12月~1月の監査法人関連ニュース(業務増加で会計士の監査法人離れ進む、IPO監査難民増に金融庁が歯止め策、監査法人ローテーション制度実施は時期尚早):今月の会計士業界ニュース(2020年1月その1)



2019年12月から2020年1月にかけての監査法人関連ニュースをまとめました。

2019年12月7日、11日、2020年1月15日にリリースされた「業務量増大で監査法人離れ進む」「IPO監査難民増加に金融庁が歯止め策」「監査法人ローテーション制度、実施は時期尚早」の3件のニュースをご紹介します。

業務量増大で監査法人離れ進む

会計士試験の願書提出者数は4年連続で増加し続けており、徐々に人気が回復しています。一方で、合格後に働く監査業界はどのような状況になっているのでしょうか。

今回、監査法人が深刻な人手不足に直面しているという記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

企業会計に目を光らせ「市場の番人」と呼ばれる監査法人が深刻な人手不足に直面している。東芝の不正会計をきっかけに監査徹底を求められ、現場の業務量が増大。厳しい労働環境に嫌気が差し監査法人を辞める若手会計士が相次いでいる。

引用元:監査法人、人手不足が深刻 東芝不正会計後に業務増大(日本経済新聞 2019年12月7日付)

記事によると、公認会計士のうち監査法人に所属しているのは45%で、東芝の不正会計発覚前の2014年から6ポイント減少しているそうです。また、ある監査法人幹部は、大手企業の監査にかける時間は以前より3割ほど増えたコメントしています。

監査業界が働きやすい環境にならなければ、せっかく回復した会計士試験の人気にも水を差すことになりかねません。会計監査を持続させるためにも、監査法人と報酬を支払う側の上場企業が協力し合い、監査業界の労働環境を改善することが求められているのではないでしょうか。記事では詳細が述べられていますので、ご参照ください。

IPO監査難民増加に金融庁が歯止め策

監査業界が人手不足で厳しい状況にあるという記事をお伝えしましたが、会計士不足になれば、監査を引き受けられるクライアント数にも影響が生じます。

今回、金融庁がIPOを目指す企業が会計監査を受けられるよう動き出した件に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

金融庁は中小監査法人の育成などベンチャー企業が会計監査を受けやすい環境を整備する。新規株式公開(IPO)を目指す企業は増えているが、上場直後の不祥事発覚が相次ぎ、監査が厳格化。大手監査法人の人手不足もあって上場に必要な会計監査が受けられない企業が増えている。

引用元:上場会計監査受けやすく 厳格化で滞り…金融庁が対策(日本経済新聞 2019年12月11日付)

記事によると、金融庁は、IPO監査を準大手や中小監査法人が引受られるよう、大手監査法人OBの人材データベースを構築したり、地方の拠点整備を行ったり、仕組み作りに乗り出すそうです。

監査法人を辞めて独立したけど、個人になっても監査は続けたい、でも非常勤はやりたくないという会計士の方もいらっしゃると思います。IPO企業、金融市場そして独立会計士の皆さんにとって、メリットのある制度設計を期待します。記事では詳細が述べられていますので、ご参照ください。

監査法人ローテーション制度実施は時期尚早

会計監査の信頼性を確保する手段として、2016年から監査報告書の透明化と監査法人ローテーション制度が議論されてきました。2018年から監査報告書の記載様式や内容が大きく改正されて、次は監査法人ローテーション制度というタイミングで、待ったがかかりました。

今回、監査法人ローテーション制度見送りに関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

金融庁は、企業の会計不祥事を防ぐ監査改革の検討課題としてきた監査法人の「ローテーション制度(交代制)」の導入を見送る方針を固めた。一定期間ごとに監査法人の交代を義務付けることで企業とのなれ合いを防ぐ効果を期待されたが、負担増となる企業側の反対が強く、実施は時期尚早と判断した。

引用元:監査法人の交代制見送り 金融庁方針 企業側、負担増に反発(日本経済新聞 2020年1月15日付)

記事によると、金融庁が国内企業や監査法人を対象に行った聞き取り調査によると、監査品質の低下を懸念する意見が根強く、経団連も手間やコストの面で導入は難しいと訴えており、監査法人ローテーション制度導入が見送られることになったようです。

不適切会計事件が起きた当初は、かなり危機感を持って監査法人ローテーション制度導入について議論されていましたが、実現に至りませんでした。記事では詳細が述べられていますので、ご参照ください。

(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧



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【大津留ぐみ:公認会計士・税理士/会計士・税理士専門ライター】 大学在学時にシェイクスピアを学んだことをきっかけに劇作家を目指すも挫折。編集プロダクションで編集やライティング業務に従事した後、公認会計士試験にチャレンジし合格。大手監査法人の東京事務所にて監査業務、財務デューデリジェンスなどに従事。 その後、フリーランスの公認会計士として非常勤監査、税理士法人の社員税理士として税務業務に従事しつつ、大津留ぐみのペンネームでライターとしての執筆活動にも従事。ライターとして、お金、社会保障、会計、税務などに関する記事を執筆。また、2児の母となったことをきっかけに、子どもの貧困や教育格差、子どものイジメに関する記事なども執筆。現在は、株式会社ワイズアライアンスの専属ライターとして会計・税務の記事を執筆しつつ、会計事務所にて内部統制業務にも従事するパラレルワーカー。公認会計士・税理士。

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