2022年4月の会計士業界ニュースをお届けします。
「次期会長にEY茂木氏選出」「過去7年で決算・財務報告プロセスの不備最多」「ロシアウクライナ侵攻が業績に与える影響」の3本です。
次期会長にEY茂木氏選出
2022年7月で手塚正彦会長の任期満了に伴い、次期公認会計士協会会長が選出されました。
今回、EY新日本監査法人茂木哲也氏の公認会計士協会会長選出に関する記事が、日本経済新聞からリリースされています。
日本公認会計士協会は13日、茂木哲也常務理事(54)が次期会長になることが決まったと発表した。
【引用元:会計士協会、会長に茂木氏 EY新日本出身(日本経済新聞 2022年4月13日付)】
記事によると、茂木氏は1990年に太田昭和監査法人(現EY新日本監査法人)に入所し、東芝事件後は監査法人の経営に携わり組織の信頼回復に努めた経験があると伝えられています。
EY新日本監査法人から、茂木氏の次期会長就任に伴いリリースが出されています。
若手の会長就任となります。3年間の会長任期でどのような舵取りを見せるのか、茂木氏の手腕に注目が集まります。
過去7年で決算・財務報告プロセスの不備最多
内部統制は、重要な不備が発見された場合であっても、期末日までに是正されていれば財務報告に係る内部統制は有効と評価できるため、内部統制の不備が公表されるケースは多くはありません。
今回、東京商工リサーチが集計した内部統制の不備の開示企業数に関する記事が、東京商工リサーチからリリースされています。
2021年度(4-3月)に自社の内部管理体制の不備を開示した上場企業は41社(42件)だった。2012年度以降の10年間では、最多だった2016年度と2019年度の37社(37件)を抜き、最多を更新した。
【引用元:「内部統制不備の開示企業」2021年度は最多の42件、産業別では製造業が13件(東京商工リサーチ 2022年4月15日付)】
記事によると、2012年度以降で不備開示が最多になった理由について、決算・財務報告プロセスで決算処理の誤りを発見できなかったケースや自社や子会社で不適切会計が発生するなど、全社的な内部統制の不備が増えたためと伝えられています。
コロナ禍でテレワークが常態化している企業も多い中で、決算処理体制の強化や、海外子会社など往査が難しいケースへの対処なども、今後の内部統制の課題となりそうです。
ロシアウクライナ侵攻が業績に与える影響
2022年2月24日にロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。長引く戦況は、ウクライナ人の生活のみならず、世界経済にも影を落としています。
今回、ロシアのウクライナ侵攻に関する監査の留意事項に関する記事が、日本経済新聞からリリースされています。
4月下旬から本格化する日本企業の2022年3月期決算発表では、ロシアによるウクライナ侵攻の業績に与える影響が焦点だ。
【引用元:ロシア事業の損失処理焦点 前期決算、建物・貸出金の評価難しく(日本経済新聞 2022年4月16日付)】
記事では、会計士協会の手塚正彦会長が記者会見で、ロシア向け投資の価値や減損会計の適用などが重要な問題になると示したほか、会計士協会が4月7日に発表した「監査上の留意事項」の中の、ロシアによるウクライナ侵攻が事業リスクを高めるという項目にも言及しています。
3月期決算を直撃するタイミングでの不確実な事態に、各社で対応や評価にばら付きが出るのではないかと懸念されます。
以上、今月の業界ニュースでした。
なお、今回、取り上げた記事はこちらの3本です。詳細は以下の記事をご参照ください。
今回取り上げたニュース
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)