スタートアップ支援に強い会計士として独立!そのキャリアにはどう辿り着いたのか?:会計士・渡邉孝江が聞いてきた!Vol.1

  • 2017/1/17

みなさん、こんにちは。渡邉孝江です。公認会計士です。先日、「大手監査法人を2年半で辞めてスタートアップでの挑戦を始めた女子大生公認会計士の話」の記事で公認会計士ナビに登場させて頂きましたが、縁あってこの度、「会計士・渡邉孝江が聞いてきた!」というコーナーを始めさせて頂くことになりました。

公認会計士・渡邉孝江

渡邉 孝江(わたなべ たかえ)/公認会計士

2012年、18歳で同年度最年少として公認会計士試験合格。2013年、非常勤で監査法人トーマツ名古屋事務所に入所。財務諸表監査、IPO支援などの業務に従事。2016年、公認会計士試験修了考査合格、公認会計士登録。2016年8月より東京に移住し、クラシテク株式会社、経営企画部にてメディア・SNS運用、マーケティング、バックオフィス業務に従事。

わたなべさんアイコンこのコーナーでは、私が気になる“ユニークなキャリアを歩んでいる会計士”の方々の仕事やキャリアについてインタビューを行い、みなさんにお届けしていこうと思います!

記念すべき第1回は、スタートアップ支援に強い会計事務所であるKepple会計事務所(ケップル会計事務所、以下、Kepple)の代表を務める神先孝裕(かんざき たかひろ)さんにお話をお伺いしてきました!

Kepple会計事務所 代表 公認会計士 神先孝裕

神先 孝裕(かんざき たかひろ)

Kepple会計事務所 代表 公認会計士・税理士・行政書士

2009年、公認会計士試験合格後、あずさ監査法人に入所。国際事業部にて主に監査、IFRS導入支援に従事。
修了考査合格後、監査法人を退職し、2013年に26歳で神先公認会計士事務所(現Kepple会計事務所)を設立し独立開業。日本を代表する若手ベンチャーキャピタリストであるSkyland Venturesの木下氏との出会いなどをきっかけに、スタートアップ企業を中心としたバックオフィス支援にて事務所を拡大。設立3年で従業員6名、クライアント数100社まで事務所を成長させ、複数のスタートアップの社外取締役も務めるなどスタートアップ業界を中心に活躍中。

Kepple会計事務所:http://kepple.jp/


“スタートアップ企業の支援に強い会計事務所”といえばKeppleさん。代表の神先さんにはずっとお会いしたかったです!
今日は、神先さんに公認会計士としてのキャリアの選択や意思決定、またスタートアップ業界で活躍できる公認会計士についてお伺いしようと思います。よろしくお願いします!


同じスタートアップ業界で仕事をしていることもあって共通の知人も多いですが、やっとお会いできましたね!よろしくお願いします!

Keppleって何をやっているの?スタートアップのファイナンスや管理業務を支援


Keppleさんは、創業4年目のまだまだ新しい会計事務所ですが、クライアント数が100社と多いですよね。その中でもスタートアップ企業が多く占めていますよね。


そうですね。僕は、Skyland Venturesの木下さん*との出会いがきっかけで、スタートアップ業界に入りました。その後、木下さんなどと、互いにベンチャー企業を紹介しあったり、口コミをしていただいたりでクライアントが増えていきました。今でも月に3~4件ほど増えています。

*日本を代表するベンチャーキャピタルのひとつSkyland Venturesのファウンダー、木下慶彦氏。26歳でベンチャーキャピタルを起ち上げ、インターネットテクノロジー分野のシードスタートアップへの投資で高い存在感を誇る。


クライアントを増やすのに苦労している会計事務所も多い中、毎月純増はすごいですね!
あと、Skyland Venturesの木下さんをはじめ、多くのVCやスタートアップ企業の社長からクライアントの紹介をして頂いているなど、神先さんは業界の方々からとても親しまれていますよね。


そうですね。特別なことはしていませんが、普段から外部と連携しながらどんな依頼も引き受けることを心がけています。資金調達、登記業務、時には書類整理まで。最近のスタートアップは外国人のエンジニアを採用することもあるので、従業員のビザ取得のサポートなども行ったりしていますよ。


