企業再生コンサルティングファームへの転職 -公認会計士の転職ナレッジ

  • 2017/5/26

バブル崩壊後の1990年代後半の疲弊した日本経済の中で「企業再生」という新たな分野が登場し、現在ではコンサルティング、ファイナンス分野のひとつのジャンルとして定着しています。主に財務状況に問題を抱えた企業をターゲットとすることが多いこの分野は、公認会計士がそのスキルを活かせるフィールドでもあります。一方で、ひと言に「企業再生」と言っても、その手法や再生スタンスによっていくつかに分類され、公認会計士の採用可能性や身に付けられるキャリアも異なってきます。 

企業再生コンサルティングファームへの転職の傾向

  • 企業再生は不況下には人気の転職先となり、求人数も増加する。
  • 企業再生はその特徴によって複数に分類され、いずれの分野なのかによって求められるスキルや素養、選考難易度も異なってくる
  • 企業再生は、主に「総合型」「FAS型」「法律支援型」「財務支援型」の4分野に分類される。

総合型

経営全般(戦略・マーケティング・経営管理・財務・人事・法務等)を支援し、再生を実現するファームであり、戦略系コンサルタント、キャピタリスト(投資ファンド出身者)、金融機関出身者、資格者(弁護士、公認会計士、税理士)、事業会社出身者(経営企画、経営管理)など様々なバックグラウンドを持つ人材で構成される。これら総合型のファームは企業再生で有名ではあるが、経営コンサルティングのノウハウを総合的に有しているため、取り扱う案件は必ずしも再生案件に限らない。

代表的な総合型のファームには、経営共創基盤フロンティア・マネジメント企業再生支援機構山田ビジネスコンサルティングなどがあり、2000年代前半に日本経済活性化のために設立された産業再生機構(既に解散済み)なども同様の形態であった。コンサルティングと言う形態ではなく、経営権を取得して企業再生に取り組む「企業再生ファンド」の場合も同様に総合的な支援を行う傾向にある。同分野は、ファイナンスだけでなく、戦略やマーケティングなど幅広いジャンルの経験を積むことができるため、経営マネジメントにキャリアを広げたい公認会計士には魅力的な分野ではあるが、未経験分野の業務を含むため、選考ハードルは非常に高く内定を勝ち取るのは容易ではない。

FAS型

財務リストラ支援や再生計画・事業計画の立案などを財務面からの企業再生をメインとするファームであり、主に公認会計士や監査法人、大手金融機関出身者などで構成される。BIG4監査法人系列のFAS(ターンアラウンド部門やリストラクチャリング部門)が主なプレーヤーであり、独立系や中堅の会計ファームなどにもプレーヤーは少なくない。また、公認会計士業界では、2~3名の少人数のファームでもFAS型の再生業務に取り組んでいるところも見受けられる。いずれのファームも主に公認会計士で構成されるため、企業再生の分野では公認会計士が最も転職しやすいフィールド。

法律支援型

法律事務所など法律面からの支援をメインとするファーム。主に弁護士が活躍するフィールドであるため、公認会計士の転職先としての可能性はほとんどない。

財務支援型

資金繰りや財務体質の改善、事業計画の策定、金融機関との交渉支援をメインとし、銀行出身者などで構成されるファーム。資金繰りに苦しむ中小企業をターゲットとすることが多く、財務リストラ、キャッシュフローの黒字化などを行う。銀行出身者や中小企業診断士で構成されるコンサルティングファームや会計事務所や税理士事務所でも税務サービスと並行して同様のサービスを行っているところもある。中小企業の経営支援に憧れる公認会計士も多いが、経営難の中小企業を支援する形態から、クライアントに対するフィーも低く、年収水準の高い公認会計士は採用対象となりにくいことが多いのが実情。

企業再生コンサルティングファームの年収

総合型

各ファームやポジションによって異なるが、BIG4監査法人の監査職より100万円~200万円高い水準にある。管理職(マネージャー)以上になると、200万円~300万円高いケースも見受けられる。但し、監査法人出身者の場合、業界未経験のため監査法人での職位よりダウンして採用されることが多く、年収は現状維持かダウンとなる傾向にある。また、一般的に激務であるため、年収が監査法人と同等もしくはアップしても、時間当たりの給与は下がっていることも少なくない。

