FAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)への転職 -公認会計士の転職ナレッジ

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FAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)業界への転職は、公認会計士にとって人気のキャリアパスのひとつです。

2000年頃、各種法改正に伴い日本国内でのM&Aや企業再生が一般的になってきた頃からサービスとして登場したFAS。近年は、各監査法人でもFAS専門の関連会社を有していることも多いため、在籍する監査法人のグループ内で異動してFAS業務に取り組む公認会計士も少なくないなど、公認会計士のキャリアにおけるメジャーな選択肢となっています。

そんなFASでのキャリアですが、大手ファーム(BIG4監査法人系列など)中小・独立系ファームのいずれに進むかでキャリアが異なってきます。ここでは、2つのキャリアパスに関してそれぞれ解説します。

目次

FASへの転職の傾向とは?

FAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)への転職の傾向

FASへの転職の傾向(大手、中小・独立系共通)

  • 公認会計士の間では、特にBIG4監査法人系列のFAS(大手FAS)の人気は高い。
  • FASには、「デューデリジェンス(トランザクションサービス)」「バリュエーション・モデリング」「FA(M&Aアドバイザリー/コーポレートファイナンス)」「リスクアドバイザリー(フォレンジック/エンタープライズリスクサービス)」「企業再生(ビジネスリストラクチャリング)」などのサービスがある。それぞれのサービスごとに選考基準や求められるスキルも異なっている。(なお、本項では、リスクアドバイザリー企業再生を除いたサービスをFASとして、解説する。)
  • FASの求人動向は監査法人と連動することが多い。
  • 監査法人が公認会計士余りの状況であれば、FASも公認会計士余りであることが多く、その時期はFASへの転職も難しくなる傾向にある。
  • 監査法人が公認会計士不足の状況であれば、FASの公認会計士不足であることが多く、FASへの転職も容易になる傾向にある。
  • 監査のみの経験でFASに転職する場合、転職後に業務について行けるか不安に感じる公認会計士も少なくないが、デューデリジェンス業務であれば監査と手順が似通っているため、転職後も比較的スムーズに業務に取り組むことができる。

大手FASへの転職の傾向

  • 大手FASには『株式会社KPMG FAS』『プライスウォーターハウスクーパース株式会社』『デロイトトーマツFA合同会社』『アーンストアンドヤング・トランザクション・アドバイザリー・サービス株式会社』などがある。
  • 大手FASの財務デューデリジェンスをメインとする部門では、監査経験のみの公認会計士の候補者に関しては、30歳程度までの人材を採用することが多い。
  • FA(ファイナンシャルアドバイザリー)、バリュエーション、フォレンジック、エンタープライズリスクサービスなど特殊なスキルが必要とされる部門では、経験者であれば30歳以上の人材や金融機関出身者などの公認会計士以外の人材も採用している。逆に、監査経験しかない公認会計士だと、30歳を超えてくると年齢が高くなるに連れて採用の可能性は低くなっていく傾向にある。
  • 不景気時や公認会計士余りの状況下では、FASは併設の監査法人から人材を採用することができるため、外部からの採用に対するハードルは高くなる傾向にある。そのような状況下では、高い語学力を有する人材や30代前半程度までで突出したFAS経験を有する公認会計士のみが採用対象となる傾向にある。

中小・独立系FASへの転職の傾向

  • 独立系FASには、「準大手・中堅以下の監査法人(および併設のFAS会社)」「独立系の会計事務所」「ファイナンス系コンサルティングファーム」がある。
  • 独立系FASの選考においては、FAS未経験者の公認会計士(監査経験のみの公認会計士)の場合、大手FASと同様に30代前半くらいまでの人材が採用されやすい傾向にある。
  • 準大手以下の監査法人の場合、監査部門とFAS部門を明確に分けておらず、監査部門のスタッフが監査と並行してFAS業務に携わることもある。
  • 監査経験のみの経験の公認会計士で30代半ば以降の年齢となると、FASへの転職は難しいが、監査と並行してFAS業務も行っている中小・独立系監査法人であれば、監査要員として採用され、並行してFAS業務にチャレンジできるケースもある。

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FASの年収はどれくらいか?

FAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)の年収

FASの年収(大手、中小・独立系共通)

  • FASの年収は、基本的には大手FASの年収が高く、中小・独立系FASの年収のほうが低い傾向がある。
  • ただし、中小・独立系FASでも高収益なファームでは大手FASよりも年収が高い場合があったり、年収は大手より低いが組織が小規模で昇格がしやすい(昇格によって年収を上げやすい)ファームもある。
  • また、年収は大手FASの方が高いが、幅広い業務に取り組める、クライアントとの距離が近い、独立しやすい、といった理由から中小・独立系FASを選ぶ公認会計士も多い。
  • FASは、監査より業務量が多い(労働時間が長い)ケースもあるため、年収で監査より高くとも、時給ベースでは監査より低いというケースもあるなど、単純な年収額では比較しにくい側面もある。
  • FASは、案件の受注状況によって業績連動賞与が変動することもあり、好景気時でマーケットにFAS案件が豊富な時には以下のノベル水準より高くなる、逆に不景気の場合は低くなるケースもある。

大手FASの年収

  • 大手FAS(主にBIG4 FAS)での年収は、平均するとBIG4監査法人の監査職より100万円~200万円程度高い水準にある。ただし、残業量や賞与にもよるため、スタッフやシニアスタッフレベルであればあまり差がつかないケースもある。(リーマン・ショック前は監査よりもFASの給料が明確に高い時期もあったが、近年では監査法人とFASの給与差はやや小さくなっている傾向も見られる。)
  • 大手FASにおいては、シニアスタッフの上位(ただし、業績賞与や残業代にもよる)~マネージャー職であれば年収1,000万円を実現できる。

中小・独立系FASの年収

  • 中小・独立系FASでの年収は、ファームにもよるがBIG4監査法人の監査職と同等程度の水準にある。ただし、残業が多い(残業代が多額に支給されている)法人から中小・独立系FASに転職する場合、もしくは、監査法人のシニアスタッフから中小・独立系FASのスタッフ職へと転職する場合は、年収が下がることとなる。
  • 中小・独立系FASにおいては、年収水準はファームによってケースバイケースのため、一概には言いにくいが、マネージャー職の中位以上であれば年収1,000万円を実現できる可能性が高い。

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FASでのキャリアはどう積めばよいのか?

FAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)業界でのキャリアの特徴

FASでのキャリア(大手、中小・独立系ファーム共通)

  • BIG4 FAS、独立系FASともにFAS分野全体では財務デューデリジェンス業務が占める割合が高い傾向にある。
  • 監査経験のみの公認会計士が採用されやすいのも財務デューデリジェンス職である。
  • BIG4 FASでは所属部門のサービスのみ(例:トランザクション部門ならデューデリジェンスのみ)を経験することとなり、専門性は高められるが、キャリアの幅は狭まる傾向にある。一方で、独立系FASであればひとつのサービスを極めるのは難しいものの、幅広い業務を経験することができるため、キャリアの幅は広がる傾向にある。FASのキャリアにおいてはこの「大手で特定業務の専門性を深めるか」「大手以外で総合的にFASスキルを磨くか」というのが大きな論点のひとつである。
  • バリュエーションやFA(ファイナンシャルアドバイザリー)業務に関しては、監査経験だけの公認会計士はやや採用されにくく、選考ハードルは高めである。
  • 公認会計士の場合、FAS業務では、財務デューデリジェンスは基礎となるのでしっかりと経験しておいた方が良い。ただし、近年では、FAS出身の公認会計士も増えてきたため、財務デューデリジェンスの経験だけでは、他の公認会計士との差別化を図りにくくなってきている側面もある。
  • FAS業務の中でも、バリュエーションやFAはデューデリジェンス以上にファイナンス関連のセンスや知見が要求される側面もあるので、スキルを磨けばキャリアに付加価値をつけやすい。
  • FASでの業務は監査とは異なり、プロジェクトをベースとしたものになるので、プロジェクトが始まると繁忙となり、プロジェクトがない時期は閑散となる。会計監査や会計アドバイザリーなどの業務と異なり年間を通しての繁閑(スケジュール)が読みにくい点は働き方における大きな違いである。
  • FASから次職へのステップアップ転職を行う場合も、年齢が若いほうが有利であり、35歳程度まででの転職が望ましい。(30歳前後の年齢で3~4年のFAS経験を積んでいると、他のFASやアドバイザリーファームへの転職も行いやすい。)
  • 事業会社への転職を希望する場合、FASのキャリアが長くなると、会計の実務からは離れることになるため、「経理職」への転職は難しくなる傾向にある。一方で、財務や経営企画などファイナンス関連職種であれば、FASからの転職の可能性も残る。

