米国公認会計士(USCPA)の転職とその市場価値/第3回:実務未経験の米国公認会計士が転職で評価されるポイント

  • 2012/11/15

過去2回に渡ってお送りしてきましたコラム『米国公認会計士の転職とその市場価値』ですが、今回、第3回が最終回となります。

最終回の今回は『実務未経験の米国公認会計士が転職で評価されるポイント』と題して、会計や財務といった分野の実務が未経験の方が米国公認会計士を取得した場合、どのような点からキャリアを評価されるかを解説します。

※米国公認会計士は試験に合格後、一定の要件を満たす実務経験を積まなければ「米国公認会計士」にはなれません。そのため、厳密には「米国公認会計士試験に受かった人」で「実務未経験の人」は米国公認会計士ではないのですが、便宜上、ここでは『実務未経験の米国公認会計士』という表現に統一させて頂きます。

第1回、第2回に関してはこちらをご参照ください。

「会計」「財務」「金融」などの実務未経験者が米国公認会計士を取得するとどう評価されるのか?

さて、前回は「実務経験者が米国公認会計士資格を取得した場合」について述べてきましたが、

「実務経験者なんだから資格を取得してキャリアにプラスになるのは当たり前じゃないか!」

と思われる方もおられるかと思いますので、今回は「未経験」の方に関して解説していきます。

実際、この米国公認会計士に関するコラムを特に読んで頂きたいのは

「会計関連業務が未経験だが米国公認会計士の取得を目指そうと思っている人」

でして、

「米国公認会計士を取得したら会計業界で活躍できる!キャリアアップできる!」

と思って、多くの時間とコストと労力をかけて米国公認会計士を取得してみたものの、自分のキャリアとはアンマッチで期待したほどの効果が出なかった…ということを回避したり、資格を取得した際により良い転職をしたりするための参考にして頂ければと思っています。

まず、前回(第2回)で解説しましたが、米国公認会計士は「会計」「財務」「金融」と言った分野、また、「英文会計」「英語」と言った分野に関連する資格です。

そのため、米国公認会計士を取得することによって、

「会計・財務・金融分野に関する基礎知識がありますよ」

「基礎的な英語力や英文会計の知識がありますよ」

といった点をアピールポイントとすることができます。

ただし、第1回で解説したとおり、「資格は実務と合わさってはじめて効果を発揮する」ため、米国公認会計士試験に合格しても、会計や財務、金融といった業務の実務が未経験となると転職市場においてそれほど評価されず、転職活動にも苦労してしまう(=キャリアアップにつながらない)ことになります。

しかしながら、「実務未経験者」でも転職の結果には差が出るわけで、複数の会社から内定を貰ったり、有名企業から内定を貰ったりする人もいます。このように同じ「実務未経験の米国公認会計士」でも転職市場での差が出てくるのにはいくつかのポイントがあります。

厳密には受験する企業や職種によって細かな違いがあるのですが、今回は、未経験者が資格を取得して転職する際に、一般的に重要とされる下記の4つのポイントに絞って解説します。

  1. 希望職種の経験があるかどうか、または、希望職種に近い経験があるか
  2. 年齢はどれくらいか?(未経験者として入社するに十分に若いかどうか)
  3. 希望する業界や企業が活況かどうか(採用が積極的に行われている状態かどうか)
  4. 経歴・人柄がしっかりしているか

実務未経験の米国公認会計士の評価を決める4つのポイント

 1.希望職種に近い経験があるかどうか

本項では、未経験者を対象とした話をしていますので、基本的に希望職種の実務経験がないことが前提です。しかしながら、「経理」や「財務」「コンサルティング」など希望職種の経験がなくとも、「希望職種に近い経験」がある人はいるかもしれません。

例えば、

『経理やコンサルティングの経験はないが、財務分析の仕事はしていたことがある』

『コンサルティングの経験はないが、銀行で融資営業をしていたことがある』

『管理会計の経験はないが、前職ではExcelを使って数値分析を行なっていた』

などと言った場合です。

もしくは、会計に近い仕事の経験がなくとも、転職希望先が『ビジネス英会話』を必要とする部署で、『前職のミーティングでは英語を使っていたため英語力が評価される』と言うケースもあるでしょう。

このように、未経験者の場合は経験がなくとも『希望職種に近い経験』『希望職種と接点となる経験』があれば評価が高まりますので、自分が『希望職種に近い経験をしているかどうか』は大切なポイントのひとつです。

2.未経験者として入社するに十分に若いかどうか

 転職の際には、『年齢』がポイントとなる場合もあります。実は、日本では年齢制限をかけて人材を採用することは特定の理由がない限り禁止されているのですが、転職においては「年齢に応じたキャリア」が必要とされるため、なかなかこの『年齢』を抜きにキャリアアップを語ることはできません。

