米PwCインドで監査禁止、企業内会計士増加、公認会計士試験合格者数慶応が43年連続1位…など3件:今月の会計士業界ニュース(2018年1月その4)



2018年1月13日から1月18日にかけて、米PwC監査禁止、企業内会計士増加、公認会計士試験合格者数慶応が43年連続1位などに関する複数のニュースがリリースされています。

粉飾決算の見逃しを理由に米PwCの監査禁止をインド証券取引委員会が決定、企業内会計士が増加している会計士の転職事情、大学別合格者数と43年連続公認会計士試験合格者数1位の慶応のサポート体制に関する記事など幅広くご紹介します。

米PwCが2年間の監査禁止で日経企業への影響は

米PwCが粉飾決算を見逃したことで、2年間の監査禁止をインド証券取引委員会が決定しました。これに関する記事を日本経済新聞がリリースしています。

インド証券取引委員会(SEBI)は米大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)に対し、2020年1月までの2年間、上場企業の監査を禁止した。03~08年に起きた同国IT(情報技術)サービス大手による巨額の粉飾決算事件を巡り、PwCが不正を見抜けなかったため。

引用元:米PwC、2年間の監査禁止 粉飾事件巡りインド証取委(日本経済新聞 2018年1月13日付)

記事によれば、旧サティヤム・コンピュータ・サービシズ(現テック・マヒンドラ)の粉飾は約1,245億円にのぼり、数年にわたり収益を水増ししてきたそうです。一方、PwCの監査禁止による日系企業への影響は限定的と報じられています。

それにしても、インド証券取引委員会の決定は厳しいと感じませんか?同じく巨額粉飾決算を見逃した監査法人への金融庁の対応を思い出すと、厳格さが一層際立ちます。監査法人への批判が高まる中、投資家から支持される監査法人になるためには、どれほどの覚悟を持って監査に臨むべきなのでしょうか。その答えを他国の市場が教えてくれている気がします。

会計士の転職事情に変化。企業内会計士が増加

上場企業などで働く企業内会計士が、この5年間で3倍に増えているそうです。企業内会計士や転職エージェント代表に転職事情を取材した記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

公認会計士の資格を持ちながら監査法人ではなく上場企業などで働く「企業内会計士」が増えている。この5年間で3倍に増えた。企業の会計不祥事などを受けて監査法人への視線が厳しくなる中、幅広いキャリアを求めて勤務歴が10年未満の若手が転職するケースが目立っている。こうした会計人材の流動化が、市場の規律強化につながるとの指摘もある。

引用元:増える「企業内会計士」 監査法人から年500人転職(日本経済新聞 2018年1月18日付)

監査法人トーマツからファーストリテイリングに転職した公認会計士の方への取材では、監査業務で培った全体を見渡す力が生かされており、ファストリは海外法人CFOなどの人材確保のため会計士の採用を強化しているそうです。また、以前、ホットランドのIPOの記事で公認会計士ナビにも登場頂いた土谷祐三郎氏の名前も挙がっています。

上場企業などへの転職環境が良好となれば、監査法人からの会計士離れがさらに加速していきそうです。監査法人は魅力を感じてもらえるような改革が急務です。

会計士合格者数。慶応が43年連続1位

平成29年度の公認会計士試験大学別合格者数に関する記事が、ReseMomよりリリースされています。

慶應義塾大学は平成30年1月12日、平成29年の公認会計士試験の大学別合格者数で43年連続の1位となったことを発表。合格者数157人と、昭和50年から続いてきた合格者数首位の記録を伸ばした。早稲田大学は合格者数111人となり、5年ぶりに100人以上の合格者を輩出した。

引用元:H29年公認会計士の大学別合格者数、慶應が43年連続1位(ReseMom 2018年1月16日付)

記事では、43年間最多合格者を輩出している慶應義塾大学の体制にも言及しています。慶應では昭和55年に公認会計士など資格取得を目指す学生の会計研究室を設置しており、商学部以外の塾生にも広くサポートを行っているそうです。

監査法人で特に学閥を感じたことはありませんが、母校から多数の合格者が出ていれば嬉しいですよね。来年こそ慶應の44連勝を阻止する大学は現れるのでしょうか。そしてそれは皆さんの母校なのか乞うご期待ください。

(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧





この記事の著者

大津留 ぐみ

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【大津留ぐみ:公認会計士・税理士/会計士・税理士専門ライター】 大学在学時にシェイクスピアを学んだことをきっかけに劇作家を目指すも挫折。編集プロダクションで編集やライティング業務に従事した後、公認会計士試験にチャレンジし合格。大手監査法人の東京事務所にて監査業務、財務デューデリジェンスなどに従事。 その後、フリーランスの公認会計士として非常勤監査、税理士法人の社員税理士として税務業務に従事しつつ、大津留ぐみのペンネームでライターとしての執筆活動にも従事。ライターとして、お金、社会保障、会計、税務などに関する記事を執筆。また、2児の母となったことをきっかけに、子どもの貧困や教育格差、子どものイジメに関する記事なども執筆。現在は、株式会社ワイズアライアンスの専属ライターとして会計・税務の記事を執筆しつつ、会計事務所にて内部統制業務にも従事するパラレルワーカー。公認会計士・税理士。

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