前編に引き続き、弥生PAPカンファレンス2022・オンラインの模様をお届けします。
前編では、弥生株式会社(以下、弥生)の岡本代表が講演した「法令改正までに着手すべき課題と具体的なスケジュール」と、マーケティング本部事業企画部マネージャー木下雅史氏から、2022年5月にベータ版をリリースした「証憑管理サービス」と、弥生製品についてお伝えしました。
→会計事務所がインボイス制度や改正電帳法に対応するために、今やるべきことは?施行までのスケジュールと課題を提案:弥生PAPカンファレンス2022レポート(前編)
後編では、デジタル化に向けて大幅にリニューアルした「「やよいの給与明細 オンライン」」と、中小企業の事業承継が問題となる中、2022年6月に公開された「事業承継ナビ」についてお届けします!
※記事内のスライドはすべて弥生PAPカンファレンス2022・オンラインで用いられたものです。また、写真は2022年6月10日に開催された東京会場(ベルサール秋葉原)のものとなります。
弥生PAPカンファレンス2022・オンラインプログラム
- 弥生の現況とこれから(弥生株式会社 代表取締役 社長執行役員 岡本浩一郎)
※「やよいの給与明細 オンライン」デモンストレーション(弥生株式会社 マーケティング本部 事業企画部 細渕敬太) - 事業承継サービス(事業承継ナビ・弥生のあんしんM&A)(弥生株式会社 マーケティング本部 営業推進部マネージャー 土屋貴幸)
- 弥生のインボイス対応(弥生株式会社 マーケティング本部 事業企画部マネージャー 木下雅史)
本記事の目次
スマホやタブレットで簡単入力。「やよいの給与明細 オンライン」が進化
「やよいの給与明細 オンライン」が紙からデジタルへ
弥生製品のアップデートのパートでは、やよいの給与明細 オンラインのリニューアルについて、弥生株式会社マーケティング本部事業企画部の細渕敬太氏から、デモを交えて説明が行われました。
やよいの給与明細 オンラインの主なリニューアルは、事業者と従業員とのやりとりが、紙からデジタルに変更になる点が特徴です。
従業員は、スマートフォンやタブレット、PCなどのデバイスから入力画面にログインし、給与明細や年末調整の控除申告書に必要なデータを入力できるようになるため、非常に利便性が高くなります。
これまでの年末調整は、申告に必要な書類を、従業員から顧問先へ、そして顧問先から会計事務所へと紙で提出していましたが、資料が不足していて何度もやり取りする場合もあり、給与業務の中でもっとも負担が大きいと感じる業務でした。
今後は、従業員、会計事務所、顧問先でデータを共有することで、紙の申告書の配布や回収といった手間が解消され、大幅に業務が効率化されることになります。
インボイス制度対応だけではなく、年末調整に関するリニューアルも、デジタル化を構築するための好機と捉えて、弥生PAP会員の皆さんの力を借りながら事業者を支援していきたいと述べ、細渕氏はセッションを締めくくりました。
会計事務所の顧問先の事業承継を支援。「事業承継ナビ」をリリース
会計事務所が事業承継支援の主役になる
本セッションでは、弥生株式会社マーケティング本部営業推進部マネージャーの土屋貴幸氏から、2022年6月に公開された「事業承継ナビ」開発の背景や、制度説明、デモンストレーションが行われました。
まず、土屋氏は、「事業承継ナビ」開発の背景として「経営者の2025年問題」に言及し、大廃業時代に備えて事業承継のサポートが急務になっていると説明しました。
事業承継は、次世代にビジネスのバトンを渡し、社会的な損失を出さないという意味で、非常に重要な役割を担っています。では、誰が担い手となるのでしょうか。
中小企業庁が公表している『中小企業白書2017』によると、中小企業の事業承継の相談先は、顧問の税理士と会計士が圧倒的多数を占めていました。このことから今後、会計事務所が事業承継支援の主役として、顧問先を支援していくことになるものと考えられます。
事業承継をもっと身近に。「事業承継ナビ」
弥生PAP会員が中小企業のM&Aを支援するツールとして、また、中小企業の経営者が第3者に事業を引き継ぐ機会を増やしていくために、2022年6月に「事業承継ナビ」がリリースされました。
「事業承継ナビ」には、買い手を探すための「弥生のあんしんM&A」、バリュエーションを行う「価値算定ツール」、デューデリジェンスを行う「M&Aサポートツール」など、事業承継に関する課題を解決するためのあらゆるツールが盛り込まれています。
「事業承継ナビ」は6月に公開されましたが、これを皮切りに、順次他のサービスもリリースが予定されています。
中小企業をメインとしたM&Aプラットフォーム「弥生のあんしんM&A」
まもなく公開予定の、事業承継ナビのサービスのひとつ「弥生のあんしんM&A」は、大きな特徴があります。
それは、「弥生のあんしんM&A」に掲載される譲渡案件が、弥生PAP会員によって登録される小規模案件が中心になる点です。
中小企業の案件に特化したM&Aプラットフォームは非常に珍しく、マッチング時の費用も低価格で設定されているため、費用面でも安心して利用することができます。
また、「弥生のあんしんM&A」では、弥生PAP会員(「弥生のあんしんM&A」では、利用登録した弥生PAP会員を「あんしんエージェント」と呼びます)が顧問先に代わって、M&Aの支援を行います。
弥生が設定するマッチング時のサービス利用料とは別に、あんしんエージェントも仲介・FA(ファイナンシャル・アドバイザー)料金を設定することになりますが、中小企業のニーズに応じて適正価格にして欲しいと土屋氏から要望が述べられました。
「弥生のあんしんM&A」利用の流れ。弥生PAP会員が登録から売却まで関与
次に、土屋氏は、「弥生のあんしんM&A」の、利用の流れを解説しました。
①利用登録
②譲渡案件登録
③価値算定(バリュエーション)
④お問い合せ対応
⑤実名開示依頼
⑥マッチング(意向表明の承諾)
この中から、①利用登録と③価値算定(バリュエーション)を抜粋してご紹介します。
まず、①の譲渡案件の利用登録ですが、会計税務の専門家であるあんしんエージェントが目を通した案件のみが掲載される仕組みになっています。
次に、③価値算定(バリュエーション)ですが、価格算定の計算には、高度な専門的なスキルと経験、類似業種の参考データが必要になります。そのため、多くの会計事務所が苦手としている業務になります。
この点、「弥生のあんしんM&A」の中には、「価値算定ツール(バリュエーション機能)」が用意されており、比較的容易に売却価額を試算することができます。
「弥生のあんしんM&A」では、公開記念キャンペーンとして2つの特典も用意されているとのこと。すでに顧問先から事業承継の相談を受けているという方は、この機会に登録してみてはいかがでしょうか。
以上、前編・後編の2回に渡って、弥生PAPカンファレンス2022のレポートをお届けいたしました。
前編にて紹介しました、インボイス制度や電帳法への対応のための「証憑管理サービス」、そして、今回の後編でご紹介した「事業承継ナビ」のリリース、「やよいの給与明細 オンライン」のアップデートなど、今後、デジタル化を伴う業務改革に弥生製品がますます欠かせないツールになると予感させるイベントとなりました。
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「弥生PAP」とは、弥生株式会社と会計事務所がパートナーシップを組み、弥生製品・サービスを活用して、中小企業、個人事業主、起業家の発展に寄与するパートナープログラムです。2022年4月時点で11,600以上の事務所が加入。税務サービスを提供する会計事務所様はぜひご加入をご検討ください。