大手監査法人を辞めて税理士法人に転職した公認会計士の4年間の話(公認会計士のリアル 第8回:富山直哉/平成会計社)

  • 2015/8/19

様々な公認会計士にスポットライトを当てるシリーズ企画 公認会計士のリアル

日本経済が成熟し、公認会計士にも多様性が求められる時代において、公認会計士たちはどのようなキャリアを歩んでいるのだろうか…ビジネスの第一線で活躍する若手公認会計士が彼らのキャリアや日々の想いをリアルな言葉で語ります。

第8回は、国内最大級の会計事務所・税理士法人平成会計社にてプレイングマネージャーを務める冨山直哉さんの執筆です。

著者

富山 直哉(とみやま なおや)

税理士法人平成会計社

第四事業本部 グループ長 プレイングマネージャー/公認会計士・税理士

2007年、公認会計士試験合格。監査法人トーマツ東京事務所(監査Aグループ)にて、鉄鋼業、派遣業、証券業等の会計監査、内部統制監査等の業務に従事。2011年より税理士法人平成会計社に勤務。上場企業及びその子会社の連結決算・開示サポート・税務申告、SPC・J-REITの会計事務、M&Aなどに従事。同志社大学・経済学部卒。

ご挨拶

みなさん、こんにちは。今回、公認会計士のリアル第8回を執筆させて頂くことになりました富山直哉です。

私は、公認会計士試験に合格後、大手監査法人での勤務を経て、現在の勤務先である税理士法人平成会計社に転職をしました。現職の平成会計社では、転職を希望する若手会計士の方々が興味を持たれる税務や会計、FAS、コンサルティングの仕事に携わっているのですが、今回、これから新たなキャリアを考えている方々の参考にして頂ければと思い、平成会計社へ転職してからの4年間について振り返ってみようと思います。

なぜ監査法人を辞めたのか?

私の平成会計社での仕事をお話する前に、公認会計士を目指した経緯や、監査法人から税理士法人に転職した理由について触れておこうと思います。

経済に興味があり会計士を目指す

私は大学では経済学部に所属していたのですが、高校の頃から経済やビジネスに興味があり、漠然とそれに近い仕事に就職するのかなと考えていました。そんな中、大学時代の友人が会計士を目指し始めたことをきっかけに自分も興味を持ち、会計士試験にチャレンジすることにしました。

当時は、もし試験に受からなかったら…というような不安もなく、試験に受かったら監査を経験して、税務を経験して、独立なのかなぁ、、、といった感じのキャリアプランを漠然と描いていました。 

監査法人トーマツへの就職

会計士試験に合格し、働くのなら東京でと思っていた私は、監査法人トーマツの東京事務所に就職しました。大手監査法人の中で一番手堅そうな印象を受けたのと、中高バスケット部、大学ではラグビーサークルと体育会系だった私は、他の法人よりパワフルな風土との評判を聞いていたトーマツが合いそうだと思ったからです。この時の就職活動では、他の法人にもエントリーはしていましたが、トーマツからすぐに内定を頂けたため、他の法人は受けずにトーマツに決めました。 

監査法人トーマツでの仕事

監査法人では、会計の知識を活かした初めての仕事にプロとしてのやりがいも感じられ、とても楽しいものでした。鉄鋼会社や人材派遣会社、証券会社など様々な会社の会計監査や内部統制監査に取り組み、また、部署のメンバーや同期も仲が良く、メンバーにも恵まれていた環境だったと思います。 

順風満帆な監査法人生活だったのですが、4年目を迎える少し前頃に転職を考え始めることになります。

当時は、年次的には、これからシニアスタッフに昇格したり、現場主任など責任ある仕事に取り組んだりしていくタイミングでしたので、見方によっては「もう少し監査法人で経験を積んだほうが良い」という状況だったのかもしれませんが、受験生時代から思い描いていた「監査の次に何をしよう」「税務にチャレンジしてみるのも面白いかな」という思いが消えず、また、作業レベルで監査をひと通り経験し、繰り返し同じことをしている感じが強くなってきたこと、そして修了考査に合格したこともあり、転職を真剣に検討し始めました。

また、今思い返せば、親しかった先輩がその1年前に退職し、新興系の上場企業に転職したのですが、身近な人たちが新しい環境にチャレンジする姿も自分に影響を与えていたのかなとも思います。

