2022年4月の会計士業界ニュースをお届けします。
「四半期報告書廃止の方針」「税務情報開示体制の拡充が急務」の2本です。
四半期報告書廃止の方針
岸田文雄首相が、2021年10月8日の所信表明演説で言及したことが発端となり、大きな話題になった「四半期開示」の見直し。これを受けて、日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者は、四半期開示の義務が無くなっても上場企業の大半は任意で開示するだろうとの見解を示し、四半期開示存続について議論が続けられてきました。
そして今回、四半期報告書廃止に関する記事が、日本経済新聞からリリースされました。
金融庁は18日、金融審議会の作業部会を開き、上場企業が開示する2種類の決算書類を一本化することを了承した。
【引用元:企業の四半期開示、短信一本化で決着 海外投資家に配慮(日本経済新聞 2022年4月18日付)】
記事によると、上場企業に開示を義務付けている四半期報告書は廃止し、決算短信の内容を充実したうえで一本化する方針だと伝えられています。
四半期開示の見直しに関する、金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループの事務局説明資料及び事務局参考資料は、こちらをご参照ください。
決算短信の記載内容をどこまで充実させるのか、また監査法人のレビューの有無についてもまだ議論は続きそうです。
税務情報開示体制の拡充急務
四半期報告書が廃止される一方で、新たに情報開示する項目も増えています。
今回、税務開示に関する記事が、日本経済新聞からリリースされています。
「企業の税務戦略や納税情報の任意開示が、世界標準となりつつあることを認識すべき時代だ」。EY税理士法人の関谷浩一パートナーはこう語る。
【引用元:税務情報開示、世界標準に EY税理士法人 関谷浩一氏(日本経済新聞 2022年4月18日付)】
記事によると、ESGの観点から欧州企業などが先行して積極的な開示を始めており、一部の日本企業も納税額を開示し始めていると伝えられています。また、EY税理士法人の関谷浩一パートナーは、数字を開示するだけではなく、「事業内容や商流、優遇税制の適用の有無なども丁寧に説明する必要がある」とコメントしています。
税の透明性はESD情報の重要な開示事項のひとつとして、積極的な情報開示が求められることになりそうです。
以上、今月の業界ニュースでした。
なお、今回、取り上げた記事はこちらの2本です。詳細は以下の記事をご参照ください。
今回取り上げたニュース
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)