このコーナーでは、“くわえもん”こと高桑昌也氏が、厳しく、優しく、ユーモラスに公認会計士のみなさんのお悩みに答えます!
さあ、みんなくわえもんに相談してみよう!
くわえもんとは?
高桑昌也 通称“くわえもん”
公認会計士・税理士
TKW M&Aファイナンス会計税務事務所
代表公認会計士
麻布高等学校・慶應義塾大学卒。大学在学中の2000年に公認会計士2次試験に合格。中央青山監査法人、金融庁への出向、都市銀行でのデリバティブ業務、コンサルティング会社(エスネットワークス)を経て現職。さそり座O型。秋田県男鹿半島出身。
趣味:写真、旅行、夜の麻布・六本木
【参考サイト】
今回のお悩み:会計士になりたい娘、どんな高校を勧めればよいですか?
今回の相談者
悩める母 さん
※写真はイメージです。
相談内容
中学生3年生の娘を持つ母です。
最近娘が、「会計士になりたい。」と言い出し、商業高校に入りたい。と言っています。
正直、どれほど本気なのか、会計士とはどのような仕事なのか理解しているとは思えません。
色々と調べてみて、数学だけではなく、その他の教科もしっかり勉強することが大切なのでは?と思いました。
くわえもんさんなら、どんな高校を勧めますか?
娘は、数学と英語は比較的得意なのですが、あとの3教科はかなり苦手です。
良いアドバイスがありましたら、お願いします。
くわえもんからの回答
皆さんこんにちは。くわえもんです。
さて、最近、新しいコンサルティング会社「TKW M&Aファイナンス会計税務事務所」を立ち上げました。M&Aとコーポレートファイナンスを主軸にした会社です。オフィスは虎ノ門ヒルズにあります。読者の皆さんは気軽に遊びに来てください。コンサルタントも募集中ですので、興味のある方は下記のリンクをご参考ください。
さて、今回「悩める母」さんからご質問いただきました。
中学3年生のお嬢様、将来公認会計士になりたいとの目標をお持ちとのこと。将来の目標があるって、立派ですね!
さて、悩める母さんとお嬢様は、公認会計士試験についてひととおりお調べになっていると思われますが、おさらいの意味を込めて、科目などの概要を記載します。
公認会計士試験の概要
「短答式試験」と「論文式試験」から構成されています。
短答式試験は毎年春と冬に実施。試験科目は、財務会計論(簿記と財務諸表論)、管理会計論、監査論、企業法の5科目です。
論文式試験は毎年夏に実施。試験科目は、会計学(簿記及び財務諸表論、管理会計)、監査論、企業法、租税法、選択科目(経営学、経済学、民法、統計学から1科目)の7科目です。
ところでなぜ、このように科目数が多く、会計や法律、経営など多岐にわたっているのでしょうか?
それは、公認会計士法にヒントがあります。
公認会計士法
(公認会計士の使命)
第一条 公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。(公認会計士の業務)
第二条 公認会計士は、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明をすることを業とする。
2 公認会計士は、前項に規定する業務のほか、公認会計士の名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の調製をし、財務に関する調査若しくは立案をし、又は財務に関する相談に応ずることを業とすることができる。
公認会計士の使命は、財務書類の信頼性を確保することで、日本経済の発展に寄与すること(第一条)です。また、第二条1項に監査業務と、2項に財務コンサルティング業務ができる旨を規定されています。
この高度な使命と業務を果たすためには、会計のみならず法務、経営などの幅広い知識が当然に必要(=試験で問われる)なのです。
公認会計士試験の合格率
令和2年度の試験は以下のような結果でした。年によって変動はありますが、おおむね最終合格率は9~10%という印象です。
(出典)公認会計士・監査審査会「令和2年公認会計士試験の合格発表の概要について」
こうして見ると、科目が多岐にわたり、総合的な学力(会計などの計算のスキルのほか、法務・監査論などの理論面のスキル習得)が必要ということが分かります。
ご質問にある商業高校というと、簿記の資格が得られそうなイメージですが、残念ながら簿記だけでは合格できないのが公認会計士試験です。
次に、公認会計士試験の大学別合格者数を見てみましょう。
(出典)公認会計士三田会「公認会計士第2次試験及び公認会計士試験 大学・年度別合格者数一覧表」
合格実績は、慶應義塾大学、早稲田大学が2強で、その他は東京大学、明治大学、中央大学あたりが常連となっています。1位~10位の大学から毎年500~700名弱の合格者(全合格者の4~5割)が輩出されているというデータになっています。
以上の事柄を総合的に見てみますと、
- 公認会計士試験=簿記試験ではない。簿記以外の法務や経営など様々な知識が必要
- 公認会計士試験の合格を果たすためには、合格実績上位の大学(およびその大学に入るための高校)に入るのが近道
ということが言えそうです。
公認会計士になるためには、熱意のみならず、難易度の高い試験を突破することが必要となります。
また公認会計士になることは人生の1つの過程であり、ゴールではありません。重要なのは、公認会計士の資格を取得して、人生で何を成し遂げるか、です。
上記のデータを眺めながら、
「公認会計士の資格を取るための高校、大学選び」
「公認会計士になって将来何をしたいのか」
をお嬢様とじっくりお話されるのをお勧めします。
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