本日、令和3年11月19日(金)、令和3年(2021年)の公認会計士試験の合格者が発表されました。
合格者の皆様、おめでとうございます!
また、今年惜しくも合格とならなかった皆様に関しましては、次回きっと良い結果となりますよう祈っております。
※写真は今朝の金融庁前。例年であれば合格発表の掲示で受験者や専門学校関係者で賑わいますが、コロナ禍のため昨年に続き今年も掲示はなし。今後、掲示は戻ってくるのでしょうか?
さて、それでは本題に移りましょう。今年度の合格者に関する概要は下記の通りです。
令和3年公認会計士試験 合格者の概要
【願書提出者数】 14,192名(昨年の13,231名から961名の増加)
【合格者数】1,360名(昨年の1,335名から25名の増加)
【合格率】 9.6%(昨年の10.1%から0.5%減少)
【合格者最高年齢】60歳
【合格者最低年齢】19歳
【合格者の平均年齢】 24.5歳
【合格者性別】男性1,063名、女性297名(合格者の女性比率21.8%)
●30歳未満(20代・10代)の合格者比率:86.9%
●大学(および短大)在学中の合格者比率:44.4%
合格者数と合格率
合格者数は1,360名!合格率は9%台へ低下
本年の公認会計士試験(論文式)における合格者数は1,360名となりました。また、合格率は9.6%でした。
この結果は、昨年と比較すると、合格者数は25名の増加となり、合格率は0.5%の低下となっています。
合格者数に関しては、平成27年(2015年)に1,051名で底を打って以来、徐々に増加し、近年は1,300名台で推移しています。
また、合格率はここ7年は10~11%で安定的に推移していたものの、今年は昨年の10.1%より0.5%のダウンし9%台となり、4年連続で低下する結果となっています。
【図1:直近19年間の合格者数と合格率】
願書提出者数
会計士人気も回復!?願書提出者数も順調に増加!
本年の願書提出者の総数は14,192名でした。
これは昨年の13,231名と比較すると961名の増加であり、6年連続の増加となります。
減少トレンドにあった願書提出者数も6年連続で増加し、一時期低迷していた会計士人気も再び高まりつつあると言って良いでしょう。
【図2:直近19年間の公認会計士試験 願書提出者数の推移】
合格率と平均年齢
合格者の平均年齢は24.5歳!学生合格者の増加と下がる平均年齢
一時期難化していた公認会計士試験の合格率ですが、前述の通り、ここ数年は10%前後で安定的に推移するようになりました。
また、本年の合格者は、86.9%が30歳未満での合格、平均年齢が24.5歳、大学在学中の合格者の比率が44.4%ということで、ここ数年、若い年齢の合格者比率が高くなっています。
特に合格者の平均年齢は、一昨年の25.2歳から昨年は25.5歳、本年は24.5歳と25歳を切っており、また、合格者の半分近い44.4%が大学(および短大)在学中での合格でもあり、若い年齢での合格者も珍しくない状況になりつつあります。
本年と昨年の比較
- 合格者の平均年齢:24.5歳 → 昨年度は25.5歳(一昨年度は25.2歳)
- 合格者最高年齢:60歳 → 昨年度は61歳
- 合格者最低年齢:19歳 →昨年度は18歳
- 30歳未満の合格者比率:86.9% →昨年度は82.8%(一昨年は82.3%)
- 大学(および短大)在学中の合格者比率:44.4% →昨年度は41.6%(一昨年は39.6%)
ここ数年、若手の合格者が増加したことによって、若い会計士の活躍や露出も増え、公認会計士という存在が若者へより身近になるという好循環ができつつあるかもしれません。
また、公認会計士試験は合格できなかった場合のリスクがありますが、大学在学中など早いタイミングからチャレンジしていれば、合格できなかった場合にも早期に軌道修正を行うことができるため、受験者側のリスク低減につながる側面もあるかと思います。
そういった点からも合格者の平均年齢が下がることによって、若者が魅力を感じる資格、若者がチャレンジしやすい資格とのイメージがより強くなり、会計士試験のさらなる人気上昇につながっていくかもしれません。
試験合格者に占める女性人数・比率
女性合格者数は今年は297名、女性比率は21.8%と昨年より低下
試験合格者に占める女性人数と女性比率の推移は以下の通りです。
今年は、女性297名が合格、女性比率21.8%となりました。
長期トレンドでは、合格者に占める女性比率は10%台後半で推移し、昨年は24.6%と合格者全体の約4分の1まで増加しましたが、今年は昨年から2.8%低下し、21.8%となっています。
また、女性合格者数に関しては、今年は297名と300名を切る結果となりました。合格者の総数が3,000名を超え、女性も600~700名が合格していた時期と比較すると合格者数ではまだまだ見劣りはしますが、近年は、300名前後は安定的に輩出される状況となっています。
近年は、監査法人での働き方改革の推進など、女性も勤務しやすい環境が以前よりもさらに整ってきています。残念ながら今年の女性合格者数は減少となりましたが、今後、女性の受験者や合格者がさらに増えていくことが期待されます。
【図3:直近16年間の合格者に占める女性人数と女性比率の推移】
監査法人の採用・合格者の就職活動
コロナ禍2年目でも会計業界は人不足。監査法人就活は合格者優位!?
会計士試験に合格された方々は次は就職が気になるところかと思います。
本年も監査法人業界では引き続き人手不足の状況が続いているため、今年も合格者(就職希望者)優位の売り手市場になると予想されます。
特に、準大手や中小監査法人では、大手から流れてきたクライアントとの契約に伴う監査契約の増加、そして、業界全体の会計士不足によって中途採用にも苦戦しているため、人手へのニーズは顕著です。
また、本年はコロナ禍も2年目になりますが、監査法人側もリモートでの定期採用や新人の受入れなどを既にひと通り経験していることから、各監査法人の採用活動や育成も例年通り行われる傾向にあります。
受験生の皆さんの中には、昨年から続くコロナ禍で、試験やその後の就職活動への不安を抱えておられた方々もおられるかもしれませんが、就職活動に関しては、良い環境であると言えるでしょう。
コロナ禍によって在宅勤務やリモート監査も広がるなど公認会計士の働き方も大きく変化しましたが、ワクチン接種が進み、治療薬の開発にも進展が見られるなど、コロナ禍も徐々に終わりが近づきつつあります。
本年の合格者の皆様に関しましては、ポストコロナの会計業界を担う新しい世代として、充実した会計士キャリアを歩んで頂ければと思います。
※本文中のデータは金融庁の「令和3年公認会計士試験 合格者調」「令和3年公認会計士試験の合格発表の概要について」を参考に作成。
※願書提出者数、合格者数、合格率等、本文中の数字は短答式試験みなし合格者、旧第2次試験合格者を含んだ数字で算出しています。