日経新聞が監査法人業界を特集、『揺れる監査法人 誕生半世紀の岐路』など:今月の会計士業界ニュース(2017年7月その2)

今月は、日本経済新聞が4回に渡る監査法人業界の特集記事をリリースしました。

東芝事件、新日本監査法人などのトピックスから始まり、業界全体の課題やトレンドについて切り込んでいます。

新日本監査法人の経営に社外有識者が参画

東芝、富士フィルムホールディングスの不適切会計問題の見逃しなど、ここ10年以上で複数の監査法人に業務改善命令・新規契約締結業務停止の処分が出されました。一連の不祥事に危機感を抱き、金融庁は平成29年4月にガバナンス・コードを策定しました。

各監査法人のガバナンス・コード導入に関する記事が、日本経済新聞より出ています。

その構図に風穴を開けたのが監査法人のガバナンス・コード(統治指針)だ。新日本監査法人が東芝の不正を見抜けなかったのを受け、金融庁が3月に導入した。最大の変化は「経営の監督・評価機関に第三者の目を入れるべきだ」とした点だ。

引用元:揺れる監査法人 誕生半世紀の岐路(1)東芝不正見抜けず逆風 会計ムラに第三者の目(日本経済新聞 2017年7月5日付)

記事によると、監査法人トーマツでは取締役会にあたる「ボード」に、あずさ監査法人は「公益監視委員会」を新設し、外部委員の意見が取り入れられているそうです。

また、新日本監査法人の社外委員を務めている慶応大教授の池尾和人氏等の記事も、日本経済新聞より出ています。

3月に導入された監査法人のガバナンスコード(統治指針)には外部の知見を活用する原則が盛り込まれた。実際に大手法人の社外委員を務める慶応大教授の池尾和人氏(新日本)と元内閣法制局長官の阪田雅裕氏(あずさ)に監査法人の現状と改革案について聞いた。

引用元:揺れる監査法人 誕生半世紀の岐路(4)社外委員に聞く(日本経済新聞 2017年7月8日付)

チェックする側の会計士が、チェックされる側へ

監査人は専門家であるがゆえに、新人であろうとベテランであろうとお互いの仕事に口出しをしないのが「暗黙の了解」という風土もあり、監査の質は会計士個人の資質にかかっていました。

ガバナンス・コード(統治指針)の導入によって、監査法人は第三者からチェックされる組織へと変わろうとしています。

監査法人の意識改革につながるか、それとも第三者からチェックを受けるための仕事が増えて終わるかは、今のところ手探りの段階です。

新日本監査法人のリストラすすむ

新日本監査法人のパートナーへの「退職勧奨」のニュースがありました。

新日本監査法人のリストラといえば、平成22年6月期に大幅な早期希望退職を実施し、約1割の人員が減少しています。その後の景気回復で、ようやく依然の水準まで人員総数が回復していました。今回の退職勧奨は景気によるものではなく、あいつぐ不祥事を見抜けなかった新日本監査法人に対する信用失墜によるものです。クライアント離れの責任を、まずはパートナーがとる形になりました。

リストラに至った経緯に関する記事が、日本経済新聞より出ています。

新日本では6月、30人程度とみられるパートナー(幹部)に退職を促す「退職勧奨」が申し渡された。今秋までにかけて順次、新日本を去る。パートナーは600人弱と5%減る見通しだ。

引用元:揺れる監査法人 誕生半世紀の岐路(2)信頼失う市場の番人 終わらぬ東芝問題(日本経済新聞 2017年7月6日付)

記事によると、昨年6月からパートナを5段階で評価する制度が導入されおり、下位の2階層になった場合、1年内に改善計画が達成できない場合は退職勧奨を受けるそうです。

既に新日本監査法人のWEBサイトに業務改善計画進捗状況がリリースされており、その中で「社員の退職に関する仕組みの構築」が掲載されています。

新日本監査法人の改善計画の本気度をチェック

リストラによるコスト削減の次は、新規契約を獲得して業務収入を増やさなければなりません。新日本監査法人の「業務改善計画」で、クライアントは戻ってきてくれるでしょうか。

業務改善計画にはパートナーのリストラや外部有識者の参画などがありますが、もっとも目をひくのは、「監査品質重視の組織風土の醸造」です。改革施策の進捗状況をモニタリングする組織風土委員会や、過去の不正事案の原因を検証する専門チームが立ち上げられています。

長きにわたって改革を妨げてきた監査法人内部の垣根が取り払われて、本気の改革が行われようとしています。

監査法人の対応厳格化で、クライアントの不信感募る

監査法人を変更する企業の増加と、主な変更企業を発表するニュースがありました。

今までは、パートナーがクライアントから相談を受けた場合に、パートナーが会計処理の是非を判断していましたが、そうはいかなくなりました。不正の兆候を法人レベルで把握するため、いちいち本部の審査部や品質管理本部にお伺いをたてることになります。

厳格な対応と監査報酬の増加に困惑する監査対象会社に関する記事が、日本経済新聞より出ています。

首都圏に本社を置くIT(情報技術)関連の中堅企業は今春、大手監査法人に「外部顧客との取引の会計処理は本部で審査する」と告げられた。以前は全く問題とされなかった会計処理への疑義に財務担当者は驚いた。

引用元:揺れる監査法人 誕生半世紀の岐路(3)企業との蜜月に陰り 審査厳格化、増えるコスト(日本経済新聞 2017年7月7日付

記事によると、監査法人を変更したのは前任が新日本監査法人だった企業ばかりでありません。新日本監査法人への不信感からあずさ、トーマツ、PwCあらたなどのBIG4に変更した企業もある一方で、あずさやトーマツのクライアントも監査報酬の増加等を理由に、中小監査法人へ契約変更が進んでいるようです。

大手の監査法人であるほど、多くのチェックリストが用意されています。財務諸表をチェックするためのものや、監査手続に関するものなら、会計士の業務の範囲として納得できます。

ですが、チェックしたものをさらにチェックするためのリストも多くあります。金融庁への検査に対応するためのチェックリスト。新たな監査法人内部の品質管理のためのチェックリスト。一体、一社に対していくつのチェックリストを埋めなければならないのか……、監査の厳格化で辟易しているのは、現場の会計士も同じ気持ちかもしれません。

次回も、2017年7月の会計士業界ニュースをまとめてご紹介します。

(ライター 大津留ぐみ

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