海外や外資系企業で働く公認会計士は英語力をどうやって身につけた?グローバルに活躍する会計士4人が語る英語力【第2回・公認会計士ナビonLive!!(1)】

  • 2015/3/16

来る2015年3月21日(土)に第3回・公認会計士ナビonLive!!(テーマ:ベンチャーキャピタル・PEファンド×公認会計士)が開催されます。

本記事では、第3回の開催に向けて、第2回のトークセッション「海外・グローバル×公認会計士」を振り返ります。

第2回・公認会計士ナビonLive!!では、「海外・グローバル×公認会計士」をテーマに、海外をフィールドとするコンサルティングファームや外資系企業で活躍する公認会計士が、グローバルビジネスや英語力について語りました。

公認会計士がグローバルなフィールドで活躍するためにはどのようにして英語力を磨けばいいのか?登壇者たちのコメントをお届けします。

※登壇者の経歴はすべてイベント開催時のものです。

26歳で中学英語の復習から始めた -シンガポールで独立した会計士の英語学習

萱場 玄/公認会計士

CPA CONCIERGE PTE. LTD. 代表取締役社長

1978年生まれ。兵庫県西宮市出身。2002年に公認会計士2次試験合格後、現あずさ監査法人大阪事務所へ入所し、主に製造業の会計監査に従事。その後、東京共同会計事務所にてSPC決算、SPC監査、DD、各種評価、ストラクチャードファイナンス、国際税務、IFRS、その他会計税務コンサルに携わった後、2012年よりシンガポールへ移住。TMF GROUPシンガポールオフィスのジャパンデスク責任者を経て2014年にシンガポールの会計事務所CPA CONCIERGEを創業。シンガポールにおける法人設立、ビザ申請、記帳・税務申告、カンパニーセクレタリー業務などを手がける。

参考URL:CPA CONCIERGE

 

 現在、シンガポールで会計事務所を開業し、東南アジアに進出する日本企業などをクライアントに会計・税務サービスを提供する萱場氏だが、英語の勉強を始めたのは26歳からだったという。

学生時代は現在とは異なり、学校も勉強もサボりがちであったため、大学時代どころか大学受験においてもほとんど英語を勉強していなかったという萱場氏。そのため、会計士試験に合格し、大手監査法人に入所して2年ほど経った頃には「このままの英語力ではまずいかもしれない…」と感じ始めたという。

また、その頃から海外に行ってみたいと考え始めたこともあり、26歳で英語の勉強をスタート。当初は、中学3年間で習う英単語を1冊で復習できるような初級のテキストから勉強を始め、英会話スクールにも通ったという。仕事をしながらの英会話スクール通学も簡単ではなかったが、残業の間に1時間だけレッスンに通ったり、朝6時からテレビ電話でレッスンを受けたりするなどして、忙しい中でも時間を捻出して勉強していたという。

「“英会話スクールに通ってもなかなかしゃべれるようにならない”という声も聞くが、実際は良い機会で、利用する人が利用すれば英語を習得する良い機会になるはず」と萱場氏は述べた。

その後、アメリカに1年弱留学をした萱場氏だが、アメリカで就職したい意向があったものの、ビザ取得のタイミングが合わず日本に帰国。

帰国後はSPC・ストラクチャードファイナンスに強い東京共同会計事務所に就職したが、そこでも、外資系ファンドが日本の不動産を購入するといったインバウンドのアドバイザリー案件など、海外関連の案件には積極的に手を挙げ、少しでも英語を使える仕事に継続的に携わることを意識していたという。

また、その頃、萱場氏はシンガポールで働きたいと考え、周囲の人間にことあるごとに「シンガポールに行きたい」と話していたところ、オランダ系の会計事務所であるTMF Groupがシンガポールにてジャパンデスクを起ち上げるという話を友人経由で貰い、シンガポールでの就職を実現。(この辺りの経緯に関しては『こうして私はアジアに「張る」ことを決めた(公認会計士のリアル 第3回:萱場 玄)』を参照。)

そして、TMF Groupでの経験を積んだ後に、2014年、現地にて自身の会計事務所(CPA CONCIERGE)を起ち上げることとなった。

萱場氏は「海外に行くためにと思って英語の勉強をしたが、シンガポールで独立した今でもまだ納得の行く英語が話せているとは思っていないし、自分の英語がうまいとも思わない。海外に行きたいのであれば日本で英語力を磨くよりも、まず現地に行ってしまうほうが良い。」とまとめた。

クロスボーダー関連のコンサルティングはチャンスに溢れている、今からでも遅くはない!?