幅広いサポートを行っているのですね。ビザ取得のサポートしている会計事務所は初めて聞きました・・・
資金調達も支援の1つとのことで、実は私も資金調達の勉強中です。支援とは、具体的には投資契約書や事業計画の作成や、資本政策のアドバイスなどをされているのでしょうか。


それもありますし、投資家であるベンチャーキャピタル(以下「VC」)や銀行の紹介、デットやエクイティのバランスをどうするかといった資本構成や、調達スキーム設計のアドバイスをしています。

例えば最近だとスタートアップ界隈では、コンバーチブルノートや、コンバーチブルエクイティを使った資金調達がありますよね。これらを使った資金調達はスキームが難しいので、VCから依頼を受けスタートアップ企業の社長に説明しにいきますよ。

「コンバーチブルノートは、借入(債務)として計上されるので劣後ではあるが次の借入がしづらくなる可能性があり、登録免許税も新株予約権の登記になるので9万円かかる。それに対し、コンバーチブルエクイティは、普通の第三者割当の手続と同様なので手続が簡単かつ費用も安いですよ。」とか。


最近の資金調達は難しいですよね・・・・これだけ最新情報をキャッチアップしていて、資金調達に詳しい会計士はなかなかいないですね。しかも、何でも要望にこたえてくれて。スタートアップ企業のファイナンスと管理業務なら任せろ!がKeppleさんなのですね。

監査法人を3年で退職。短期間での退職に後悔はなかったのか!?


監査法人を辞めるタイミングについてお伺いしたいのですが、私は監査法人を2年半で退職し、その後すぐにスタートアップ企業に就職しました。
退職前の半年は、マネジメント経験がないまま退職して良いのか、ということでとても悩みました。

ただ、マネジメント経験は監査法人でなくてもできますし、私のやりたいことは「事業会社で経営を学ぶこと」だと気付いてから、退職への迷いがなくなりました。
神先さんは監査法人を迷わず退職できたのですか?


僕も、監査法人に3年間勤めた後、すぐに独立開業しています。
監査法人では3年目に入った頃に退職のことを考え始めましたが、退職には全く迷いがなかったですね。
親族がみな独立しているのもあって、「僕も独立しないと」と昔から思ってましたし、今すぐにでも独立したいってずっと思っていました。


確かに、両親が経営者や公認会計士として独立している会計士の方などは独立志向が高いですよね。

ただ、私の知人でいうと、すぐ退職ではなく、監査法人でできることをひと通り経験してから退職される方が多かったですね。よく「上場会社のインチャージをしてくると見えてくるものがあるよ」と上司が言ってました。
神先さんは、短い期間での退職ですが、後悔はないのですか?


全くないですね。
インチャージの経験をしたら何が変わるか明確なイメージがなかったですし、マネジメント経験がないからといって働き続けるより、今すぐに独立したいって気持ちが強かったですね。

むしろ、「退職して独立しようかな…」と迷っている場合、それは独立に向いてないってことだと思うんです。「独立しないではいられない!」くらいに思っている人の方が向いていると思いますよ。なぜなら、独立してからは立ち上げは本当に大変で、それだけ気持ちが強くないと独立には踏み切れないと思うんですよね。


独立に限らず迷いがあっては、うまくいかないですよね。私も退職時は全く迷いがありませんでした。
「したいことをする」が私のモットーなので、退職を決意してから、どれほど上司から退職を止められても、気持ちが動かなかったですね。

私の場合は、事業会社で勤務するなら監査法人で必要とされる以外の能力も多く必要となるので、早く退職して事業を経験すべきだと考えていました。
独立の場合は、最適な退職(独立)タイミングはあると思いますか?


