され、TOEICは800点程度以上の取得が目安となります。

グローバル企業でTOEICスコアが選考基準として設けられている場合は、800点程度であることが一般的です。中には、グローバル企業の中でもトップクラスに位置する企業になると、TOEIC900点以上を基準にしているところもあります。

もちろん、TOEICスコアとビジネス英語力は必ずしも相関関係があるわけではありませんが(TOEICが高得点でも英語が話せるわけではないですが)、日本の転職市場ではTOEICスコアがひとつの指針として利用されています。中には採用や昇格の社内基準としてTOEICスコアを定めている企業もありますので、帰国子女の方でも、TOEICを受験しておくのが無難です。

なお、社内基準でTOEICが必須になっていない企業であれば、TOEFLでもTOEIC換算して前述の水準を満たすのであれば、当然のことながら問題はありません。

海外で働くための4つの選択肢とキャリアの特徴

先述しましたが、海外で働く方法として以下の4つがあります。それぞれの選択肢での具体的な転職方法や、キャリアの特徴について解説します。

公認会計士が海外で働くための4つの選択肢

1.国内の監査法人から海外に出向する。
2.海外現地の監査法人に転職する。
3.国内の事業会社から海外に出向する。
4.海外で現地の事業会社に転職する。

1.国内の監査法人から海外に出向する。

BIG4監査法人など、グローバルファームのメンバーファームとなっている監査法人などから海外に出向することによって海外勤務を実現することができます。

BIG4監査法人以外にもグローバルファームのメンバーファームは複数ありますが、実際に毎年一定数を出向させるのはBIG4です。BIG4以外のファームでは、グローバルミーティングに定期的に参加したり、案件やクライアントをシェアしたりするなどの交流はあり、日本の人員を海外に出向させることもありますが、BIG4と比較するとその数は多くありません。

一方で、BIG4においても近年は海外勤務に選ばれることは簡単ではなく、社内での選抜もあるため、監査やアドバイザリー実務で高い評価を受け、かつ、TOEICスコアを高めるなど、一定の努力をしておくことが必要です。

2.海外現地の監査法人に転職する。

海外で勤務するために海外の監査法人の中途採用に直接応募する方法もあります。

日本国内で海外の監査法人の採用情報を探す場合、現地事務所のwebサイトなどから直接応募するのが一般的です。国内では、会計監査ジャーナルやJICPA Career Naviなどに海外現地ファームの求人情報が掲載される場合もあります。

日本の公認会計士が海外現地のファームに転職する場合、日系企業が多く進出している地域が採用されやすく、近年では中国(香港、上海、深セン 等)、シンガポール、タイ、ベトナムなどの東南アジア諸国、その他、アメリカ、イギリスなどが代表的です。

海外現地のファームが日本人公認会計士を採用する場合、日本企業の現地法人関連のジョブのマネジメントや彼らとのコーディネート、営業などを任されることが一般的です。(現地の会計実務は現地スタッフに任せてしまうことが多いです。)

3.国内の事業会社から海外に出向する。

グローバル企業に転職すれば、海外の子会社などに出向するチャンスがあります。

特にグローバル企業の経理財務部門では、海外子会社のCFOやControllerとして海外出向する機会も少なくありません。(出向先の規模にもよりますが、小規模子会社であれば経理、財務、労務、人事など幅広い業務の統括経験が積める場合もあります。)

この場合、いきなり海外勤務になるのではなく、入社後3年から~5年間は本社経理部門などに配属され、本社の経理体制を理解した上で、海外に出向となるケースが多い傾向にあります。

また、近年は、日系企業(特に製造業)が発展途上国や後進国に生産拠点を有しているケースも多く、場合によっては僻地への赴任となるケースもあります。

4.海外で現地の事業会社に転職する。

働きたい国や地域が決まっている場合、現地の日系企業(日本のグローバル企業の子会社等)に直接就職する方法もあります。

その際、人事・給与制度に注意する必要があります。特に新興国などにあるグローバル企業の子会社の場合、本社からの出向者と現地採用者の給与差が大きい傾向にあり、新興国の日本企業で現地採用となると、給与が日本からの出向者の半分以下のケースもあるため注意が必要です。