大久保 昭平/公認会計士

CaN International Group 代表

1980年、高知市生まれ。2002年、公認会計士2次試験合格。2003年、新日本監査法人(現新日本有限責任監査法人)入所。マネージャーとして国内外の様々な業種の大手企業に対して会計監査及びコンサルティング業務を行う。2010年、シンガポールに渡りSCS Global Groupに参画。現地監査法人のパートナーとして会計監査、財務デューデリジェンス、各種コンサルティング業務に従事。2011年、SCS Global Financial Advisory Pte. Ltd.設立に伴い代表取締役就任。クロスボーダーM&A、シンガポールIPO、国際税務、海外進出、事業戦略等に係るコンサルティングを行う。2012年、日本に帰国しCaN International Group設立、代表に就任。

参考URL:CaN International Group

 

 萱場氏の話を受けて、CaN International代表の大久保氏も「萱場氏の言う通り、すぐに海外に行くことが重要」と語った。

そもそも、海外に行ってみなければ「どこまで英語力を上げたらいいのかがわからない」からだ。

大久保氏は、自身のシンガポールでのビジネス経験を踏まえ「実際に行ってみれば、英語力はもちろんビジネスについても得られるものは多い」という。(大久保氏自身も大手監査法人のマネージャー職を捨て、単身、海外に渡った経験を持つ。詳細は『次世代のキャリアモデル、グローバルで活躍する公認会計士 前編』を参照。』

また、大久保氏は「クロスボーダー関連のコンサルティングは、すごくチャンスに溢れている」とも指摘した。

東京に拠点を構え、日本企業の海外進出支援をサポートしているCaN Internationalだが、日々、多くの問い合わせがあるという。そして、問合せが多いだけでなく、国内案件と比較すると、競合とのバッティングも少ないという。

「海外進出支援などのクロスボーダービジネスを行うにあたっては、実際にコンサルティングを行う人間自身に海外現地でのビジネス経験があることが重要。

それにより説得力も増し、信頼も得られます。この分野はコンペティターもまだ少ないので、若手会計士のみなさんも、今、思い切って現地に行って2~3年経験を積めば、帰ってきてからでもまだ十分やれると思います。」と大久保氏は語った。

また、若手会計士が海外で経験を積むにあたってはどこが良いか?との質問に対しては、

「シンガポールは、東南アジアのハブとして近隣諸国の様々な案件に携わることができるため、海外に行くならシンガポールは良い選択だと思う。」

と現在、アジアで最も注目を集めているシンガポールを薦めた。

海外に出れば英語が下手でも堂々としゃべっている外国人がたくさんいる、それがリアルなグローバルビジネス

君野 匠/公認会計士

プラムフィールドアドバイザリー株式会社 統括マネージャー

1975年生まれ。慶應義塾大学卒。学習塾経営を経て2005年、公認会計士試験合格。監査法人トーマツ東京事務所、トータルサービス部に入所。株式公開支援、会計監査に従事。2011年、プラムフィールドアドバイザリー株式会社入所。統括マネージャーとして日系グローバル企業の会計アドバイザリー、海外子会社のリスク&コンプライアンスコンサルティングに従事。

参考URL:プラムフィールドアドバイザリー株式会社

 

 監査法人トーマツからプラムフィールドアドバイザリーに転職をし、海外を中心とした会計・コンプライアンス関連のアドバイザリー経験を積んできた君野氏は、萱場氏と大久保氏の話を受け、

「海外関連の仕事をするのであれば、“英語を話せなくても話す”姿勢が重要」

と語ってくれた。

現在は大企業の海外子会社などをクライアントとして活躍する君野氏だが、監査法人勤務時は、多くの会計士と同じく、“簡単な契約書や英文財務諸表が読め、メールがちょっと書けるくらい”の英語力だったという。