未経験者の場合、採用側の視点に立つと「上司や先輩が業務を教えなければならない」ため、転職先で上司や先輩となる人の年齢より若いかどうか(彼ら・彼女らが教えやすいかどうか)で採用される可能性に大きく影響が出てきます。例えば、『27歳で4年の経理経験がある女性の先輩』がいる部署で、その後輩として、米国公認会計士を取得しているとはいえ『35歳で経理未経験の男性』が採用されるでしょうか?もちろん、企業側も年齢だけで採用を決めるわけではないので、謙虚で腰が低く、教えやすい人柄であったり、伸びしろを感じる人柄であったりするなどポテンシャルが高ければ、年齢に関係なく採用される可能性はあるのですが、一般的に考えると、『組織のバランスを考えると、年下の人を採用したいな』と考えるのが普通だと思います。

このように、未経験者の場合は、どの分野を目指すにせよ『新人』として採用されることが一般的ですので、年齢は若ければ若いほど転職先の組織に馴染みやすい(=つまり、採用対象になりやすい)傾向にあります。一般的には、未経験者の採用は、25~26歳くらいがひとつの区切り、次に30歳あたりが区切りとなりますので、会計関連業務未経験の人が米国公認会計士にチャレンジする場合は年齢に関しても一考が必要です。

3.その業界が活況かどうか(採用が積極的に行われている状態かどうか)

中途採用や転職のハードルは、本人のキャリアだけでなく、『転職マーケットの市場環境』によっても影響を受けます。景気が良く、採用が活発、採用人数が多い環境ほど採用ハードルは下がります。

米国公認会計士が活躍するフィールドの中でも、特に会計業界(監査法人や会計系コンサルティングファーム)ではこの状況は顕著であり、未経験者の場合は特に、景気が良い環境かどうかが転職可能性に大きく影響を与えます。 

例えば、先ほど、「一般的に25~26歳を超えると未経験分野への転職は難しいですよ」と言うことを述べましたが、みなさんの中にはもしかしたら「知り合いが30歳を過ぎてから米国公認会計士を取得して、経理も監査も未経験だけど大手監査法人に転職したよ」という方がおられるかもしれません。実は、監査法人業界には本当にそのような時期が存在し、具体的にはリーマンショック直前の2006年~2008年前半にかけては、監査法人業界全体で圧倒的な人不足が生じ、採用ハードルが著しく下がったことがあり、米国公認会計士のみならず日本の公認会計士、会計士試験の受験生も含めて多くの未経験者が大手監査法人に採用されました。

このようなことは今後、なかなかないと思いますので「じゃあ、またそうゆう時期が来るのを待とう!」というのはお勧めはしませんが、「業界が活況なときに転職活動を行う」ということは非常に重要なのです。

4.経歴や人柄がしっかりしているか

実務未経験の米国公認会計士が転職で評価されるポイント、最後は「経歴や人柄がしっかりしているか」です。これはあえて言わずともおわかり頂けるかと思いますが、企業が「実務未経験者」を採用する場合、『経験』で評価することができないので、『ポテンシャル』で判断することになります。その際に、当然のことながら『人柄』や『経歴』が大きく参考となり、しっかりとした経歴や人柄の人ほど採用可能性が高くなります。

「経歴」と書くと「高学歴や有名な企業にいた人が有利なのかな?」などと思いがちですが(実際、そうゆう側面もありますが)、これまでに何回も転職を繰り返していなかったり、大学を無意味に浪人・留年せず卒業していたり、米国公認会計士を取得するにしても在職しながら仕事と勉強を両立して取得していたり、と「この人なら未経験だけど入社後もしっかりと頑張ってくれそうだ」と思える経歴をしているかどうかが重要です。特に、米国公認会計士は在職しながら試験に合格する人も少なくはないので「仕事を辞めて試験勉強に専念していました」となると評価が下がりがちで、特にその期間が長くなればなるほどさらに評価は下がってしまいますので注意が必要です。 

以上が、未経験の米国公認会計士の評価を決める4つのポイントです。

もし、未経験の方が米国公認会計士を目指される場合は、このようなポイントがキャリアアップに影響してきますので、事前に意識しておくと良いと思います。

ただし、少し厳しい話ですが補足しておきますと、これら4つが揃っているからと言って必ずしも評価されていい転職ができるわけではないと言う側面も当然のことながらあります。転職市場には「実務経験のある米国公認会計士や日本の公認会計士」、もしくは、資格を取得しておらずとも「25~26歳で3年の経理経験がある人やコンサルティング経験がある人」はたくさんいます。「実務未経験の米国公認会計士」が彼らと勝負した際にいくら4つの要素を満たしていても、最終的には「やはり実務経験がある人の方が育てやすくていいよね」と彼らのほうが高く評価されてしまうことも頻繁にあります。

とは言え、決して「転職が厳しい=米国公認会計士を取得する意味は無い」ではありません。未経験から米国公認会計士を取得して活躍されている方は決して少なくありませんし、特に最初は皆、未経験です。「米国公認会計士を取得したらいい転職ができる」ではなく「米国公認会計士を取得してからどうなっていこう」という意識でキャリアアップを目指して頂きたいと思います。

もし、「実務は未経験だがこれから米国公認会計士を目指そう」と考えている方がおられましたら、今回のコラムが参考になれば幸いです。

<終>

過去記事はこちら

第1回:米国公認会計士を取得するべきかどうか判断するには?(米国公認会計士の転職とその市場価値)

第2回:米国公認会計士とシナジーのある経験とは?(米国公認会計士の転職とその市場価値)

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