フォレンジック・リスクアドバイザリーへの転職 -公認会計士の転職ナレッジ



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リスクアドバイザリーサービスは、「エンタープライズリスクサービス(ERS)」「フォレンジック」と呼ばれるリスク管理・コンプライアンス・内部監査・不正調査等に関するアドバイザリーサービスです。

主にBIG4監査法人やBIG4 FASによって提供されるサービスであり、会計業界では一般的なサービスとなりつつありますが、公認会計士の間ではリスクアドバイザリーやフォレンジックキャリアの認知度はそれほど高くなく、あまり人気の高い分野でもありません。

一方で、マーケットとしてはこれからの拡大も期待でき、ライバルも少ないため、キャリアの積み方によっては一般的な公認会計士と差別化を図ることのできる魅力のある職種でもあります。

リスクアドバイザリー・フォレンジックへの転職の傾向

リスクアドバイザリー・フォレンジックマーケットの現状

  • リスクアドバイザリーサービスは、リスク&コンプライアンス、内部監査、内部統制、不正調査と言った分野であるが、日本での認知度はまだあまり高くない。また、公認会計士は会計(会計監査や会計系アドバイザリー)やファイナンス(FAS、コーポレートファイナンス)を主体とするキャリアを好む傾向があるため、リスクアドバイザリーのキャリアは公認会計士の間ではそれほど人気の高い分野でもない。
  • 一方で、欧米では認知度も高く企業経営においても重要視される分野として一定の地位を確立している。日本は欧米と比較するとリスクアドバイザリー後進国と言われる(一説によると20年遅れているとも言われる)が、日本でも欧米流のコンプライアンスが徐々に一般的になっていく社会的傾向から、今後のマーケットの拡大は期待できる分野だと言える。また、日本企業の海外旬出が進んでいる現状からも、海外子会社のコンプライアンス管理や不正対策などのニーズも増加している。

リスクアドバイザリー・フォレンジックのプレーヤー

  • リスクアドバイザリーサービスは公認会計士でなくとも活躍できる分野であり、公認内部監査人(CIA)や公認不正検査士(CFE)、米国公認会計士(USCPA)などで活躍している人材も多い。
  • リスクアドバイザリーサービスは主にBIG4監査法人や併設のアドバイザリーファーム(BIG4 FAS)に見られるサービスである。
  • 監査法人系以外には、外資系ファームや独立系ファームのリスクアドバイザリーファームも一部あるが、ニッチな分野ではあるため、ファーム数は少ない。また、BIG4ファーム以外の求人も多くない。
  • 公認会計士がリスクアドバイザリー分野に転職する場合、最も簡単な方法としては、監査法人内の該当部門に異動することである。
  • リスクアドバイザリーサービスに異動または転職する場合、公認内部監査人(CIA)、公認情報システム監査人(CISA)、公認不正検査士(CFE)などの資格を取得していると有利である。
  • グローバル企業のコンプライアンス意識の高まり、日系企業の海外進出の増加などから、リスクアドバイザリーサービス分野でもグローバル企業(海外子会社のコンプライアンス管理や不正調査対応)を対象とした案件は増加傾向にある。そのため、英語力が高いほど転職には有利になる。

リスクアドバイザリー・フォレンジックの年収

  • BIG4監査法人やBIG4 FASのリスクアドバイザリー・フォレンジック部門であれば、監査部門とほぼ同等の年収水準であることが多い。(ただし、部門の残業量や業績で差は付く。)
  • 外資系のリスクアドバイザリーファームであれば、監査法人系とほぼ同等かやや低くなる傾向にある。
  • 独立系のリスクアドバイザリーファームであれば、ファームによって年収は異なるが、監査法人系よりやや低くなる傾向にある。

リスクアドバイザリー・フォレンジック業界でのキャリアの特徴

  • リスクアドバイザリー分野の業務は、内部監査や内部統制、コンプライアンス管理など日々のコンプライアンス管理やリスク管理に関するアドバイザリーをメインとする「エンタープライズリスクサービス(ERS/リスク&コンプライアンス)」と、不正調査など事件・事故への対応をメインとする「フォレンジック」に分類される。また、それぞれの分野にはIT分野を専門とする分野(ITアドバイザリーやデジタルフォレンジックなど)もある。
  • 一般的に、BIG4ファームでは、エンタープライズリスクサービス系のサービスは監査法人が担い、フォレンジック系のサービスはFASが担う傾向にある。
  • リスクアドバイザリーやフォレンジックといった分野は、現状ではプレーヤーが少ない分野であるため、同業間での転職はしやすい傾向にある。(ただし、転職先となる同業も多くなく、転職先も限られるのははやや懸念点である。)
  • また、同分野はプレーヤーが多くないため、多数の公認会計士が活躍する他分野と比較すると実績を出したり、昇格をしやすい分野ではある。
  • リスクアドバイザリーサービスの中でもエンタープライズリスクサービス分野でキャリアを積むと、内部監査や内部統制、コンプライアンスなどの分野に転職しやすくなる。
  • 特に、リスクアドバイザリーサービスの経験に加えて、公認内部監査人(CIA)などの資格、および英語力があると、大手外資系企業の内部監査、リスク管理関連のポジションへの転職が可能となり、グローバルに活躍できる可能性も出てくる。(なお、グローバルな外資系企業では、日本企業とは異なり、内部監査は花型部門であるのが一般的である。)
  • リスクアドバイザリーサービスは、リスク&コンプライアンス、フォレンジック、内部監査、内部統制と言った分野であるため、同分野で長く(目安として3~5年以上の)キャリアを積むと、会計監査や会計アドバイザリーの分野にはやや戻りにくくなる。

リスクアドバイザリー・フォレンジック業界で活躍する公認会計士の記事を読む

公認会計士ナビでは、リスクアドバイザリー・フォレンジック業界を始めとした様々なフィールドで活躍する公認会計士の記事をまとめてあります。

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リスクアドバイザリー・フォレンジックへの転職サポート

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リスクアドバイザリー・フォレンジック関連のおすすめ書籍

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【手塚佳彦/公認会計士ナビ編集長・株式会社ワイズアライアンス代表取締役CEO】 神戸大学卒業後、会計・税務・ファイナンス分野に特化した転職エージェントにて約10年勤務。東京、大阪、名古屋の3拠点にて人材紹介・転職支援、支社起ち上げ、事業企画等に従事。その後、グローバルネットワークに加盟するアドバイザリーファームにてWEB事業開発、採用・人材戦略を担当するなど、会計・税務・ファイナンス業界に精通。また、株式会社MisocaのアドバイザーとしてMisoca経営陣を創業期から支え、弥生へのEXITを支援するなどスタートアップ業界にも造詣が深い。 2013年10月、株式会社ワイズアライアンス設立、代表取締役CEO(Chief Executive Officer)就任、公認会計士ナビ編集長。

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