そのため「当時はTOEIC900点を目標にして、基礎力がついたところで海外関連の仕事に転職をしようと考えていた」という。

その後、現職に転職してからは、英語での読み・書きを必要とする海外案件は多かったものの、日系の大企業がクライアントであるため、海外現地法人にも日本人駐在がいるなど、英語を話さないといけない状況も多くはなかったという。

一方で、自分の英語力に合った“ちょっと英会話を使うような仕事”が都合よくあるわけもなく、英語ミーティングを取り仕切る仕事が急に入ってくるなど、ビジネス英会話の経験を十分に積む前に現場に入らなければならないこともあったという。

「自分も今でもちゃんと英語を話せているかというとそうではないです。けれども、海外に出てみれば中国や韓国など、非英語圏のアジアの人達も同じで、決してうまくない英語でも堂々としゃべっているし、それがグローバルビジネスの現場だと思う。

そもそも会計士の仕事であれば、会計や税務などの共通言語があるので、やってみれば何とかなる部分もある。英語に自信がなくてもまずはそういった気持でチャレンジすることが大切。」

と君野氏は語った。

ゴールドマン・サックスに応募したときはTOEIC630点!?とにかく英語を使う状況に身を置くことが重要

草地 崇浩/公認会計士

GEキャピタル ファイナンス本部 コントローラーシップ マネージャー

1980年生まれ、神戸大学経営学部卒。2003年に公認会計士試験合格後、中央青山監査法人、あらた監査法人を経て、ゴールドマン・サックス証券株式会社入社。コントローラーズにて財務報告業務に従事。その後東京共同会計事務所において会計税務アドバイザリー業務、新規事業開発等に従事し、2012年より米ゼネラル・エレクトリック(GE)日本法人、GEキャピタルジャパン、ファイナンス本部マネージャー。特殊性の高い投融資案件の会計業務を中心に担当している。

参考URL:GE Japan

 

 ゴールドマン・サックス、GEという外資系グローバル企業での勤務経験を持つ草地氏は「外資系企業の選考では、TOEICの点数が気にされないこともある」と意外な事実を述べてくれた。

草地氏は自身の英語力に関して以下のように語ってくれた。

「英語の話となると、みなさんTOEICを気にすると思うのですが、私がゴールドマン・サックスに応募した時のTOEICは630点でした。

えっ!?と思う人も多いと思いますが、外資系企業もTOEICだけでは英語力を測れないことはわかっていますし、そもそも外国人との面接で英語力を試されるので、そこを乗り切ればTOEICの点数が低くとも気にされないことも多いです。」

また、草地氏も他の3人の公認会計士と同様に「とにかく英語を使わざるを得ない状況に身をおくことが重要」と指摘した。

「“すぐ海外に行け”というのはその通りだと思いますし、同じく、外資に興味があるなら“外資に入ってしまえ”ということも言えると思います。

座学でTOEICを900点にあげたからといってそれがビジネスですぐ使い物になるかというともちろんそうでもない。別途、実務での英語力を上げる機会は作らなければならない。

私自身、TOEICは900点を超えていますし、今勤めているGEはグローバル企業なのでコミュニケーションは基本的に英語ですが、それでも英語を使いこなせているかというとまだまだその実感はありませんし日々苦労しています。

メールであったり、電話会議であったり、とにかく早いうちに英語使わざるを得ない状況に身を置くことが重要だと思います。」

最後に草地氏は、会場の若手会計士たちに以下のようなメッセージを送った。

「“すぐ海外に行け”と言われても行けない人がほとんどだと思いますが、可能性を広げるアクションとして英語の勉強。まずはTOEICくらい“すぐ受験してみる”ことが大事です。会計士試験に受かる人ならポテンシャルがあるので努力すれば点数はすぐに伸びるはずですが、最初の一歩として受験を勧めてもほとんどの人が“まだ準備できていないし、高い得点は望めないので今は受けたくないな…”と考えて先延ばしにしてしまう。

でも、実はそこで一歩踏み出せるかどうかの積み重ねが将来の大きな差になる。

将来、グローバルなフィールドで働きたい気持ちが少しでもあるのなら、今日、帰ったらすぐにTOEICに申し込んでみるのがよいと思います。行動することが大事です。」

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