第4回:SPC管理のみならずアセットマネジメントも行う会計事務所へ、証券化ビジネスからの次なる展開【進化するFSビジネス】

東京共同会計事務所 進化するFSビジネス 第四回 thumb
1992年の創業以来、証券化・ストラクチャードファイナンスといったフィナンシャルソリューションビジネス(以下、FSビジネス)のパイオニアとして、金融業界において存在感を発揮してきた東京共同会計事務所。一部では既に成熟したとも言われる証券化業界だが、東京共同会計事務所は、従来にはない証券化案件の組成やビジネスの開発に取り組んでいる。
本シリーズでは、その東京共同会計事務所のFSビジネスにおける新たな取組みと組織について特集する。

これまでの記事はこちら →シリーズ:進化するFSビジネス

第4回の今回は、東京共同会計事務所にて、再生可能エネルギーを中心とするアセットマネジメント会社の起ち上げに従事し、活躍する北川久芳氏のインタビューをお届けする。

東京共同会計事務所
フィナンシャル・ソリューション部
アドバイザリーグループ グループリーダー
株式会社東京クリーンパワーマネジメント(東京共同会計事務所グループ法人)
経営管理部長・投資企画部長
不動産証券化協会認定マスター
北川 久芳

会計事務所における証券化ビジネスというと、SPCを設立し税務・会計・法務業務を代行するアウトソーシング、もしくは、証券化に関する税務会計ストラクチャーのアドバイザリーが一般的だろう。
しかし、ここ東京共同会計事務所では、アセットマネジメント業務を行う株式会社東京クリーンパワーマネジメントを設立し、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーのSPC管理のアセットマネジメントにも携わる。
黎明期より証券化業務に携わり、金融業界から東京共同会計事務所へと転じ、同業務に従事する北川氏に話を聞いた。

太陽光発電事業のSPC管理にいち早く進出

不動産証券化に用いられるSPCの事務管理の草分けとして、数多くの実績を残してきた東京共同会計事務所。そんな東京共同会計事務所だが、2013年には太陽光発電プロジェクトに関するアセットマネジメント事業に乗り出している。この新事業の立ち上げを主導したのが、北川久芳氏である。

「東京共同会計事務所に入所したのは、2007年です。東京共同会計事務所に来る前は、カード会社の財務部門で、主としてマーケットからの資金調達に携わっていました。それも、普通に市場からお金を集めるというのではなく、オートローン債権・カード債権などの営業資産をまとめてSPVに譲渡し、代わりにSPVが信託受益権や社債を発行するという形のアセットファイナンスに、まだ債権流動化・証券化というものが黎明期だった1990年代半ばごろから取り組んでいました。
その時に、東京共同会計事務所の代表である内山隆太郎とビジネスを通じて知り合い、のちに転職を考えていたタイミングで、たまたま代表から声をかけられたのが、入所のきっかけです。

当時の東京共同会計事務所には、不動産の証券化に関する案件が次々に舞い込んでくる状況で、私自身、営業的な仕事をする機会はほとんどありませんでした。ただ、徐々に内部の組織改変なども進むなかで、事務所のフロント部門に籍を置くことになりました。」

東京共同会計事務所において、北川は、フィナンシャル・ソリューション部のディールコントロールチーム(DCT)を統括。DCTは東京共同会計事務所の顔としてクライアントとの窓口を担い、案件受託のための営業活動を行う。ただし、営業とはいっても、会計事務所のそれは、クライアントに出向きガツガツ仕事を取ってくるというスタイルではない。

「基本的に、設立したSPCに役員を派遣したり、所在地を提供したり、キャッシュマネジメントを行って会計帳簿を作成し、決算、税務申告を行う――といった事務管理業務を担うのが、東京共同会計事務所のサービス。あくまでも、プロジェクト毎に組成されたSPCに対してサービスを提供するわけですね。
ですから、受託した実際の仕事を行う上で、その作業品質や追加で提供できるサービスをアピールすると同時に、例えば潜在的にそうしたプロジェクトに対するニーズを持つお客さまに対し、『東京共同会計事務所ならば、他の事務所にはできないこういうことも可能です』といった話をして、SPCを立ち上げる際に使っていただく。いわば顧客ニーズを汲み上げた上で提案し、ご指名をいただく“待つ”営業なのです。」

