米国公認会計士(USCPA)の転職とその市場価値/第1回:米国公認会計士を取得するべきかどうか判断するには?

  • 2016/10/30

当サイト『公認会計士ナビ』は、会計業界の活性化を目的として、主に日本の公認会計士資格取得者や会計・監査法人業界で働く人をターゲットに情報提供をさせて頂いているサイトです。

しかしながら、このサイトをご覧になっている方々の中には「これから会計業界を目指そうと思っている人」もおられるかと思います。

そして、そのような方々に、会計業界や会計関連の資格について正しく理解して頂くことによって、資格を正しく取得し、効果的なキャリアアップを実現して頂いたり、より優秀な方に「会計業界で働きたい!」と思って頂いたりすることも会計業界の活性化につながるのではないかと思っています。

という訳で、今回より3回に渡って、会計業界未経験の人これから会計業界を目指そうと思っている人向けに米国公認会計士の転職とその市場価値』をテーマにしたコラムを連載していきたいと思います。 

第1回は『米国公認会計士を取得するべきかどうか判断するには?』です。

米国公認会計士(USCPA)を取得すればキャリアアップできるの?できないの?

2011年、日本での『米国公認会計士(USCPA)』の受験が解禁されました。また、強制適用は延期になったものの、徐々に適用が進みつつあるIFRS財務報告基準(IFRS)の影響や、日本企業の海外進出の進展などから、転職マーケットにおいてこれまで以上に「会計」と「英語」が重視されるようになってきています。

このような背景に伴い『米国公認会計士』の注目度も高まってきていますが、米国公認会計士を目指す方々にとって、資格取得前に手に入る情報は非常に限られています。

例えば、会計系資格の専門学校などは積極的に

『これからは国際会計の時代!』

『グローバルなビジネスパーソンには会計知識が必要!』

『USCPAを取得してキャリアアップ!』

と言った情報を発信しています。

一方で、webを検索すれば、

『米国公認会計士は日本の公認会計士より取得が簡単』

米国公認会計士は市場価値が高くない』

などと言った情報も見受けられます。

また、米国公認会計士資格を取得して、

 『キャリアアップに成功した!』

 『希望の職種に転職できた!』

 と言う人もいれば、残念ながら

 『苦労して米国公認会計士試験に合格したのに、転職の際にあまり評価されなかった…』

 という人もおられます。

実際、米国公認会計士の実際の市場価値や資格の有効性はどの程度なのでしょうか?

米国公認会計士を取得することはキャリアアップにつながるのでしょうか?

今回、webなどで見られる一般論からさらに一歩踏み込んだ形で、米国公認会計士資格の有効性と取得の際の注意点取得後のキャリアアップのポイントなどを解説していきます。

自分のキャリアとシナジーのある資格が何かを考える

まず、米国公認会計士に限らず、資格全般に言えることなのですが、そもそも資格の取得を目指す歳には、

「その資格を取得したら、自分のキャリアアップや転職に効果があるのか?」

と言うことを判断しなければなりません。

その際に基準となるのが、資格取得を目指すあなた自身が

「これまでに“その資格とシナジーのある経験”を積んでいるのか」

と言うことです。

世間には資格取得に関して、

「資格を取得すればキャリアアップできる!」
「資格を取得すれば安心!」
「難関資格を取得して人生逆転!」

と言ったイメージを持たれている方も少なくないかと思いますが、実は資格というのは資格だけで大きな効果を発揮するものではありません。

資格とは、

『資格』と『実務経験』の両方が揃って、初めて効果が最大となる

ものなのです。

つまり、資格取得を考える場合には、これまでの経験と全く関係のない資格を取得するのではなく、これまでの経験とシナジーのある資格を取得することがキャリア形成において重要となるのです。

では、わかりやすく例を挙げて見てみましょう。

ここにAさんとBさんのふたりがいたとします。

ふたりとも30歳で、それぞれのキャリアは下記の通りです。

  • Aさん(30歳)…22歳で大学を卒業し、その後「経理」を8年間経験
  • Bさん(30歳)…22歳で大学を卒業し、その後「人事」を8年間経験

この時、AさんとBさんの両方が『米国公認会計士』の資格を取得したとします。

Aさんの場合、米国公認会計士とシナジーのある「経理」の経験を有していますから、会計系の「資格」と「実務経験」がシナジーを生み、市場価値のアップにつながります。

一方で、Bさんの場合、「人事」の経験は会計系の職種ではないため、米国公認会計士の資格とはシナジーを生みません。

そのため、もし、Bさんが米国公認会計士の資格を取得した場合、転職市場においては、

「米国公認会計士の資格は持っているが経理の経験がない人」

または、

「人事経験はあるが、人事と全く関係のない米国公認会計士の資格を持っている人」

と言う評価になります。

つまり、Bさんのように、米国公認会計士とシナジーのある経験を積んでいない人が米国公認会計士の取得を目指す場合は、

「資格でキャリアアップする!」

ではなく、

「今までの経験をリセットして、会計分野にチャレンジをする」
「米国公認会計士を取得して、会計分野にキャリアチェンジする」

と言うふうに考える必要があるのです。

もしくは、Bさんのように「人事」をコアキャリアとしている人が資格によるキャリアアップを目指すのであれば、米国公認会計士資格ではなく、『社会保険労務士』など人事関連資格の取得を目指すのがキャリアップのセオリーとしては適切と考えられるのです。

資格の持つ“イメージ”や“幻想”にまどわされないことが大切

このように、米国公認会計士資格の取得によってキャリアアップするには、まずは自分のキャリアが米国公認会計士資格とシナジーがあるのかどうかを判断しなければなりません。

現在、会計業界で働いている人や経理など会計関連の仕事に従事している人であれば、米国公認会計士の資格がキャリアアップにつながる可能性は比較的高いと考えられます。

しかしながら、会計業界での経験や経理職としての経験がない人の場合は注意が必要です。

特に、会計業界での経験がない人が『米国公認会計士(USCPA)』と聞くと、グローバルかつ専門性がありそうな響きから、「USCPAってかっこいい!すごい!」と感じてしまいがちです。

さらに、

「米国公認会計士は日本の公認会計士資格と比較すると取得難易度が低いですよ」

「頑張れば貴方も取得できますよ」

などと言われてしまうと、

「USCPAなら自分にも取得できそう!」

「USCPAを取得すれば、新たなキャリアが開けるのではないだろうか!?」

というふうに思ってしまう方も少なからずおられるでしょう。

けれども、そこは少し冷静になって、まずは

「米国公認会計士の資格は、今までの自分のキャリアにシナジーがあるのだろうか?」

と言うことを考えてみて下さい。

資格の持つ“イメージ”や“幻想”にまどわされず、自らのキャリアを冷静に見つめることが重要なのです。

それでは、次に「米国公認会計士とシナジーのあるキャリアって何?」と言うことになるのですが、それについては後日、解説させて頂きます。

次回に続きます。

第2回はこちら

第2回:米国公認会計士とシナジーのある経験とは?(米国公認会計士の転職とその市場価値) 

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