僕は今、スタートアップ業界を主な専門としていますが、クライアントである起業家のみなさんと同世代で年齢が非常に近いというのが強みです。そのおかげで、起業家と打ち解けやすく、すごく頼りにして貰えます。

だから、独立したいと思っている人は「誰をクライアントとするか」で独立の時期を決めても良いと思います。例えば、上場企業のようなクライアントを相手にしたいなら、インチャージやマネージャーなどのマネジメント経験をしてから独立するとか良いかもしれませんね。
この業界は、「身の丈にあったサービス」をしていくのが良いと思っていて、例えば、僕も60歳とかになったら相続の案件が増えるんじゃないかなと思います。


もともとスタートアップ企業の社長の年齢層って若いですもんね。

お話を伺っていて、「身の丈にあったサービス」は、独立に限らずスタートアップ企業でも通じるお話だと思いました!
私の場合、20代女性をターゲットにしたメディアを運営していますが、非常にサービスを作りやすいです。私が「可愛い♪」と思うイラストや文字を採用すれば、高い確率でコンバージョンすることが多かったです。
なので「身の丈にあったサービス」という考え方は、これから何かに挑戦しようとする公認会計士にもスタートアップ人材にも参考になると思いました。

スタートアップの企業内会計士はもっと多くても良いと思う
-スタートアップでどう公認会計士は活躍すべきか


私は、監査法人を退職する時、「事業を作れる公認会計士になりたい!」と思い、スタートアップ企業に就職しました。
コンサルティング会社に就職し、いろいろな会社を支援するのも良いのでは?というアドバイスもありましたが、1社に100%コミットし、事業を0から100になるまで成長を見守る方が力がつくと思い今の会社にいます。

ただ、公認会計士の資格を持っていると、どうしても受け入れ側が「経理部」「管理部」を視野に入れますし、公認会計士のスキルを活かしやすいところはやはり管理系ですよね。


そうですね。公認会計士は資格があるだけで差別化できているので、それを活かして転職することは良いことだと思います。今もよくスタートアップ企業や、VCから「良い管理系人材やCFO候補いない?」って聞かれますし。もっともっと、スタートアップ業界に来る公認会計士は増えてほしいですね。


スタートアップ企業での仕事は大変ですが、私も公認会計士に増えてほしいと思っています!
私はスタートアップ業界の中でも、スタートアップ企業内の公認会計士で、神先さんはスタートアップ企業を外から支援する公認会計士で、対照的ですよね。神先さんは、どのような公認会計士が支援側に向いていると思いますか。


スタートアップ企業側も支援側も、必要な素質は変わらない気がしていて、僕はプライドを捨てられる会計士が向いていると思います。スタートアップ企業の社長の要望は、公認会計士から見ると専門外の業務も多いので「私は公認会計士だから、公認会計士の仕事以外はやりません」って思っていると、仕事にならないですから。仕事や業務の幅を割り切って仕事をしないとストレスにもなりますよね。


私もよく買い物とか、日程調整とか、たまに動画編集もしています(笑)私の場合、それが楽しいんですよね。監査法人でしたことない仕事をするとわくわくするというか。


あと、どんな時も社長をサポートする気持ちがある人でしょうか。役員が全員辞めても、社長を絶対に支え続けます!ついていけます!と思える人ですかね。


それ大事ですね~。スタートアップ企業は人の入れ替わり激しいですよね。人の縁ってはかないんだな~と思わされます。
スタートアップ企業内の公認会計士からすると「強烈なガッツ」が必要だと思っています。業務量も膨大ですし、毎日が勝負なのでスピード感も求められますし、そんなことするのですか?という業務も頼まれますし。肉体的にも精神的にもガッツが重要です。


スタートアップ企業内の公認会計士も、今後増えるといいですよね。
Keppleのように100社近くを支援する状況になると、関与できる時間に制限があるので、外からの支援だけでは限界を感じることがあります。その会社のことをよく知っている会計士が社内にいて、僕らのように他社事例を知っている会計士と協力して取り組んでいけば、もっと上手くいくスタートアップも増えると思うんですよね。


社内の公認会計士と、Keppleさんのような何でもサポートしてくれる公認会計士がタッグを組めば、スタートアップのバックオフィスは頑丈になりますね!
すでに神先さんはスタートアップ業界で引っ張りだこだとは思いますが「支援先(スタートアップ企業内)で働きたい!」と思ったことはありますか?