公認会計士ナビの転職エージェント【PR】

公認会計士のための転職エージェント

転職エージェントサービスを見る

海外勤務後のキャリアと転職

海外から帰ってきた公認会計士に、どのようなキャリアの選択肢があるのか気になる方も多いと思います。

海外キャリアには、海外経験を活かし、国内の会計ファームの国際部門や事業会社の海外関連部門で活躍できる可能性がある一方で、注意点もあります。

事業会社で海外勤務を経た場合、同様の日系グローバル企業の海外子会社のCFOなどマネジメントや管理職ポジション、もしくは、日系グローバル企業の日本本社の海外子会社管理などのポジションで評価される傾向にあります。

会計ファームの業界では、海外勤務を経ることによって、日本のファームの国際部門などで評価されやすくなります。一方で、海外での勤務期間が長くなり、あまりに日本の会計基準やトレンドから離れすぎていると、日本に戻ってくる際の転職活動が厳しくなるケースもあります。特定の国だけに詳しい状況だと、知識が偏りすぎていて、そのスキルを活かせるファームや部門が少ないためです。年齢が40歳を超えてくると、管理職候補での採用となるため、ポジションに空きがあるファームが少なく、転職先が見つかりにくいこともあります。

そのため、例えば、会計領域で言うと、海外勤務中も日本の会計基準や上場企業の事例や証券取引所の規定などにもキャッチアップしておいたり、もしくは、日本の公認会計士とも定期的に連絡を取り、転職先候補につながるような人脈を維持しておいたりすることも重要になります。

海外で働く場合の年収

海外で勤務する場合、国や地域、為替相場によって年収は異なりますが、BIG4監査法人の海外事務所であれば、日本人が出向または現地採用となった場合、日本円換算で年収800万円程度以上は保障されてることが多く、30代中盤以上であれば1200万円~1300万円相当(またはそれ以上)であることも少なくありません。

海外で勤務する場合、海外の家賃事情、生活費、為替リスク、現地および日本の所得税などを考慮して希望年収を決定する必要があります。

海外で活躍する公認会計士の記事を読む

あなたの同期はいる?キャリアで会計士の記事を検索!

公認会計士ナビでは、海外勤務を始めとした様々なフィールドで活躍する公認会計士の記事をまとめてあります。下記ページをご参考ください。

海外で活躍する会計士の記事を読む

本気の英語学習ならプログリット【PR】

英語コーチングのプログリット_広告バナー

まずは無料カウンセリングへ

公認会計士の受講者も多数!英語の初級者・中級者・上級者などのレベルに関わらず、あなたの英語学習の状況や課題をヒアリングさせて頂き、最適な学習プログラムを設計いたします。

【無料】プログリットへのご相談はこちら

おすすめ書籍

海外での仕事や転職について学ぶには下記の書籍が参考になります。

グローバルで成功するプロの仕事術

グローバルで成功するプロの仕事術

  • 内田 士郎
  • 価格¥650(2020/08/06 20:07時点)
  • 出版日2007/09/06
  • 商品ランキング508,412位
  • 単行本(ソフトカバー)256ページ
  • ISBN-104396612893
  • ISBN-139784396612894
  • 出版社祥伝社
アジア進出企業の会計・税務 (事業展開における実務マニュアル)

アジア進出企業の会計・税務 (事業展開における実務マニュアル)

  • 大久保 昭平
  • 価格¥3,740(2020/08/07 08:34時点)
  • 出版日2017/11/20
  • 商品ランキング824,525位
  • 単行本358ページ
  • ISBN-104433667870
  • ISBN-139784433667870
  • 出版社清文社
中小・ベンチャー企業のための 東南アジア進出戦略

中小・ベンチャー企業のための 東南アジア進出戦略

  • 大久保昭平
  • 価格¥3,080(2020/08/07 09:17時点)
  • 出版日2015/07/08
  • 商品ランキング381,544位
  • 単行本242ページ
  • ISBN-10450214651X
  • ISBN-139784502146510
  • 出版社中央経済社
英文履歴書の書き方Ver.3.0

英文履歴書の書き方Ver.3.0

  • 有元 美津世
  • 価格¥2,750(2020/08/07 13:35時点)
  • 出版日2013/03/01
  • 商品ランキング68,798位
  • 単行本(ソフトカバー)400ページ
  • ISBN-104789015173
  • ISBN-139784789015172
  • 出版社ジャパンタイムズ
採用される英語面接 対策と実例集 (CD book)

採用される英語面接 対策と実例集 (CD book)

