2024年3月9日、公認会計士ナビを運営する株式会社ワイズアライアンスは「第13回・公認会計士ナビonLive!!」を開催しました。今回のテーマは「広がりゆく公認会計士の活躍フィールド」。公認会計士×2拠点独立・上場メガベンチャー・独立系ファームといった切り口で、4つのセッションをお届けしました。本稿ではその様子をダイジェストでお届けします。
※本記事での所属・肩書き・その他の情報は、すべてイベント当時のものとなります
なお、公認会計士ナビは2024年8月31日に「第14回・公認会計士ナビonLive!! 〜広がりゆく公認会計士の活躍フィールド〜」を開催します。気になる方は、以下から情報をのぞいてみてください。
東京と北海道の2拠点で独立した公認会計士の次の一手とは
プレセッションとして開催されたのは「東京と北海道の2拠点独立で実現する地元貢献と理想のキャリア」のセッション。登壇してくれたのは株式会社PinWheel CEO・公認会計士の坂入 翔一朗さんです。
株式会社PinWheel CEO/公認会計士 坂入 翔一朗
セッションタイトルの通り、東京と北海道の2拠点でキャリアを築く坂入さん。坂入さんは元々EY新日本有限責任監査法人の金融事業部に所属していました。修了考査に合格してから株式会社PrivateBANKへ転職してスタートアップ関連の仕事に従事した後、独立に至っています。
現在は東京、北海道、その他の地域を行き来しながら、東京と北海道のスタートアップやベンチャーキャピタルに対し、コンサルティング業務を提供しています。とはいえ、東京と北海道ではその業務内容は少々異なるようです。また現在はコンサルティング業務だけでなく、北海道でリアルな事業を準備しているのだとか。
「北海道大学出身の地方から来た真面目な会計士だった」(公認会計士ナビ編集長の手塚談)坂入さんは、なぜ修了考査後という早いタイミングで監査法人から転職したのか。なぜ2拠点での独立開業に至ったのか。そして地場を活かした今後取り組むリアルな事業とは。ぜひ以下の詳細なレポートをご覧ください。
監査法人から人事・監査等委員へ。上場メガベンチャーで会計士の知見は活きるのか
続いて開催されたセッションは「上場メガベンチャーの経営に関与する、会計士の知見はどう活かせるのか?」。登壇していただいたのは株式会社マネーフォワードの石原千亜希さんと、フリー株式会社の内藤陽子さんです。
(左)株式会社マネーフォワード グループ執行役員 CHO (Chief Human Officer) DEI (Diversity, Equity & Inclusion) 担当 公認会計士 石原 千亜希
(右)フリー株式会社 社外取締役 監査等委員 公認会計士 内藤 陽子
石原さんは、有限責任監査法人トーマツで監査を経験後、マネーフォワードに転職。上場準備、IRを経て、現在はCHOとして人事を担当しています。まったく異なる分野へのキャリアチェンジでは「監査からのマインドチェンジが大変」と述懐しました。とはいえ「監査も人事もやることは同じ」とのこと。その真意についても語りました。
一方の内藤さんは、EY新日本監査法人に勤めた後、フリーの監査等委員に就任。同じ「監査」という名のつく仕事でのキャリアチェンジですが、「会計監査人と監査役・監査等委員の視点は大きく異なる」と語ります。また金融事業部という堅い場所出身の内藤さんとしては、スタートアップの自由な社風に最初は驚きを隠し得なかったようです。
困難はありながらも、今は上場メガベンチャーで大活躍するおふたりの奮闘ぶりは、以下の記事で詳細にレポートしています。
キャリア迷子からソーシャルベンチャーのCFOへ、会計の力の活かし方とは?
