投資ファンド(PEファンド)への転職 -公認会計士の転職ナレッジ

  • 2013/5/1

公認会計士の中には、企業経営に興味を持ったことをきっかけに、公認会計士資格の取得を目指した方も少なくないでしょう。そのような方々にとって、高い成長可能性を有する企業に投資を行い、経営にも参画する投資ファンド(プライベートエクイティファンド)の業務は、経営、財務、金融といった公認会計士のポテンシャルをフルに発揮できる魅力的なキャリアです。一方で、プライベートエクイティファンドの採用は公認会計士であっても簡単に採用されることはないハードルの高いキャリアでもあります。

本項の注意点

  • 「投資ファンド」という言葉は広義では「ヘッジファンド」「アクティビストファンド」「不動産ファンド」など株式や不動産・商品への投資および運用を行うファンドの意味でも用いられますが、本項では「未上場企業を投資対象とするプライベートエクイティファンド(以下、PEファンド)」と定義し、公認会計士がPEファンドに転職するケースとして解説致します。
  • PEファンドの中でも、ベンチャー企業への投資を専門とするものは「ベンチャーキャピタル」と呼ばれ、ベンチャーキャピタルはPEファンドの中のひとつに含まれます。本項では読者に理解して頂きやすいよう、ベンチャー企業投資を専門とするPEファンドを「ベンチャーキャピタル」、それ以外を「PEファンド」と定義して解説します。
  • 投資ファンドには、企業に投資をし、そのバリューアップを図り、キャピタルゲインの実現を目指す「キャピタリスト職」と経理やファンド管理などを行う「バックオフィス職」があります。本項では、前者の「キャピタリスト職」に絞って解説します。

投資ファンド(PEファンド)への転職の傾向

  • 公認会計士にとって、投資ファンド(PEファンド)への転職は比較的人気の高い転職先である。しかしながら、選考ハードルが高いため、実際にPEファンドに転職できる公認会計士は少ない。
  • PEファンドは少数精鋭の組織であることが多く、公認会計士に限らずPEファンドへの転職は狭き門である。選考ハードルも高く、転職を実現するのは簡単ではない。
  • PEファンド業界の求人は、株式市場が好調な時期は増加する傾向がある。(特にベンチャーキャピタルではその傾向が顕著であり、株式市場が低調な時期にはベンチャーキャピタルの求人は転職市場にほとんど出ない傾向がある。)
  • PEファンドが求める人材は、ファイナンス分野の人材であるとのイメージも強いが、実際は投資先の経営幹部候補(経営管理、戦略、マーケティングなど経営全般に精通する人材)を目指せる人材であることが多い。そのため、PEファンドに採用されるためには、ファイナンスだけでなく、経営や戦略全般に関する知識や興味関心、ポテンシャルを有した人材である必要がある。
  • PEファンドに転職するにあたって、公認会計士以外で競合となる職種は、金融業界出身者(投資銀行など)、戦略系コンサルタント、事業会社での経営企画経験者などである。
  • 監査経験のみの公認会計士の場合、PEファンドに転職できるのは一般的に20代のみである。また、監査しか経験していない公認会計士が採用されることは稀であるので、FASなどの経験を積んだ上でチャレンジすることが望ましい。
  • FAS経験や金融機関のフロント職、有名企業の経営企画職などの経験がある公認会計士であれば、30代前半~半ばまではPEファンドへの転職可能性がある。但し、FAS経験があるから採用されやすいということは決してなく、パーソナリティーやキャピタリストとしての素養、現職や前職での実績など求められるものは高い。
  • PEファンドの中でも、IPOを主なイグジット手法とするベンチャーキャピタルでは、公認会計士はやや評価されやすい傾向にあり、投資先の株式公開の支援要員として期待される傾向もある。
  • PEファンドを受験する場合、PEファンドの仕組み、キャピタリストの仕事内容、PE業界に関する時事問題などをしっかりと理解しておくことが最低条件だが、その点をしっかりと押さえて受験する公認会計士は意外と少ない。
  • 監査経験のみの公認会計士がPEファンドを受験する場合、ファイナンス(資金調達・財務分析)や会計(組織再編・企業再生に関する税務会計)などの基礎的な知識を補っておく必要がある。また、経営戦略やマーケティングに関する書籍も複数冊読んでおくなど、ファイナンス以外の分野に関する知識を身に付けておくことも重要。
  • PEファンドは国内企業に投資することが多いため、転職において英語力が求められることは多くはない。但し、日本全体がグローバル化する中で、投資先のバリューアップに海外展開を意識するPEファンドが増えてきていることから、今後は英語力が必要となってくることも予想される。また、海外PEファンドの日本支社などの場合は入社時点から英語力が求められることもある。

