【第9回】公認会計士の転職に必要な英語力はどれくらいか?:会計士のキャリア小六法

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「会計士のキャリア小六法」では、「会計士のキャリア形成についての考え方のポイント」をミニコラム形式でみなさんにわかりやすくお伝えしていきます。

第9回は「公認会計士の転職に必要な英語力はどれくらいか?」です。

前回のキャリア小六法では、公認会計士はTOEICを何点とればいいのか?と題して、公認会計士のキャリアアップに必要なTOEICの点数について解説しました。

しかしながら、転職においては英語力は『TOEICのスコア』だけでなく『実務レベル』でも評価されます。転職市場ではどのような水準で英語力が求められているのでしょうか?

今回は、会計ファームや企業の中途採用で求められる英語力をレベル1から5までの5段階に分類して解説します。

英語力があまり必要とされないレベル1~2

あまり英語力を必要とされない求人についてです。ここでは2段階に分類してみます。

レベル1:TOEIC600点以上/英語に抵抗がなければOK

業務においてたまに英語を使用するケースです。経理で言えば、たまに英語の請求書があるくらいのイメージです。

こういった求人では「英語に抵抗がなければOK」と言った表現で募集され、初級レベルの英語力英語に対応する意欲があれば採用対象になります。TOEICで言うと600点程度を取得していればベターというイメージです。

レベル2:TOEIC700点以上/簡単な読み・書きが可能

業務において簡単な英文メールのやりとりや文書読解があるケースです。もしくは、将来的に英語を使用することになるので、基礎的な英語力が必要とされるケースもあります。

このレベルでは、実務での英語使用経験があればベターですが、TOEIC700点以上を取得していれば実務での英語使用経験はなくともOKな場合もあります。

監査法人に勤務している会計士の方であれば、会計用語を英単語で理解でき、テンプレートを使って簡単な英文メールが作れる程度で大丈夫です。

この【レベル1~2】においては、それほど英語力は必要とされません。監査で英語を使用している公認会計士の方でしたら、ここまでのレベルは問題なくクリアできるのではないでしょうか。

英語力を求められるレベル3以降

それでは、【レベル3】以降を見てみましょう。

キャリアアップのポイントとなるのは【レベル3】以降で、レベル3を堺に英語力が必要となります。

レベル3:TOEIC800点以上/英文書類の読解・簡単なメール作成が可能な英語力

業務において日常的に英語を使用するため、一定の英語力が必要とされるケースです。

レベル3は、会計分野ですと、主に読み書きを中心として「英語のビジネス文書の読解ができる力」(英文財務諸表や契約書など)「英文メールの作成能力」が求められます。ビジネス英会話は不要です。

大手監査法人で言うと、グローバル企業の監査など英語を頻繁に使うジョブに携わっており、かつ、TOEIC800点以上を取得している会計士であれば条件を満たしやすいと言えます。

このレベルの英語力は、「外資系企業」や日系であれば総合商社や大手メーカーのような「海外展開している大手企業」、また、大手監査法人系のFASに代表される「国際業務を扱うファーム」などで求められる傾向にあります。

そのため、【レベル3】を満たす英語力を有していると、応募できる求人数や転職エージェントから紹介される求人数も大幅に増加するなど転職のチャンスも広がります。

ビジネス英会話が必要とされるレベル4以降

そして、【レベル4】以降では、「ビジネス英会話」の要素が入ってきます。

レベル4以降でも、TOEICで800点以上のスコアを求められますが、TOEICはあくまで参考というイメージで「実務での英語利用経験」や「ビジネス英会話力」が重視され始めます。

レベル4:読み書き+社内との英会話/社内ミーティングや日常英会話が可能な英会話力

レベル4の英語力は、上司や同僚が外国人となる求人に求められることが多く、流暢でなくて構わないので、自らの意思を上司や同僚に伝えられる英会話力が求められます。

こういった求人は主に上司が外国人である外資系企業などで見られ、英語面接が行われるケースもあります。

レベル5:読み書き+社外との英会話/社外とのミーティングが可能な英会話力

社外の人たちとのミーティングがあるポジションの求人では、より上級の英語力が求められます。

経理財務などのバックオフィス職においては、社外との英語ミーティングはあまりありませんので、このレベルの英語力を求められるケースは少なめですが、外資系企業の日本法人の幹部や管理職(CFOやコントローラーなど)では、本国親会社や海外グループ会社とのミーティングがあるためこのレベルの英語力が求められることもあります。

国際案件を取り扱うFASやコンサルティングファームでも若手のうちはここまでの英語力が必須とされることはそれほど多くはありませんが、管理職以上のポジションでは海外ファームとのやりとりに対応できるよう、このレベルの英語力が求められることが多くなります。

また、会計・ファイナンス系の求人ではあまり見られませんが、外国人相手にタフな交渉を行う外資系投資銀行や外資系企業の幹部ポジションなど、高度な交渉(ハードネゴシエーション)を行うポジションではこのレベル5よりもさらに高い英語力が求められることもあります。

20代~30代前半まではポテンシャルがあればOK。年齢が上がると…

以上、5段階に分類して解説させて頂きましたが、皆さんの現在の英語力はどのレベルでしょうか?

「英語力が必要な求人」というと、【レベル4】や【レベル5】クラスの英会話のできる英語力をイメージされる方もおられるかと思いますが、若手のうちは【レベル3】くらいの英語力があれば、転職市場では十分に有利になります。

ただし、求められる英語力は年齢やキャリアによって変わってきます。

例えば、20代~30代前半の若手やスタッフ職をターゲットにした募集では、TOEICの点数が高ければ評価されますが、一方で、30代半ば以降の人材や管理職候補を求める求人では、実務での英語利用経験を求められるケースも多くなります。

そういった点からも英語を使う仕事にチャレンジするのであれば若いうちが良いと言えるでしょう。

今回は以上です。 上記を参考に英語力アップを目指してみてください。

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初稿:2013年12月19日
第2稿:2019年4月30日改訂

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この記事の著者

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【手塚佳彦/公認会計士ナビ編集長・株式会社ワイズアライアンス代表取締役CEO】 神戸大学卒業後、会計・税務・ファイナンス分野に特化した転職エージェントにて約10年勤務。東京、大阪、名古屋の3拠点にて人材紹介・転職支援、支社起ち上げ、事業企画等に従事。その後、グローバルネットワークに加盟するアドバイザリーファームにてWEB事業開発、採用・人材戦略を担当するなど、会計・税務・ファイナンス業界に精通。また、株式会社MisocaのアドバイザーとしてMisoca経営陣を創業期から支え、弥生へのEXITを支援するなどスタートアップ業界にも造詣が深い。 2013年10月、株式会社ワイズアライアンス設立、代表取締役CEO(Chief Executive Officer)就任、公認会計士ナビ編集長。

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