大手FASでのキャリア

  • 大手FASで扱う案件は、比較的中規模以上の案件が多い。また、新聞紙面やマスコミなどで取り上げられる大型案件に携われる点も魅力である。
  • 大手FASでは、クロスボーダー案件も扱っている。現在のグローバル化の進展を考えると、クロスボーダー案件に携わり、英語力や国際性を磨いておくことは公認会計士のキャリアにとってプラスになると考えられる。
  • 大手FASでは、当然のことながらFAS内での競争があり、管理職(マネージャー以上)になれる人材は限られている。そのため、30代半ば以降になってくると「管理職になれた人材」「管理職になれなかった人材」とに分かれ、転職市場での評価も異なってくるケースがある。そのため、大手FASでキャリアを積む場合は、マネージャー職以上に昇格すること(昇格できそうかどうか)も意識しておくことも重要である。
  • 大手FASでは、扱う案件規模が大きいことから、若いうちに営業活動に携わったり、顧客と密なコミュニケーションをとったり、報告会等でクライアント経営陣と直接やりとりするといった機会は持ちにくい。また、独立後に個人で獲得できる規模の案件に携わる機会もあまり多くない。そのため、独立を考えている公認会計士にとっては独立に直接プラスになる経験は積みにくい。但し、業務の基本は同じであるのと、業務のプロシージャーやクオリティは高く、また、経歴に泊がつくという面から独立にプラスになる側面もある。
  • 大手FASから投資銀行などのFA職へ転職するにあたって、財務デューデリジェンスしか経験していない場合は、30代前半程度までなど若いほうが望ましい。(30代になると転職市場にFA経験者などのライバルが多くなり、経験のある即戦力人材が求められやすくなるためである。)
  • バリュエーションやFA、M&Aアドバイザリーなどの業務を経験していると、30代半ば以降でも投資銀行などの金融機関への転職の際に評価はされやすい傾向にある。
  • 大手FASでは、フォレンジックやエンタープライズリスクサービスなどの特殊分野や新興分野のサービスラインもある。そういった部門であれば、一般的な公認会計士とのキャリアを差別化できるが、特殊な分野であるため、その後の転職先は限られてしまう可能性もある。(詳細は「リスクアドバイザリーサービスへの転職」を参照。)
  • 大手FASでは、近年では英語力が重視されてきている。応募時はTOEIC(目安として700点代の後半以上)を取得するなどの準備をしておくことが望ましい。

中小・独立系FASでのキャリア

  • 中小規模・独立系FASでは、総合的なFASの提供(デューデリジェンス以外にもバリュエーションやFAなど)を行っている。以前は、財務デューデリジェンスやバリュエーションをメインとしたファームが多かったが、近年では、PPAやPMI(M&A後の会計面での統合支援)などのサービスも合わせて提供するファームも一部に出てきている。
  • また、FAS以外にも、会計アドバイザリー(IPO支援やJ-SOX対応、連結決算支援、IFRS対応など)も含めた幅広い業務を行っているファームもある。業務範囲はそのファームのサービスラインやパートナーや幹部のスキルに依存することが多いため、転職時には各ファームの案件の特徴を見極めることが大切である。
  • 中小規模・独立系FASでは、そのメンバーは少数の公認会計士にて構成されていることが多い。そのため、ある程度、メンバーとの相性がある程度合あえば人間関係にも困らず、また、組織としての縛りも大手FASより緩やかなことが多いため、快適に勤務できることが多い。
  • 中小・独立系FASでは、対象とするクライアント規模は小さくなるが、その分、クライアントに近い距離でクライアントの意向に近いサービスを提供することができる。
  • 中小・独立系FASでは、対象とするクライアントや案件の規模は小さくなるが、若手でも営業・提案活動を経験しやすい、新興上場企業の役員や企業オーナーとの折衝を経験する機会を持ちやすい、若い年齢でもインチャージを任される、など有用な経験を積むことができたり、幅広い人脈を形成したりすることができる。
  • 上記のように、幅広い業務経験、営業経験、人脈形成などの観点から、中小・独立系FASでの経験は独立に有利となる傾向にある。

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