投資ファンド(PEファンド)の年収

  • PEファンドの給与水準はファンドによって異なるが、転職市場では、年収500万円~800万円程度のアソシエイト職やシニアアソシエイト職の求人が出ることが多い。
  • PEファンドでは、ファンドのパフォーマンスに連動するボーナスも大きいため、イグジットが成功し、高額なキャピタルゲインを実現した場合、年俸とは別途で高額のボーナスが出ることもある。(その場合、1回のボーナスが数百万から1,000万円超に及ぶケースもある。)

投資ファンド(PEファンド)業界でのキャリアの特徴

  • PEファンドに転職することにより、公認会計士からキャピタリストへとキャリアチェンジすることになる。そのため、企業会計のプロ(公認会計士)ではなく企業投資・経営のプロ(キャピタリスト)としてのキャリアを積んでいくこととなる。
  • PEファンドでキャリアを積むことによって、企業経営に精通することができるので「経営のプロ」を目指すことができる。(事業会社の経営幹部や経営企画職としての可能性が広がり、「CFO」だけでなく、「CEO」としてのキャリアを目指せる可能性も出てくる。)
  • PEファンドでのキャリアが長くなると、監査や会計系アドバイザリーなどには戻りにくい。一般的に、5年在籍してしまうと、会計の世界にはかなり戻りにくくなる。
  • PEファンド業界は業界内でのつながりも強いので、会計業界以外の人脈を形成することができる。
  • 一方で、投資先候補のデューデリジェンスや組織再編などで会計ファームを利用することもあるので、公認会計士とのつながりも残る傾向にある。

おすすめ書籍

投資ファンド(PEファンド)での業務や仕事内容を学ぶには下記の書籍が参考になります。

バイアウト

ブラックストーン

EXIT 売却

プライベート・エクイティ価値創造の投資手法

カーライル―世界最大級プライベート・エクイティ投資会社の日本戦略

公認会計士のためのおすすめ書籍はこちら

公認会計士の求人・転職・キャリア情報はこちら

<ご注意>
本項に掲載されている情報は、公認会計士ナビ運営事務局が転職エージェントや監査法人・コンサルティングファームの人事担当者からの情報、インターネット上にて得られる情報などを吟味し作成したものになります。その内容は一般的な意見や情報をまとめたものになりますので、情報の普遍性や正確性を保証するものではありません。また、その内容は時期や景気の動向によって変化する可能性もあります。ご理解の上、ご購読下さい。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

公認会計士ナビが転職をサポート!

公認会計士のための転職エージェント

過去の注目記事

  1. 来る2015年8月29日(土)に 第4回・公認会計士ナビonLive!!(テーマ:税務/会計系スタ…
  2. 来る2016年8月20日(土)に東京・日本橋にて公認会計士と「FAS・コンサルティング」「ベンチャー…
  3. 会計士・渡邉孝江が聞いてきた!Vol.1
    みなさん、こんにちは。渡邉孝江です。公認会計士です。先日、「大手監査法人を2年半で辞めてスタートアッ…
  4. 渡邉孝江が食べてきた!サムネイル画像
    みなさん、こんにちは。渡邉孝江です。食事しながら失礼します! 突然ですが、こちらのロコモコ丼…
  5. このコーナーでは、“くわえもん”こと高桑昌也氏が、厳しく、優しく、ユーモラスに公認会計士のみなさ…
  6. 印具 毅雄(ツバイソ株式会社 代表取締役 CEO 技術系会計士)
    来る2016年2月20日(土)に第5回・公認会計士ナビonLive!!in大阪が開催されます。 本…

更新情報

公認会計士ナビの更新情報は下記よりご購読頂けます。

follow us in feedly

公認会計士ナビをフォロー
公認会計士ナビ RSS

公式サービス

公認会計士のための転職エージェント

公認会計士ナビの人材紹介サービス

公認会計士ナビのスポンサー募集

会計事務所求人名鑑

スポンサー企業

公認会計士ナビは以下の企業様をはじめとするスポンサーにサポート頂いております。

あらた監査法人

株式会社エッサム

弥生会計

税理士法人平成会計社

ディスクロージャーのパイオニア 宝印刷

企業の経営支援コンサルティングは山田ビジネスコンサルティング

東京共同会計事務所

企業の持続的成長を支援するエスネットワークス

海外進出支援のCaN International

管理部門支援のプロフェッショナル集団・Bridgeグループ

無料で使える請求書・見積書管理サービスmisoca

全自動の会計クラウドフリー お申し込みはこちら!

自動型クラウド会計ソフト MFクラウド

MacでもWindowsでも使える中小企業向け会計クラウド

オンライン英会話ベストティーチャー

→スポンサー企業一覧

→スポンサープラン詳細

PR:会計士の独立に!

■税理士開業塾

税理士会業塾:公認会計士の独立支援

■JCBの法人・事業者カード

会計士の独立にJCB法人カード

ページ上部へ戻る