制度改正相次ぎ監査費用増加止まらず、7月IPO高水準で中国市場が世界全体の4割、コロナで株主総会のスマホ投票6割増など3件:今月の会計士業界ニュース(2020年8月その4)



2020年8月の、株主総会、監査、IPO関連のニュースをまとめました。

2020年8月17日、19日、24日にリリースされた「コロナで株主総会のスマホ投票6割増」「制度改正相次ぎ監査費用増加止まらず」「7月IPO高水準で中国市場が世界全体の4割」の3件のニュースをご紹介します。

コロナでスマホ投票6割増

コロナ禍の外出自粛やイベント自粛で、日本でもオンライン株主総会が普及するのではないかと予想されていましたが、法律上の制約もあり、株主総会をネット中継した企業はほとんどありませんでした。一方で、議決権行使については、状況が違うようです。

今回、コロナ禍での議決権行使に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

スマートフォンを使って株主総会で議決権を行使できる仕組みを導入する上場企業が増えている。こうした情報システムの大手、日本株主データサービス(東京・杉並)では2020年6月開催の株主総会で提供先が337社と、19年より61%増えた。

引用元:株主総会、スマホで投票 巣ごもりで6割増(日本経済新聞 2020年8月17日付)

記事によると、スマホでの議決権行使サービスは三井物産や日産自動車でも取り入れられており、新型コロナの感染対策として導入する企業が増えているということです。利用方法は、書類のQRコードをスマホで読みとって投票するということで、議決権を行使した株主の比率が上昇していると伝えられています。

持株数が少なくて株主総会に出席するのは面倒という方も多いと思いますが、スマホ投票なら気軽に権利行使が出来るので、有効活用してもらいたい制度です。ご興味のある方は以下をご参照ください。

制度改正相次ぎ監査費用増加止まらず

監査期間の長期化で監査法人を変更する企業が多い一方で、監査報酬の値上げも会計監査人交代の要因となっています。なぜ監査報酬の値上げが続いているのでしょうか。

今回、上場主要100社の会計監査費に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

上場企業が支払う会計監査の費用がふくらんでいる。日本経済新聞社が主要100社について集計したところ、2020年3月期は合計1365億円と前の期に比べて5%増だった。

引用元:会計監査費5%増、ルール厳格化で 上場主要100社(日本経済新聞 2020年8月19日付)

記事によると、会計士らの実働時間に応じて費用が増加しており、2021年3月から義務付けられるKAMなどの制度変更で、監査工程が増えていることが要因になっていると伝えられています。他にもに旧ヤフーなどの大型M&Aやグループ再編も影響しているということです。

関連記事として、今後の監査費用の増加につながる制度改正に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

2015年に発覚した東芝の不正会計などをきっかけに、会計監査を厳しくする制度変更が相次ぎ、業績開示を充実させる流れが強まった。今後も監査工程が増えるのは避けられず、上場企業が監査法人に支払う費用は増加傾向が続きそうだ。

引用元:かさむ監査費用 KAM、詳細記述…制度改正相次ぎ(日本経済新聞 2020年8月19日付)

記事によると、今年の監査費用の増加については、2021年3月から義務付けられるKAMを2020年3月で早期適用した企業が40社超に上ることが指摘されています。また、2021年4月から本格適用される収益認識基準や、金融商品などの時価評価の手法が新しくなることも、今後の監査費用の増加傾向の要因になると伝えられています。

監査報酬の増額が予想される中、監査法人の交代は来年度も増えるのでしょうか。ご興味のある方は以下をご参照ください。

7月IPO高水準で中国市場が世界全体の4割

2020年3月は新型コロナウィルスの影響で日経平均が一時、1万6,552円83銭の安値となったり、4月の国内IPO件数がゼロになるなど、市場の動揺が止まりませんでした。現在も感染拡大は続いている一方で、世界の株式市場には変化が現れているようです。

今回、2020年7月のIPO件数に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

世界で新規株式公開(IPO)が復調している。7月の件数は月間ベースで2年ぶりの高水準となり、7~8月は前年の同時期より5割増えている。IPOは新型コロナウイルスの感染拡大で止まっていたが、株式相場の回復で再び活性化している。

引用元:世界のIPO復調 7月の件数、2年ぶり高水準(日本経済新聞 2020年8月24日付)

記事によると、2020年7月の世界のIPO件数は160件で、2018年6月以来の高水準になったと伝えられています。日本でも、2020年4月から5月はIPOはゼロでしたが、7~8月は10件に増えており、遺伝子治療薬の研究開発をするモダリスやデータ分析によるマーケティング支援のSpeeeなどが上場したということです。

下半期もIPOの活況は続くと予想されており、市場の動向を見守ってきた個人投資家にとって、投資の機会が増えそうです。ご興味のある方は以下をご参照ください。

(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧



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【大津留ぐみ:公認会計士・税理士/会計士・税理士専門ライター】 大学在学時にシェイクスピアを学んだことをきっかけに劇作家を目指すも挫折。編集プロダクションで編集やライティング業務に従事した後、公認会計士試験にチャレンジし合格。大手監査法人の東京事務所にて監査業務、財務デューデリジェンスなどに従事。 その後、フリーランスの公認会計士として非常勤監査、税理士法人の社員税理士として税務業務に従事しつつ、大津留ぐみのペンネームでライターとしての執筆活動にも従事。ライターとして、お金、社会保障、会計、税務などに関する記事を執筆。また、2児の母となったことをきっかけに、子どもの貧困や教育格差、子どものイジメに関する記事なども執筆。現在は、株式会社ワイズアライアンスの専属ライターとして会計・税務の記事を執筆しつつ、会計事務所にて内部統制業務にも従事するパラレルワーカー。公認会計士・税理士。

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