次世代のキャリアモデル、グローバルで活躍する公認会計士 前編-CaN International 大久保昭平氏【特別企画/インタビュー】

  • 2014/3/11

近年、日本企業の海外進出の増加に伴い、公認会計士を始めとした士業にもグローバルな知見が必要とされるようになってきている。会計業界に関しても、国内の会計ファームが次々と海外進出支援をサービスラインに加え、アジアを中心に海外への赴任を希望する若手~中堅の会計士も増えてきているのではないだろうか。

そんな中、ひと足早く海外での経験を積み、東京にて海外進出支援を行うプロフェッショナルファームを起ち上げた若手公認会計士がいる。CaN International Group代表の大久保昭平氏である。

ますます進展するビジネスのグローバル化の中で、これからの会計業界、そして、公認会計士が世界で戦っていく上で何が必要なのか。日本での会計監査、シンガポールでの会計監査とFAS(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)事業の起ち上げを経験し、日本に帰国した大久保氏へのインタビューからそのヒントに迫る。

大久保 昭平(おおくぼ しょうへい)

CaN International Group 代表 公認会計士

【経歴】

1980年、高知市生まれ。2002年、公認会計士2次試験合格。2003年、新日本監査法人(現新日本有限責任監査法人)入所。マネージャーとして国内外の様々な業種の大手企業に対して会計監査及びコンサルティング業務を行う。2010年、シンガポールに渡りSCS Global Groupに参画。現地監査法人のパートナーとして会計監査、財務デューデリジェンス、各種コンサルティング業務に従事。2011年、SCS Global Financial Advisory Pte. Ltd.設立に伴い代表取締役就任。クロスボーダーM&A、シンガポールIPO、国際税務、海外進出、事業戦略等に係るコンサルティングを行う。2012年、日本に帰国しCaN International Group設立、代表に就任。

近年増加する日本企業のアジア進出、CaN Internationalの戦略とは?

昨今のアジアマーケットでは、現地企業の台頭に加え、欧米企業の進出も激化し、日本企業においても、コスト戦略に基づく製造拠点のみではなく、現地ニーズをくみ取ったマーケット獲得のための開発や販売拠点の進出も見られ始めた。また、進出企業の業種に関しても、従来多く見受けられた製造業の他、ITや小売、サービス業と広がり、その規模も大企業から中小企業まで幅広くなってきたのが近年の傾向である。

会計業界においても、このアジアマーケットの拡大にキャッチアップすべく多くの会計ファームが動き始めているが、独自でサービス提供を行っているファームは少なく、海外関連業務の大部分については海外業務をメインとする特定の国際会計事務所にアウトソースしている会計事務所が大半である。むしろ多くの会計事務所は国際業務に関しては顧客からの質問やニーズに対応しきれていないのが現状である。

そのような中、CaN Internationalでは、代表の大久保氏を始めとした創業メンバーの経験を活かし、アジア進出や海外での税務・FAS関連のアドバイザリーサービスを提供している。

CaN Internationalがこういった戦略をとる意図は何なのであろうか。そして、このような戦略をとれる秘訣や強みはどこにあるのだろうか。

税務・会計・FASをトータルでサポート、変化するマーケットニーズに対応したサービス

CaN Internationalでは、アジアを中心に海外進出する日本企業の会計・税務・FASをトータルでサポートし、時に戦略面までカバーする点に特徴がある。クライアントの規模も、比較的小規模な企業から上場企業やその関連会社など様々である。

代表の大久保氏は、CaN Internationalのサービスの特徴を以下のように語っている。

「現在の日系企業の海外における事業活動は従前と比較して多様化してきています。それに伴い、コンサルティングファームに求められるサービス領域についても広がりがみられます。例えば、従来のアジアマーケットでは、日本企業の中でも中堅以上の企業が一定のコストをかけて進出していましたが、近年ではそれが中小企業にまで広がっているため、迅速かつ比較的安価なコンサルティングサービスのニーズが出てきました。また、ひと言で“アジア”と言っても、シンガポール、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピンなど進出国も多岐にわたり、進出形態、事業内容や出資スキーム、その規模や従業員数など各企業の置かれている状況によって検討課題は様々です。

このように企業側のニーズが多様化する中、CaN Internationalでは、従来のファームがカバーしきれていなかったニーズに対応したサービス提供を行っている点に特徴があります。」

 

先行ファームとの差別化による独自のポジショニング

では、CaN Internationalでは、具体的にはどのようなニーズに対応しているのだろうか?

従来の会計事務所の海外関連サービスでは、BIG4系の大手ファームが大企業に対して現地での会計監査を中心とした高価格なサポートを行う一方、一部の中堅国際会計ファームが中小規模の企業向けに海外進出に関するコンサルティング、進出後の経理や労務を支援するバックオフィスのアウトソーシングサービス、税務・監査などの現地規制業務を相対的に安価な価格で提供することによってマーケットシェアを獲得してきた。

CaN Internationalでは、こういった既存プレーヤーと同種のサービスも提供はしているが、これまで既存プレーヤーが提供していなかったクライアントのブレインとしてのポジションでのコンサルティングを提供しているという。

例えば、CaN Internationalでは、以下の様なケースを得意としている。

  • 日本本社の海外戦略室などに対して海外戦略サポートを行うケース
  • クライアントが現地法人に日本人会計スタッフを置いていない場合に、現地法人に対して直接サポートを行うケース
  • 海外子会社を複数有している会社で、本社(日本)の経営企画部門に国際税務や会計の専門家を有していない場合に現地専門家と協力して本社向けのサポートを行うケース

