来る2015年3月21日(土)に第3回・公認会計士ナビonLive!!(テーマ:ベンチャーキャピタル・PEファンド×公認会計士)が開催されます。
本記事では、第3回の開催に向けて、第2回のトークセッション「くわえもんが語る!公認会計士のこれまでとこれから」を振り返ります。
第2回・公認会計士ナビonLive!!では、「くわえもんが語る公認会計士のこれまでとこれから」と題して、くわえもんの“会計士の悩みはオレに聞け!”でおなじみの公認会計士・高桑昌也氏が、江黒崇史氏の司会のもと公認会計士のキャリアや仕事論について語りました。
本記事ではそのダイジェストをお送りします。
高桑 昌也(通称“くわえもん”)/公認会計士・税理士
株式会社イーエスリサーチ 代表取締役社長
麻布高等学校・慶應義塾大学卒。大学在学中(2000年)、公認会計士2次試験に合格、中央青山監査法人、金融庁、エスネットワークス取締役等を経て、現職。さそり座O型。秋田県男鹿半島出身。公認会計士ナビではくわえもんの“会計士の悩みはオレに聞け!”を好評連載中。趣味:写真、旅行、夜の麻布・六本木
参考URL:株式会社イーエスリサーチ
江黒 崇史/公認会計士
江黒公認会計士事務所 代表
早稲田大学商学部卒業。2001年、公認会計士2次試験合格。監査法人トーマツ入所。上場企業や株式公開準備企業を中心とした法定監査業務に従事。2005年2月、株式会社イーツリーズ・ジャパン取締役CFO就任。2005年、清和監査法人入所。2007年よりパートナーとして法人経営にも参画。上場企業の会計監査に加え、株式公開支援業務やM&Aアドバイザリー業務に従事。2014年7月、江黒公認会計士事務所を設立し、代表に就任。
参考URL:江黒公認会計士事務所
会計士試験での知識はどこまで活かされている!?会計士資格の本質はマルチに戦えるということ
公認会計士試験(2次試験)に合格し、14年目となる高桑氏だが、現在までの14年間で会計士資格に起こったいくつかの変化を語ってくれた。
高桑氏が会計士試験に合格した頃は、BIG6(朝日、トーマツ、中央、青山、センチュリー、太田昭和)の時代で、会計士試験に合格しても今のようにコンサルやFAS、税務といった選択肢はほぼなく、ほとんどの試験合格者にとって就職の選択肢は監査一択だけだったという。
一方で、当時の監査法人は自由度が高く、監査とコンサルティングの両方が経験できたため、「会社の中身を知ることができる監査を行いながら、コンサルティングも経験できる」というのが会計士の優位性だと感じていたという。(図の【1】)
それが、中央青山監査法人の解散などいくつかの出来事をきっかけに、規制も強化され、監査法人で積める経験の幅が狭くなってしまった。(図の【2】)
ただ、会計士試験を見てもわかるように、合格年次は違えども、監査、経営、租税法、統計など試験内容は多岐にわたっており、会計、税務、ファイナンス、経営…とマルチに戦えるのが本来の会計士の姿だと考えているという。(図の【3】)
ここ(図の【3】)に書いてある知識って、ほとんど実は皆さんの合格した難しい会計士試験でカバーしているんですよね。会計士ってもったいなくて、試験で色んな勉強したのに知識があるのに、実務では監査だけしか経験していなかったりして、経営学など本来はもっと役に立つ学問が役に立っていない。是非、昔、勉強した学問を活かせるポジションで頑張って欲しいと思っています。(高桑氏)
高桑氏は、自身も20代で出向含め4つの職場(監査法人、金融庁、都市銀行、コンサルティングファーム)を経験したことを例に挙げ、経理、税務、ファイナンスなど様々な仕事に若いうちに積極的にチャレンジして欲しいと会場の会計士たちにメッセージを送った。
これからの会計士にとってチャンスのあるフィールドはどこ!?くわえもんが語った会計士のビジネスチャンス
セッション後半では、観客と高桑氏の間でのQ&Aが行われ、若手会計士からのキャリアや今後の会計士業界に関してなど様々な質問が行われたが、その中ではさらに具体的なフィールドについて言及した。
観客からの「くわえもんさんがこれからチャンスがあると思うフィールドはどこですか?」との質問に対して、高桑氏は、
- 地方
- 海外
- 補助金
の3つを自身が注目しているフィールドとして挙げた。
【地方】
東京などの都市部は競争が厳しくなってきているが、地方によってはチャンスがある。特に、年商数十億円規模の地方の中堅企業には、東京では当たり前のIPOやファイナンス関連のノウハウが重宝されるケースもある。
【海外】
周囲でも、最近シンガポール関連の仕事はすごく増えている。アジアはこれからも伸びる熱いエリアだし、国家間の税務、会計分野はなくならず、確実にニーズがあるジャンル。英語の得意な会計士が多くないからこそ、語学力を磨くことによってチャンスを掴めると思う。
【補助金】
補助金を獲得することによって、お客さんにも喜ばれるし、かつそのために事業計画を組まなくてはならない。それも、KPIをしっかりと設定された、定量的かつ計画的な事業計画を作る必要があるので、公認会計士の得意分野。また、中小企業やベンチャー企業に資金がまわるということで、社会的意義もあって良いと思っている。
会計士は“やればできる民族”、高桑氏が伝えたかった3つのメッセージ
本セッションを通じて、高桑氏は3つのメッセージを送ってくれた。
- 会計士はやればできる民族、苦しい試験を乗り越えた経験を活かして欲しい
- 無理ができる若いうちに厳しい環境に身を置こう
- やればできるからこそ、重要なのは人間力
僕も会計士のはしくれですが、会計士はやればできる民族だと思っています。複雑多岐に渡っていて、深さもあるあの難しい会計士試験を乗り越えた知識と経験があれば、困難な状況にも対応できる。若くて無理が効くうちに厳しい環境に身を置いてみるのが良いと思います。
僕の友人にも厳しい外資系投資銀行やファンドで上位ポジションに辿り着いた会計士も何人もいるし、20代で事業会社のCFOができる人ももっといると思います。
一方で、ファイナンスもIPOもやればできるということは、それよりも実は差が付くのは、いつも明るい人柄だとかネットワークを作れる能力だったりする。人間力を磨くことも忘れないで欲しい。
公認会計士は他士業と比較しても、いろんな領域にチャレンジしているし、その分、各分野にチャンスがあるというのを認識して、時流に合った良い仕事をしていって欲しい。是非我々で会計士の地位を高めていかねばと思っています。
高桑氏は会場の若手会計士たちにエールを送り、セッションを終えた。
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