中小に監査法人登録制を検討、東芝経営陣らの刑事責任問わず時効、税理士自主廃業による懲戒逃れ防止で制度改正検討など全3件:今月の会計士業界ニュース(2021年11月その1)



公認会計士業界時事ニュース

2021年11月の会計士業界ニュースをお届けします。

「中小に監査法人登録制を検討」「東芝経営陣らの刑事責任問わず時効」「税理士自主廃業による懲戒逃れ防止で制度改正検討」の3本です。

中小に監査法人登録制を検討

大手監査法人から中小監査法人へと交代が加速する中、中小監査法人の監査品質向上を目的として、有識者会議が開かれています。

今回、中小監査法人の監視強化策として監査法人登録制に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

金融庁は4日、上場企業の会計監査を担う監査法人に法的効力を持つ登録制度の導入を検討すると表明した。

引用元:監査法人登録制、金融庁が検討 中小の監視強化(日本経済新聞 2021年11月5日付)

記事によると、中小監査法人が企業のグローバル化に対応した監査の質を保てていないとの指摘を受けて、有識者会議の報告書案に、金融庁による監視強化策として監査法人登録制の導入が盛り込まれたと伝えられています。

中小監査法人が現状より品質を上げようとすれば、当然ながら費用も増加し監査報酬にも影響を与えかねません。将来的には、監査報酬の安さのみを理由とした監査人の交代は、難しくなるかもしれません。

詳細は以下の記事をご参照ください。

東芝経営陣らの刑事責任問わず時効

2015年2月の証券取引等委員会の調査で不正会計問題が発覚した東芝ですが、当時の経営陣は刑事告発されることなく、時効を迎えました。

東芝の不正会計時効に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

金融商品取引法などが定める時効は7年。立件が検討された最後の期の14年3月期の有報提出(14年6月末)から7年が経過し、時効が完成したとみられる。

引用元:東芝の不正会計が時効 刑事責任問えず、経営難にも影響(日本経済新聞 2021年11月8日付)

記事によると、会社ぐるみで利益かさ上げを行っていた実態はあったものの、経営陣からは過度の収益改善の圧力だけで具体的な手法についての指示がなかったため、刑事責任を問うために必要な経営者の故意が認定できなかったと伝えられています。

刑事告訴されなかったことで、東芝はイメージを刷新する機会を失ってしまったのではないでしょうか。

詳細は以下の記事をご参照ください。

税理士自主廃業による懲戒逃れ防止で制度改正検討

今年9月にも、国税当局の調査中に、国税OB税理士が廃業して懲戒処分逃れを行った記事が大きく取り上げられていましたが、過去にも同様のケースが起きており、処分逃れのために廃業する税理士が後を絶ちません。

今回、讀賣新聞オンラインでは、税理士の自主廃業による懲戒処分逃れの現状と、業務禁止処分を受けた税理士へのインタビュー記事を、2本続けてリリースしています。

脱税などに関与した疑いで国税当局の調査を受けている税理士が調査中に自主廃業し、懲戒処分を免れたとみられるケースが、過去約10年間に全国で50人を超えることが関係者の話でわかった。

引用元:脱税関与疑いで調査中に自主廃業、税理士50人超が「懲戒逃れ」か…数年で復帰し業務再開も(讀賣新聞オンライン 2021年11月8日付)

まず、自主廃業による懲戒処分逃れの現状に関する記事では、現行の税理士法の懲戒処分の定めや、自主廃業による処分逃れの実態、再登録後は時間の経過で不正の裏付けが難しくなることなどを指摘し、今後の税制改正で議論されるとみられると伝えています。 

男性は、消費税約2000万円の納税を免れたとして滋賀県の人材派遣会社が2017年に脱税容疑で大阪国税局に告発された事件に関与し、国税当局の調査を受けた。

引用元:「逃げ得」税理士の自主廃業、制度に不備…懲戒処分受けたのは指示された元部下(讀賣新聞オンライン 2021年11月8日付)

2本目のインタビュー記事では、元上司である所長は税理士を自主廃業して懲戒処分を受けなかった一方で、自身は過ちを認めて周囲に謝罪したかったという理由で自主廃業せずに業務禁止処分を受けた税理士の告白が掲載されています。

また、同記事では、元上司は公認会計士でもあり、税理士登録を自主廃業することによって、公認会計士法による処分も逃れる二重の懲戒逃れの可能性にも言及しています。

法制度の不備を解消して、受けるべき罰は受けるという当たり前の仕組みが作られなければなりません。

詳細は以下の記事をご参照ください。

    (著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧



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    【大津留ぐみ:公認会計士・税理士/会計士・税理士専門ライター】 大学在学時にシェイクスピアを学んだことをきっかけに劇作家を目指すも挫折。編集プロダクションで編集やライティング業務に従事した後、公認会計士試験にチャレンジし合格。大手監査法人の東京事務所にて監査業務、財務デューデリジェンスなどに従事。 その後、フリーランスの公認会計士として非常勤監査、税理士法人の社員税理士として税務業務に従事しつつ、大津留ぐみのペンネームでライターとしての執筆活動にも従事。ライターとして、お金、社会保障、会計、税務などに関する記事を執筆。また、2児の母となったことをきっかけに、子どもの貧困や教育格差、子どものイジメに関する記事なども執筆。現在は、株式会社ワイズアライアンスの専属ライターとして会計・税務の記事を執筆しつつ、会計事務所にて内部統制業務にも従事するパラレルワーカー。公認会計士・税理士。

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