支援先を見ていると「この会社で働いたら自分自身も成長できそうだな!」と思うことがありますが、Keppleを辞めることはないですね。それくらいKeppleもメンバーも愛してますし、今の仕事に誇りをもってますし。僕自身もそうですが、Keppleで働くメンバーがみんなずっとKeppleにいてほしいと思っています。そのために、長く働ける環境づくりもしていくつもりです。

Kepple会計事務所

Keppleのメンバーと神先氏


なるほど!・・・・
神先さんのように、多くの人から愛される公認会計士が支援側に向いているのだと感じました。従業員からも、VCからも、社長からも。
今のスタートアップ業界の盛り上がりは、Keppleさんのような会計事務所のおかげでもあると思いますので、Keppleさんに神先さんのようなスタートアップ支援に情熱的な公認会計士がもっともっと集まれば、より業界が盛り上がりますね。
ただ、スタートアップ企業側にも、ガッツのある公認会計士待っています!

スタートアップ企業の支援をするなら資金調達の勉強!-会計士に必要とされるプラスαの能力は何?


スタートアップ業界で求められる能力は多いですよね。会計ソフトの操作方法、源泉や年末調整などの税金知識、社会保険や雇用保険関係など。私もマイナンバーなどは勉強中です。
神先さんは、公認会計士がスタートアップ業界で働くために身に付けておくべき能力は何だと思いますか?


必須の能力は、ゼロベースでBS、PLが作れることですかね。スタートアップは誰も助けてくれないので、一人で作成できるくらいでないといけませんね。
ただ、僕が多くの支援をしている中で、一番社長から喜んでもらえるのは資金調達のお手伝いですね。


資金調達はどのように学べばよいのでしょうか。実践がないと難しいですよね。それこそCFOになりたい公認会計士も多いですが。


僕の場合、資金調達のことで困ったらVCに聞いています。資金調達のことを一番知っているのはやはりVCですから。あとは、正直「実践」のみなので、とにかくスタートアップ業界に飛び込むことです!(笑)


なるほど、やはり実践ですよね。
ただ神先さんのすごいところは、資金調達のプロであるVCと日頃から連絡を取り合えていることですよね。普通の公認会計士だとVCとの絡みって少ないですし。


冒頭でもお話しましたが、やはり何でも業務を引き受けることが大事ですかね。Keppleは、分からないことでも調べて何でも対応するという気持ちでいます。
あとは、良いスタートアップ企業を紹介できるようにしています。「Keppleには良いスタートアップ企業がたくさん集まっている!」そう思ってもらえるように頑張っています。
ただ、今後は紹介しあうだけでなく、VCと連携して多くのスタートアップ企業を支援できるような体制を整えていきたいです。


どんどんVCとの連携を深めていき、スタートアップ支援の輪を広げていくのですね。スタートアップ業界の成長の鍵は、Keppleさんが握っている。そんなふうに思いました。
他に、スタートアップ業界を盛り上げるための新しい試みなどはあるのでしょうか。


ありますよ。小さくてもいいから、Keppleの中でエコスシテムを作りたいと思っています。今のクライアントが将来イグジットして、その会社や社長が、Keppleの新しいクライアント先に投資するとか。Keppleを通じて、顧問先同士をつなげられる仕組みですね。クライアント先だけでなく、銀行も、VCも、弁護士も、司法書士も。Keppleの中でぐるぐるつなげられるネットワークを作っていきたいですね。


とてもかっこいいです!Keppleが中心となってスタートアップ業界を盛り上げていく未来がとても楽しみです!
これからの日本は、大きなGDPを生み出して、世界的に活躍するスタートアップ企業が増えていくと思っています。まさにスタートアップ支援に強いKeppleさんが、日本経済や、資本市場の発展に貢献していかれる世界ですよね。公認会計士という資格がより魅力的に感じました。
本日は、本当に素晴らしいお話をありがとうございました。


これからKeppleでいろんな挑戦をするので、ぜひ楽しみにしていてくださいね。
本日はありがとうございました。


 

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