そして2012年、再生可能エネルギーの普及に向けて、発電された電力の固定価格買取制度(FIT)がスタートする。

「これを機に、日本では太陽光発電ビジネスが急成長をみせました。事業者には、自ら設備を設けて発電する人もいれば、事業に出資してリターンを狙うという場合もあります。その後者の事業パターンの一つとして、SPCを活用したスキームが広まっていったのです。

FITが導入(法制化)されるという時に、ここでもSPCを使ったビジネスが始まるのではないか、という予測をなんとなくは持っていました。ですから、東京共同会計事務所のコンサルティング部と連携し、早い段階から資金の出し手となるメガバンクなどの金融機関に対し、ストラクチャリングや会計税務面を中心した相談に乗っていたところ、目論見が当たり金融機関経由で次々に新規案件の受注依頼が舞い込み、SPCが相当数立ち上がっていきました。現在、当事務所で管理している案件は再生エネルギーだけで、数百件に上っています。」

アセットマネジメント業務に携わる子会社を設立

このように太陽光発電ビジネスにおいても管理業務からスタートしたわけだが、北川氏の予想を超えるニーズの大きさが徐々に明らかになっていく。

「始めてみると、再生可能エネルギー分野には、同じくSPCを活用した投資スキームである不動産証券化におけるアセットマネージャーのように、業務・役割などが確立されたプレーヤーはほとんどいないことがわかりました。そのため、レンダーなどからは、『東京共同会計事務所でアセットマネジメント業務を担って欲しい』という要望を受けるようになったわけです。

そうした経緯で、2013年、再生可能エネルギーのアセットマネジメントを専門に行う子会社『株式会社東京クリーンパワーマネジメント』を設立し、当該事業に本格的に乗り出しました。ここでの仕事は、従来の“待ち”とは違って、能動的です。
例えば、事業者に代わって融資を受ける銀行のアレンジメントを行う、案件弁護士へ各種契約書の作成依頼や契約内容の調整、プロジェクトの進捗管理を行うなど、主たるプレーヤーとしてSPCを運営していくわけです。東京共同会計事務所のSPCの事務管理を行っている部署に対して、指示を出す立場になるといえば、わかりやすいでしょうか。」

北川氏が指摘するようにアセットマネジメントは、会計事務所では異色の能動的な機能といえる。案件の関係者との調整や投資家、金融機関などとの対応も、すべて主体的に決定して行動しなくてはならないからだ。

「アセットマネジメント業務においては、それぞれのプロジェクトについて、より深い理解、関与の仕方も要求されます。例えば、SPCの事務管理のみの場合にはほとんど関係なかった発電所の太陽電池パネル、パワーコンディショナなどの発電システムの構造や設備に対する知識、FITや電気事業法などの法制面の知見、プロジェクトファイナンスにおける各条項の理解といったことも必要になるのです。
また、プロジェクト毎の収支計画・事業計画などの策定業務や実績管理も重要な仕事となります。お客さまに頼られる局面も増え、個人的には、大変ながらも非常に大きなやりがいを感じています。

大手の金融機関のような優良顧客からの依頼も多く、そうしたところから頼りにされるのも、仕事をするうえでの励みになっています。そうであるからこそ、なおさら謙虚でなくてはいけない、常に勉強を怠るべからず、と自分には言い聞かせています。」

太陽光から再生可能エネルギー全体への拡大、新たなサービスづくりに挑む

大きなニーズを掘り起こした北川氏だったが、現在はFITにおける買取価格の引き下げなどにより、新規の太陽光発電プロジェクトが続々生まれるという環境ではなくなっている。
しかし、パイオニアとしての一日の長がある北川氏、すでに次の市場へと動き出している。

「2013年にスタートした当時は、私1人で細々とやっていたのですが(笑)、とてもそれでは回らないほど依頼が増え、現在はその分野を担当するアセットマネジメントチームに4名が在籍しています。ご存じのとおり、新たに太陽光発電所を開発するようなプロジェクトは減少傾向にありますが、今後は風力やバイオマスといった他の再生可能エネルギーのビジネスや、あるいはまったく別のフィールドで、蓄積した知見やノウハウを生かした新たなサービスをつくり出していきたいと考えています。

また、新しいフィールドに興味のあるメンバーも増やしていきたいと思っています。私の関与する部署は、金融業界との親和性が高いので、その素養があって、法務、会計にも興味があるような人には、大いに活躍の余地があると思います。最初から完璧な人間はいませんので、チャレンジ精神を持って、なおかつコツコツ勉強することを厭わない。そういうマインドを持った方に来てほしいですね。」

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