転職活動の様子~どうやって転職先を決めたのか

ひとつを極めるよりも総合力を付けたかった

転職活動を行うことを決め、転職エージェントに登録すると、会計ファームや事業会社などたくさんの求人を紹介してもらいました。 

その際にいろいろな求人情報を見て自分が感じたのは、「特化してひとつのことを極めるよりも、幅広い経験を積んで何でもこなせる会計士を目指したい」ということでした。

私が案内を受けた求人がたまたまそうであったのか、もしくは、特徴を明確に出しているファームが業績も好調で人材を積極的に募集していたのかはわかりませんが、その時に紹介を受けた求人には、企業再生やM&A、税務であれば資産税や国際税務など特定分野に特化した専門ファームからの求人や、専門ファームでなくとも所属部門で特定の業務に従事するような求人が多い印象を受けました。

そんな中、平成会計社の求人には「税務、会計、FASを全部経験できる環境」があり、オールラウンドプレーヤーになれる魅力を感じたため、応募することにしました。

結局、そのとき1番魅力を感じていたため、「ここだ!」と決め、平成会計社だけを受験し、幸いにも内定ももらうことができ、現職へと入社しました。2011年の10月のことです。(余談ですが、監査法人に就職した時もトーマツしか受けず、平成会計社に転職したときも他の会社を受けずに就職先を決めることとなりました。)

税務・会計・FAS・常駐…平成会計社での4年間

1年目:税務、会計、FASいきなり何でもやることに

平成会計社では、入社して1年目から税務も会計もFASもすべて経験できることとなりました。

最初はSPCやREITの会計・税務業務に取り組みながら、わりと早い段階で財務デューデリジェンスや税務デューデリジェンスの仕事にもアサインされました。次に、非上場の製造業(売上高100~200億円くらい)の税務顧問にアサインされ、月次の訪問から、四半期の税額計算・レビュー、本決算、税務申告まで一連の業務を経験しました。 

1年目は、SPCの仕訳の入力や出納業務も自らが手を動かして行ったのですが、監査法人での仕事を通じて会計のことはそこそこわかっていたつもりだったものの、いざ税務の仕事に取り組んでみると、勘定奉行にどう仕訳を入れたらいいかわからない…どこが税務上の論点になるのかすぐわからない…おや?自分って税務の知識ない???…と戸惑うことがたくさんあり、税務実務に慣れるために苦労することも多かったように思います。

ただ、それと同時に新しい学びや発見があり、日々、自分の知識やスキルがどんどん磨かれている実感があったので、振り返ってみると大変さよりも楽しさが優っていた1年目だったと思います。

2年目:事業会社に常駐、初めての経理体験

2年目は途中からある事業会社の経理部へ常駐することになりました。

上司から「再来週くらいからどう?」という感じで、突然のアサインだったのですが、その企業は一般にも有名なグローバル企業で、これは面白そうだと思い即答でOKしました。

この常駐しての仕事は7~8ヶ月ほど続きましたが、その間、私は先方のホールディングカンパニーの経理部(約30名で構成)に所属し、主に主要子会社の月次、四半期決算、税務などを担当しました。伝票を見て広告宣伝費の承認を行ったり、経理部の方々から会計や税務に関する相談を受けたりと、まさに経理部の一員としての経験を積むことができ、とても有意義な経験になりました。 

事業会社に常駐してみて感じたのは、決算書や申告書など成果物ができた時の喜びは大きく、何かを作り上げる作業は達成したときに満足感があるということです。

また、事業会社に出向してみてビジネスを当事者として体感できたのも良い経験になったと思っています。

それまでは「監査人」や「税務顧問」として外部から企業に関わる形でしたので、ビジネスを頭では理解していたものの、その企業の方々と机を並べ一緒に仕事を行うことによって、ビジネスの現場がどのようなもので、企業や事業がどう成長していくのかを強く実感することができました。これは会計士としては大きな財産になったと思っています。

3年目:大規模REITの統括、被災企業の支援で苦労する

3年目からは、現在所属する第四事業部に配属となり、大型のREITの統括を任されることとなりました。決算、開示、不動産会社のSPCなどを担当し、案件やメンバーのマネジメントも行いました。 

また、3年目で最も印象に残っているのは、東日本大震災により被災した企業の再生支援を行ったことです。

私は、とある調味料を製造している会社(売上高2~3億円)を担当したのですが、2~3ヶ月に1回のペースで石巻を訪問し、被災企業の経営者とともに再生計画を作り、金融機関からの融資を受けるサポートをするという仕事が1年ほど続きました。