スペシャルプレゼンテーション「〜CPAナビコミ presents~キャリア迷子だった会計士がソーシャルビジネスの立ち上げに飛び込んで気づいた、会計の力の活かし方」に登壇したのは、株式会社キズキ取締役CFOを務める公認会計士の林田絵美さん。
PwCあらた有限責任監査法人(現・PwC Japan有限責任監査法人)で金融監査や内部統制アドバイザリー、東南アジア現地での会計基準コンバージョンや組織再編・PMO業務などを経て同社に参画しています。
株式会社キズキ
取締役CFO/公認会計士
林田 絵美
「何度でもやり直せる社会を作る」をビジョンとする株式会社キズキの取締役CFO・公認会計士。発達障害(ADHD/ASD)当事者。
2013年、公認会計士論文式試験に合格。2015年、早稲田大学政治経済学部卒業、PwCあらた有限責任監査法人へ入社。金融部門・財務報告アドバイザリー部へ配属される。2018年に同監査法人を退社後、株式会社キズキへ入社。うつや発達障害の方がキャリアを築くための「キズキビジネスカレッジ」、就労困難者のキャリアを拓くデジタルサービス「キズキクラウド」等を新規事業として立上げ。また社内DX推進のためにデジタル戦略部を新規部門として立ち上げ。現在は全社のコーポレート(人事本部・経営企画本部・管理本部)の統括を務める。
社会的な関心が高まっている精神発達障害。キズキ社は「何度でもやり直せる社会を作る」をビジョンに掲げ、人の生きづらさに寄り添う様々な事業を展開する会社です。精神・発達障害などを抱えた方の学び直しや受験を支援する学習支援事業や就労支援事業などを運営しています。
林田さん自身も、監査法人在職中に、発達障害の診断を受けたADHDの当事者です。
そんな林田さんは監査法人時代に「元々抱いていた希望や志に近づいているのか」「経験を積んでも積んでも実力不足を感じる」「公認会計士は仕事の幅がありすぎる」といったキャリアの悩みを抱えていたそうです。
ですが「やりたいことの近くに居る」「手足を動かしてファクトを取りに行く」「会計士という属性に囚われない」といった思考で、キャリアを見つめ直していきます。
林田さんは当初、キズキ社で新規事業やマーケティング業務に携わっていましたが、組織の拡大に伴って、CFOとしてコーポレート部門の仕事にも関わるように。
このコーポレートの仕事には、会計や監査の経験が活きたようです。受験科目になぞらえ、「会計の力の活かし方」を以下のように整理してくれました。
なお本セッションは、公認会計士ナビが運営する会計士限定コミュニティ「CPAナビコミ」の提供でお送りしました。
独立系ファームとBIG4パートナー、働き方や仕事の違いは?
第13回公認会計士ナビonLive!!、最後にお届けしたセッションは「独立系ファームのパートナーというキャリア〜監査・FAS・税務〜」です。
登壇者はCS国際有限責任監査法人パートナーの山林貴裕さんと、トラスティーズ パートナーの吉永誠さん。独立ではなく、独立系ファームのパートナーとして道を歩む山林さんと吉永さんが、その職務内容や働き方を紹介してくれました。
(左)SCS国際有限責任監査法人 パートナー 公認会計士(日本)、公認不正検査士 山林 貴裕
(右)トラスティーズ パートナー 公認会計士・税理士 吉永 誠
BIG4などの大手ではなく独立系ファームでは、当然、社内で関わる人数は少なくなります。そのため、もし独立系ファームに転職するなら、入社前に上司や創業者とのコミュニケーションを図っておくことが大事だと山林さんはアドバイスを送りました。
一方の吉永さんは、独立系ファームは「規模が小さいから個人の業務負荷が大きい」と「規模が小さいから自由度が高い」のどちらにも転びうると指摘します。
またおふたりからは、「大手ファームでパートナーを目指すキャリア」と「独立系ファームでパートナーになること」の違いも語られます。
独立系ファームでは自分と似たようなキャリアを歩んできた先達がいるとは限りません。実際、トラスティーズにて創業者以外でパートナーになったのは吉永さんが初めてだそう。またパートナーなので営業も職務に入りますが、その内実は事務所によって異なるようです。
あまり語られることのない独立系ファームのパートナーの内実に、公認会計士ナビ編集長の手塚が切り込みます。ふたりの口から語られた、収入、ワークライフバランス、やりがい、その実態とは!?
次回、第14回は2024年8月31日に開催!
以上、第13回・公認会計士ナビonLive!!の様子を振り返ってきました。
さて、次回の第14回の公認会計士ナビonLive!!は2024年8月31日(土)、東京・茅場町で開催します。
「変わりゆく公認会計士のリアル」を全体テーマに、「会計士の人的資産」「スタートアップ」「独立」「FAS・コンサルティング」といったテーマのセッションをお届け予定です。公認会計士や公認会計士試験合格者のみなさん、ぜひ遊びに来てください。詳細は以下から!