FAS型

平均するとBIG4監査法人の監査職より100万円~200万円高い水準にある。(年収は残業量や賞与等によっても異なるが、おしなべて監査法人より高い傾向にはある。)また、公認会計士を中心とする中小・独立系FASでの年収は、BIG4監査法人の監査職と同等程度の水準にある。

財務支援型

年収400万円~600万円程度が基本。若手ジュニア層(20代半ば、経験3年程度)で400万円~400万円代後半程度、シニア層(30歳前後、経験5年程度)で500万円~600万円程度が目安。

企業再生コンサルティングファームでのキャリアの特徴

  • 総合型の場合、財務分野以外に経営管理、戦略、マーケティングなど経営全般にまたがる幅広い分野での経験を積むことができる。将来のキャリアとしては、経営コンサルタント、投資ファンド、事業会社(CEO、CFO、ボードメンバー、経営企画、財務など)が想定される。
  • FAS型の場合、デューデリジェンスやバリュエーション、事業計画立案などファイナンス分野を中心とした経験を積むことができる。将来のキャリアとしては、FAS、投資ファンド、事業会社(CFO、財務、経営企画など)が想定される。
  • 企業再生では地方企業の再生業務も多いため、地方での常駐や出張をこなす必要もある。
  • 企業再生では経営状態の悪化した企業を支援するため、経営環境の劣悪な企業や社内風土が混とんとした企業をターゲットとするようなシビアな環境での勤務にも耐えうるメンタリティが必要とされる。
  • 企業再生分野に転職する場合、企業再生未経験者の場合、30歳くらいまでひとつの目安である。FAS経験者なら30代前半~35歳くらいまでが目安である。
  • 総合型の再生コンサルティングファームは、監査法人や会計ファームと比較して、厳しい風土であることが多い。特に、戦略やマーケティング、法務、経営管理などファイナンス分野以外の知識・見識も要求されるため、公認会計士の場合、いかに幅広い視野や見識を有し、それらに適用できる柔軟さを持っているかが重要とされる。また、監査法人やFASの場合と異なり、管理職以上の場合、プロジェクトマネジメントや部下のマネジメントスキルをしっかりと身に付けることが求められる。

企業再生コンサルティングファームへの転職サポート

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企業再生関連のおすすめ書籍

企業再生コンサルティングファームでの業務や仕事内容を学ぶには下記の書籍が参考になります。

企業再生の専門知識を学ぶ

企業再生分野では、経営、財務、会計、税務、法務、人事、マーケティングなど多岐にわたる知識が必要とされます。企業再生の中でも自らが目標とする分野を明確にし、必要な知識を身に付けることが重要です。

産業再生機構 事業再生の実践〈第1巻〉~〈第3巻〉 -特にオススメ!

産業再生機構が手がけた案件などもケースとして取り上げつつ、企業再生のノウハウをまとめた専門書。圧倒的なボリュームと専門性を誇る企業再生に関する名著。

企業再生関連の実務書

企業再生の現場を学ぶ

企業再生に限らず、自らが志望する業界の現場がどのようなところなのかを予め学んでおくことは重要です。特に、専門書で学べる知識と現場の勘所が異なることは多く、実務においてはそこをいかに短期でキャッチアップできるかがスキルアップのポイントとなります。以下の書籍では小説・物語形式で企業再生の現場を理解することができます。

ステークホルダー -小説 事業再生への途 -特にオススメ!

米国の企業再生コンサルティングファームを舞台にしたビジネス小説。PARTⅠでは、ターンアラウンドの現場だけでなく米国流の企業再生手法がリアルに学べる。

企業再生関連の事例集・小説

企業再生の心構えを学ぶ

企業再生の現場は想像以上に過酷であり、修羅場の連続です。以下の書籍では企業再生ビジネスに取り組むにあたっての心構えを学ぶことができます。

会社は頭から腐る -特にオススメ!

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