その仕事は、事業計画の作成支援ですので、これまで企業を会計・税務面からサポートしていたのとは違い、経営面からのサポートとなり、そのギャップに苦労しました。

事業計画を作るために市場を分析し、戦略を決め、具体的なアクションプランを立てていくのですが、まず「モノはどう売れるのか?」「集客やマーケティングはどうやればいいのか?」というところにつまずきます。また、被災している状況という以外に、そもそも市場が縮小している商品でしたので、市場環境に関してはあまり良い数字が出てきません。

そんな中で成長につながる戦略を立て、金融機関に納得してもらえる計画を作らなければなりませんので、その頃は、毎日、「どうやったらあの調味料は売れるのか?」と寝ても覚めてもその調味料の売り方ばかりを考えていました。

この仕事では、そういった事業視点を得ることができましたし、プロジェクトを通じてそれまであまり接する機会のなかった「経営者」と接することによって、経営者の苦労や、企業にとっていかに経営者が大事であるかということ実感しました。

4年目:2回目の常駐体験、今度は上場の不動産会社

4年目は、再びクライアント企業の経理部へ常駐することになりました。今度は、上場の大手不動産会社です。

正直、常駐は当社でも珍しい仕事ですし、「2年目に常駐したのでもうないだろう…」と思っていたら、前回の常駐での実績を評価され、またアサインされることになりました(笑)

とは言え、今回は前回よりさらにやりがいある仕事となりました。

常駐先の経理部員は20名程度と、規模は以前に常駐したクライアントとより小さいのですが、会計、税務、開示、連結(SPCも含めると100社弱!)と業務の幅は広く、風土も体育会でパワフル(体育会な私はそのほうが馴染みやすいので良かったですが)な会社です。そして、従業員のみなさんもとてもよく働きます。

この案件も、経理業務の受託だけでなく、経理回りの業務フローの見直し等を積極的に提案し、クライアントにより高い付加価値を与えられるよう心がけています。

また、業種が不動産ということで税務は切り離せず、税務リスクを低減させながら取引や会計処理を進めて行かなければなりませんので、平成会計社に入社してから身に付けた税務の経験がとても活きています。

特に、事業会社の視点に立ってみて気づいたのですが、事業会社の場合、取引をする時に「会計については公認会計士(監査法人)」「税務については税理士(顧問の会計事務所)」と別のところに聞かなければなりません。

そこをひとりに聞くことによって時間や手間が半分で済みますが、私は、幸い会計と税務の両方を経験してきていますので、私がその役割を担うことでお客さんにも価値を提供しやすく、自分の役割や存在意義が強く実感できています。(そのおかげか、契約も延長となり報酬もアップして頂けることとなりました。)

理想の姿は“会計士”ではなく“会計も税務もできるビジネスマン”

監査法人を退職してからの充実の4年間

このような感じで、監査法人を退職して4年間、幸いにも平成会計社でなかったら経験できなかった様々な経験を積むことができ、正直転職してよかったなと感じています。

平成会計社はひと言で言うと、とても勢いのある会計事務所で、忙しいですがみんな生き生きと働き、仕事をとても楽しんでいます。そして、チャレンジする風土があり、若手でもどんどん仕事を任せて挑戦させてくれる文化があります。

私もこの4年間でたくさんの仕事を経験させて頂きましたが、正直、たくさんの勉強も必要で、また、責任も重く大変なことも多い4年間でした。けれども、振り返ってみればとても充実していましたし、入社前から感じていた「ゼネラリスト志向」はやはり自分に合っていたとも感じています。

ゼネラリストを超えて…

最後に、私自身の今後に触れて終えたいと思います。

この4年間で税務・会計・FASと幅広く携わらせて頂き、今後の自分には2つのテーマがあると考えています。

ひとつは、ゼネラリストとして満遍なく身に付けてきたスキルの中でも、秀でた部分を作りたいということです。

「何でも相談にのれるゼネラリスト」とはいえ、専門家ですから得意分野があるとなお良いと思っています。しかし、どこを得意分野にするかはまだ決まっていませんので、まずはそこから見つけていきたいと思っています。

また、会計税務だけではなく、企業や組織を大きくするためのマネジメントスキルなども身に付けたいと考えています。

実は、自分は公認会計士であるものの、「公認会計士です!」と会計士を全面に出すことに違和感があり、会計士という肩書や会計・税務の知識はあくまでビジネスパーソンとしての一つの武器というふうに考えています。そのため、ビジネスパーソンとして評価されるために、専門性や専門知識だけでなく、マネジメント力や経営に貢献できる力といったビジネスのベースとなる力も磨く必要があると考えています。

ゼネラリストを目指して平成会計社に入社して4年。これからはゼネラリストを超えたその一歩先に進んで行きたいと思います。

(終)


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