  • 田上 達夫
  • 価格¥2,200(2020/08/07 13:35時点)
  • 出版日2004/02/01
  • 商品ランキング300,035位
  • 単行本269ページ
  • ISBN-104860640497
  • ISBN-139784860640491
  • 出版社ベレ出版
英語のできない人は仕事ができる 「本当に使える語学力」とは何か

英語のできない人は仕事ができる 「本当に使える語学力」とは何か

  • 小林一郎
  • PHP研究所
  • 価格¥1,100(2020/08/07 13:35時点)
  • 発売日2010/03/20
  • 商品ランキング183,702位

公認会計士のためのおすすめ書籍はこちら

公認会計士の求人・転職・キャリア情報はこちら

公認会計士の海外キャリアをプロの転職エージェントに相談しよう

公認会計士のための転職エージェント

公認会計士ナビの転職エージェントサービスでは、海外キャリアを目指す公認会計士の方の転職をサポートしております。

本ページの内容よりさらに詳しく、また、ご相談頂く方の経歴に落とし込んだアドバイスを行い、転職前の情報収集から、転職活動(キャリアプランの策定、求人紹介、応募書類の添削、面接対策 等)までサポート致します。ご希望の方は下記よりお申込みください。

転職エージェントサービスを見る


 



この記事の著者

→記事一覧

【手塚佳彦/公認会計士ナビ編集長・株式会社ワイズアライアンス代表取締役CEO】 神戸大学卒業後、会計・税務・ファイナンス分野に特化した転職エージェントにて約10年勤務。東京、大阪、名古屋の3拠点にて人材紹介・転職支援、支社起ち上げ、事業企画等に従事。その後、グローバルネットワークに加盟するアドバイザリーファームにてWEB事業開発、採用・人材戦略を担当するなど、会計・税務・ファイナンス業界に精通。また、株式会社MisocaのアドバイザーとしてMisoca経営陣を創業期から支え、弥生へのEXITを支援するなどスタートアップ業界にも造詣が深い。 2013年10月、株式会社ワイズアライアンス設立、代表取締役CEO(Chief Executive Officer)就任、公認会計士ナビ編集長。

会計士の転職なら!

公認会計士ナビ_公認会計士専門の転職エージェント

会計士の採用なら!

公認会計士ナビの人材紹介サービス

パートナー企業

公認会計士ナビは以下のオフィシャルパートナー様にサポート頂いております。

【プレミアムパートナー様】


Clifix_logo_330_280


【プラチナパートナー様】


Ohwa_banner_應和監査法人_agn INTERNATIONAL_バナー用


PwCJapan有限責任監査法人


株式会社エッサム


弥生会計


リンクパートナーズ法律事務所


青山綜合会計事務所


管理部門支援のプロフェッショナル集団・Bridgeグループ


令和アカウンティング・ホールディングス



【ゴールドパートナー様】


南青山アドバイザリーグループ


公認会計士によるM&A・IPO支援はスタンドバイシー


TKW M&Aファイナンス会計税務事務所_ロゴ


事業再生・M&Aのプロ集団「J-TAP Group」_ロゴ


会計事務所の強みになるクラウド会計freee


バックオフィスから経営を強くする「マネーフォワード クラウド」

東京共同会計事務所

グローウィン・パートナーズ株式会社

クラウドERPのビーブレイクシステムズ


YKPlanning_logo_1500_500


海外進出支援のCaN International


→パートナー企業一覧


→パートナープラン詳細

  1. 監査法人IPOランキング_2020

    2020年 監査法人IPOランキング!EY新日本が3年連覇、太陽が3位に、…

  2. 弥生PAPカンファレンス2020秋_弥生_岡本浩一郎氏

    年末調整や電子インボイスなど「社会的システムのデジタル化」を弥…

  3. 公認会計士ナビ10周年ロゴ

    【10周年!】公認会計士ナビは10周年を迎えました!

  4. 2019年監査法人IPOランキングサムネイル

    2019年 監査法人IPOランキング!EY新日本が2年連続で首位!BIG4から…

  5. teensprit_サムネイル

    ティーンスピリット宮地俊充、会計士試験合格後の10年を語る~会計…

  6. 東芝事件とは?事件の始まりから結末まで全貌まとめ_株式会社東芝

    東芝事件の全貌とは?事件の経緯と関連ニュースを時系列でまとめて…

会計士の独立に!PR

■税理士開業塾

税理士会業塾:公認会計士の独立支援

公認会計士ナビの転職エージェント