このように、CaN Internationalでは、海外現地法人の事務代行のみを希望する企業ではなく、海外子会社の管理や、海外投資のニーズがあるものの、そのためのノウハウを有していない企業を主要クライアントとして、経営企画部や国際事業部の業務の一部を社外から支えるサービスを提供している。

これによって、例えば、東南アジアに展開するグループ会社の再編プロジェクトや、M&Aの支援、現地への投資や進出スキームへのアドバイザリーといった高付加価値業務を提供することに成功している。 

大久保氏の海外キャリアの始まりとは?無計画から始まった海外移住

日本企業の海外進出をサポートするプロフェッショナルファームとして起ち上げられたCaN Internationalであるが、代表の大久保氏はどのようなキャリアを歩んできたのであろうか?

グローバルに活躍する公認会計士と聞くと、若い頃からグローバルキャリアを意識し、監査、会計、語学、そして、海外経験と着実にステップを踏みながらそのキャリアが創られてきたと考える人が多いのではないであろうか。

しかし、大久保氏のグローバルキャリアの始まりは、決して最初から意図されたものではなく、意外にも目標やビジョンが定まらないままスタートし、様々な偶然や縁に恵まれて現在に至ったのだという。

監査法人の国内部門からキャリアをスタート、実は英語は苦手だった

関西の大学を卒業後、新日本監査法人の東京事務所に就職した大久保氏は、そのキャリアを国内監査部門からスタートさせている。当時は、日系の大企業や外資系企業等の監査を担当していたが、英語が得意であったわけではなく、むしろ国際業務は好んでいなかったという。

そんな大久保氏であるが、国内外の多業種のクライアントを担当し、上場会社等のインチャージ業務やマネージャー職の経験も積んだことから監査法人を退職するのであるが、そのタイミングではまだやりたいことも明確ではなく、思い付き程度で海外に行くことを決めたという。

海外進出はワーキングホリデーからスタート

BIG4監査法人のマネージャーが「海外にチャレンジする」と言うと、海外勤務の仕事への転職や、MBA留学などの海外留学をイメージする人も多いかもしれないが、当時の大久保氏の選択は何も決めずにただバックパック一つで海外に行くというものであった。ましてや20代のBIG4監査法人のマネージャーという転職市場におけるハイバリューのステータスを捨てて海外での無職を選択したのである。

そして、日本の家を引き払い、「どんな分野でもいいので自分の力で海外でサバイブできるようになるまでは絶対に日本には帰らない」という思いでオーストラリアに渡ったという。

「BIG4を辞める=会計士として第一線を退く」ということだった

当時の選択に関して、大久保氏は以下のように語ってくれた。

「正直、当時はやりたいことが明確ではなく、漠然とした想いを抱えて海外に向かいました。当時の自分はBIG4ファームにいることが公認会計士としての最前線であると思っていたので、そこを辞めるということは、公認会計士としての第一線を退くことだと考えていました。BIG4のナレッジやノウハウはやはり圧倒的ですし、優秀な人もたくさんいますから、そこを離れてまで同じような仕事をすることもないだろうし、“自分は監査やコンサルティングの業界にはもう戻らないのだろうな、、、”と考えていました。

一方で、監査法人にいるときに、海外駐在から帰ってきた人たちが駐在期間の2~3年で大きく成長しているのを見て、このまま日本で自分のできることをやっていても彼らを超えることはできないといった壁も感じていました。海外経験のある他の会計士や当時の自分を大きく超える答えは、国内での転職にはないと思っていたのも事実です。そこで今までの自分の枠から大きく飛び出す選択をしようと考え、転職ではなく海外に行くことを選びました。」 

仕事がない、底をつく生活費、、、アジアに行くことを決意

こうして大久保氏はオーストラリアに渡るのであるが、メルボルンやシドニーなどで過ごすうちに、半年もすると徐々に金銭的に余裕がなくなってきた。そこで、現地の転職エージェントに仕事の相談に行くのだが、ビザの取得が難しく、また、英語もまだまだであったことから、キャリア面でも金銭面でも満足できる仕事はなかったという。そして、挙句の果てには現地のエージェントから「CPAなら永住権がとりやすいから、オーストラリアのCPAを取得したら?」と提案されるなど、徐々に行き詰まりを感じる状況になっていった。

そんな中、大久保氏はアジアに関する話を聞く。

シンガポール勤務時代 友人たちと

転職エージェントなどの話によると、アジアであれば、日系企業の進出が盛り上がっており日本人向けの仕事も多くビザもとりやすいというのだ。オーストラリアの前にタイに1ヶ月ほど滞在した経験からも自分にはオーストラリアよりもアジアの雑多な雰囲気の方が肌にあっていると感じたこともありおぼろげながらアジア就職を考え始めたという。

そして、オーストラリアからアジアでの就職活動を行うのは困難であると考えた大久保氏は、フィリピンに行くことを決意する。フィリピンを選択した理由は、オーストラリアで友人になった韓国人たちからフィリピンでの英語環境・教育、生活コストに関する有用な情報を得たためである。

しかし、このアジアという選択が、大久保氏のシンガポールでの初の海外勤務経験、日本でのグローバルファームの設立といったキャリアへとつながっていくことになるのである。

後編に続く

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