投資銀行への転職 -公認会計士の転職ナレッジ



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リーマンショック後、一時期ほどの華やかさや注目がなくなった時期もありますが、ファイナンス分野のビジネスパーソンにとって今も投資銀行業務は高い報酬を得ながらダイナミックなM&Aディールなどに携わることができる魅力的なキャリアパスのひとつです。

また、公認会計士にとっても投資銀行業務はファイナンスの知識を活かし、新聞やニュースを賑わせるようなビッグ・ディールに携わることがデキるエキサイティングな仕事です。一方で、投資銀行での仕事は景気の動向に大きく左右され、また、タフなインベストメントバンカーたちとの過酷な競争にも勝ち抜かなければならないハイリスクハイリターンなキャリアパスでもあります。

投資銀行への転職の傾向

  • 投資銀行の採用は景気動向に大きく左右される。景気が上り調子の時や、好景気の時には採用数も増加し、提示年収も増加する傾向にある。
  • 景気が良い時には、投資銀行の志望者も増加しやすい。
  • 監査法人や会計業界から投資銀行に転職する場合、風土のギャップは大きいため、金融機関特有のタフな風土に適応できるかどうかはひとつのポイントである。
  • 監査経験のみの公認会計士であれば、外資系金融機関の投資銀行部門(以下、外資系投資銀行)への転職は、若いうちが有利であり、一般的にその年齢は20代半ばから後半程度までである。(20代後半以降の年齢では、高い英語力とFAS経験がなければ採用される可能性は高くない。)
  • 投資銀行の採用では、公認会計士というだけでなく、高い学歴や英語力など履歴書上の見た目も良い経歴が必要である。特に、20代前半で外資系投資銀行に採用される公認会計士はそのような経歴であることも少なくない。
  • 日系金融機関の投資銀行部門(主に大手証券会社の投資銀行部門など。以下、日系投資銀行)でも基本的には若手人材が好まれる。但し、日系金融機関は外資系金融機関と比較して採用力には劣るため、投資銀行未経験でも30歳程度の人材も採用対象とする場合もある。
  • 外資系投資銀行への転職では、基本的に高い英語力を有している人材が望ましい。(英語力を有さない人材も採用されないわけではないが、社内に外国人社員が多いため、原則、英語力を必要とされる。)
  • 日系投資銀行でも、近年はクロスボーダーディールが増加しているため、語学力の高い人材が求められる傾向にある。

投資銀行の年収

  • 投資銀行の年収は日系金融機関に勤務するか、外資系金融機関に勤務するかで大きく異なってくる。
  • 日系投資銀行の場合、採用される金融機関やポジション等にもよるが、スタート時は基本年俸で700万円~1,000万円程度(+インセンティブボーナス)が基準となる。
  • 日系投資銀行の場合、ある程度、昇格するとインセンティブボーナス込みで1,500万円程度の年収までは確保できる可能性が高い。
  • 外資系投資銀行部門の場合、年俸1,000万円以上でのスタートの可能性が高い。また、年俸の倍以上のボーナスが付与される可能性もある。(活躍度合いや部門の業績によって30代で数千万円の年収を得ることも可能。)
  • 近年では、外資系投資銀行に対抗するために、日系投資銀行でも高年俸の評価制度やインセンティブボーナスを導入しているところもある。
  • 日系、外資系投資銀行ともに、大手であれば年俸以外に家賃補助や借上げ社宅、その他様々な福利厚生が用意されていることが多い。

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投資銀行業界でのキャリアの特徴

  • 投資銀行未経験者の場合、アソシエイト職からのスタートが基本である。(日系投資銀行の場合は、金融機関の等級や人事テーブルに当てはめるため、対外的には「アソシエイト」の役職となりつつも、社内での等級は「主任」や「役職なし」となる場合もある。)
  • 投資銀行のアソシエイト職は、パワーポイントを使っての営業・提案資料の作成やエクセルを使っての分析(バリュエーション含む)業務などを中心とした職務を担う傾向にある。
  • 投資銀行には、「引受け業務」と「FA(ファイナンシャルアドバイザリー)業務orコーポレートファイナンス業務」があるが、公認会計士が採用されやすいのは後者である。また、世間一般の投資銀行のイメージも後者をもとに語られることが多い。
  • 投資銀行での勤務は基本的に激務である。特に、ディールのスタートと共に急に繁忙期に入るので繁閑の波は読みにくい。また、仕事のハードさから「投資銀行に長年勤務するのは難しい」と考えながら勤務している投資銀行マンも少なくはない。
  • 投資銀行では、会計や財務の知識だけでなく、ビジネス分析(バリュエーション含む)やM&Aに関する会計および税務ストラクチャー、ファイナンスストラクチャー、証券取引所の上場維持・廃止基準などに至るまで多種多様な知識や営業力、提案力が必要とされ、そこで身に付けられる知識と経験はFAS業務と比較して格段に高度である。
  • 投資銀行にてキャリアを積むと、その後は金融業界にてキャリアを積んでいくか、ファイナンスや金融系のコンサルティングファームや事業会社の財務・経営企画部門、プライベートエクイティファンドなどに転職する傾向にある。(但し、投資銀行のような高年収を維持することは難しい傾向にある。)
  • 投資銀行でキャリアを積むとその後のキャリアも華やかになると考えられがちだが、決してそうではなく、投資銀行は競争の厳しい業界であるため、一定の年数を経てそこそこの役職に昇格できなければ投資銀行業界では評価されにくくなる。(履歴書上も「この人材はこのポジションから昇格できなかったのだな」とわかるキャリアになってしまうケースも有る。)
  • 一方で、投資銀行で実績を出した人材であれば、多様な人脈や経験を活かして、トップファームや上場企業、起業などのキャリアを実現する人材も少なくない。
  • 投資銀行はファイナンスのキャリアであるため、数年勤務するとそこから会計分野に戻るのは難しくなる傾向にある。

投資銀行業界で活躍する公認会計士の記事を読む

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【手塚佳彦/公認会計士ナビ編集長・株式会社ワイズアライアンス代表取締役CEO】 神戸大学卒業後、会計・税務・ファイナンス分野に特化した転職エージェントにて約10年勤務。東京、大阪、名古屋の3拠点にて人材紹介・転職支援、支社起ち上げ、事業企画等に従事。その後、グローバルネットワークに加盟するアドバイザリーファームにてWEB事業開発、採用・人材戦略を担当するなど、会計・税務・ファイナンス業界に精通。また、株式会社MisocaのアドバイザーとしてMisoca経営陣を創業期から支え、弥生へのEXITを支援するなどスタートアップ業界にも造詣が深い。 2013年10月、株式会社ワイズアライアンス設立、代表取締役CEO(Chief Executive Officer)就任、公認会計士ナビ編集長。

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