トーマツが作業専従の部隊を設立、教材不正コピー事件など2件:今月の会計士業界ニュース(2017年10月その1)

10月12日と26日に、トーマツ関連のニュースがリリースされています。12月から開始される監査の作業専従部隊に関する記事や、予備校教材の不正コピーに関する記事などご紹介します。

会計士の事務負担を軽減。専従部隊とは?

専門性低い業務、トーマツが専従部隊 監査の質高める (日本経済新聞 2017年10月12日付)

監査の中には分析の資料作成をはじめ、やらなきゃいけないけど会計士じゃなくてもできそうな作業がありますよね。個人で監査をやっている会計士の人なら、事務所の従業員に任せている作業も多いのではないでしょうか。

トーマツは慢性的な人員不足の解消のため、これらの作業を専門で行う部署を作るようで、こういった監査の作業専従の部隊が所属する“トーマツ監査イノベーション&デリバリーセンター”の開設に関する記事が、日経新聞より出ています。

12月、千葉市に「トーマツ監査イノベーション&デリバリーセンター」を開設し、まず30人で運用を始める。過去の財務数値のデータ化や開示書類の原案チェック、定型文書の作成などを手がける。2年後には250人体制にし、2021年をメドに会計士の年間業務時間を1割減らす。スマートフォン(スマホ)やスキャナーなどを使い、現場の監査チームとデータをやり取りする。

引用元:専門性低い業務、トーマツが専従部隊 監査の質高める (日本経済新聞 2017年10月12日付)

記事によると、債権・債務の残高や開示資料の誤字・脱字などの確認といった専門知識がなくてもできる作業は、この専従部隊が行うことになるようです。会計士の業務量を減らすことで不正チェックなどに集中できるようになり、監査の質を高めることが期待されています。

適材適所の配員は人件費の削減にもつながるのではないでしょうか。会計士と監査法人の双方にメリットのあるイノベーションモデルになりそうですね。 

専従部隊を推し進めるもう一つの理由

監査業務の変革と働き方改革の促進を目指し、業務集中化拠点として「トーマツ監査イノベーション&デリバリーセンター」を12月に開所(デロイトトーマツ 2017年10月12日付)

デロイトトーマツは、今回の“トーマツ監査イノベーション&デリバリーセンター(AIDC)”開所にあたり、ニュースリリースを出しています。

単に現場業務をセンターで行うのではなく、標準化した業務をさらにRobotic Process Automation (RPA)などでIT化する、紙ベースでの業務をデジタル化することで人工知能(AI)の活用を推進し、AIDC発のイノベーションで監査現場をサポートする。

引用元:監査業務の変革と働き方改革の促進を目指し、業務集中化拠点として「トーマツ監査イノベーション&デリバリーセンター」を12月に開所(デロイトトーマツ 2017年10月12日付)

ニュースリリースによると、AIDCの開所は会計士の業務を軽減するだけでなく、業務のIT化やAIの活用を進め監査イノベーションをサポートする目的もあるそうです。トーマツでは2020年までに、すべての監査業務にIllumia/Audit Analytics(データを活用した監査手続)の導入を予定しています。

Illumia/Audit Analyticsの導入は、データ活用でリスクフォーカスを徹底することで、監査人の経験則だけでは見つけられなかった不正リスクが検出できると期待されています。専従部隊の発足は、監査品質向上に一役買いそうです。

会計士志望職員の不正。法的措置も視野に

トーマツの会計士志望職員ら、予備校教材を不正コピー(朝日新聞デジタル 2017年10月26日付)

会計士になるなら会計知識・監査スキルと並んで、職業倫理も必要な素養ですよね。不正をしている監査人から指導されていると知ったら、クライアントが快く指導を受け入れるはずありません。

ところが、会計士志望者による不正が発覚しました。トーマツの職員らによるTAC教材の不正コピーに関する記事が、朝日新聞デジタルから出されています。

大手監査法人「トーマツ」(東京)に勤め、公認会計士を目指す職員らが、資格試験の予備校の教材や講義の音声データを不正コピーし、受験予定の同僚計15人で使っていたことがわかった。トーマツは予備校に謝罪し、24日付で15人を降格処分などにした。

引用元:トーマツの会計士志望職員ら、予備校教材を不正コピー(朝日新聞デジタル 2017年10月26日付)

記事によると、職員らは約20万円の受講料負担を軽減したくて不正コピーを行ったと話しているそうです。一方のTACは、著作権侵害行為には厳しい姿勢で臨むとし、法的措置もありうる事態になっています。

また、一部サイトによると、取りまとめを行っていた職員は教材を印刷会社に発注して複製していたなどの情報(真偽は不明)もあり、もしそれが事実だとすれば、個人間でのコピー以上に大掛かりに行っていたのかもしれません。

トーマツの給与なら十分に授業料を払えるはずですが……。少数の倫理観が欠如した人の行動で、監査に対する信頼がさらに失われてしまうことがないように気を引き締めてもらいたいものです。

なお、参考までに公認会計士ナビで調べてみたところ、BIG4監査法人においては、あずさ監査法人のみ修了考査の対策講座の受講料が法人負担で支給されるようです。

(ライター 大津留ぐみ

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【大津留ぐみ:公認会計士・税理士/会計士・税理士専門ライター】 大学在学時にシェイクスピアを学んだことをきっかけに劇作家を目指すも挫折。編集プロダクションで編集やライティング業務に従事した後、公認会計士試験にチャレンジし合格。大手監査法人の東京事務所にて監査業務、財務デューデリジェンスなどに従事。 その後、フリーランスの公認会計士として非常勤監査、税理士法人の社員税理士として税務業務に従事しつつ、大津留ぐみのペンネームでライターとしての執筆活動にも従事。ライターとして、お金、社会保障、会計、税務などに関する記事を執筆。また、2児の母となったことをきっかけに、子どもの貧困や教育格差、子どものイジメに関する記事なども執筆。現在は、株式会社ワイズアライアンスの専属ライターとして会計・税務の記事を執筆しつつ、会計事務所にて内部統制業務にも従事するパラレルワーカー。公認会計士・税理士。

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