今回より「シリーズ:会計士×専門性」と題して、公認会計士のキャリアや専門性について数回に渡って各界のプロフェッショナルにお話を伺っていきます。
近年は会計業界に限らず日本のあらゆる産業においてグローバルでの競争が生じてきています。グローバルなフィールドで活躍するには何が必要なのでしょうか?第1回は「語学力」「グローバルにおけるプロフェッショナル」をテーマにプラムフィールドアドバイザリー株式会社・代表取締役の梅原哲也氏に話を伺いしました。
梅原哲也/プラムフィールドアドバイザリー株式会社 代表取締役
オークランド大学卒。大学卒業後、外資系会計事務所の台北オフィスで投資・税務コンサルティング業務に従事し、NTTドコモに入社。その後、KPMG FASへと転職し、大手金融機関やメーカー、外資系企業を中心に不正リスク、コンプライアンス、不正対策、対資金洗浄、リスク管理等のコンサルティングを提供。2007年にプラムフィールドアドバイザリー株式会社を設立、代表取締役に就任。現在はグローバル展開する日本企業の不正対策やコンプライアンス、リスク管理、内部監査、財務会計分野のコンサルティングサービスを提供。同社は、世界第6位、90ヶ国に拠点をもつGGIグループの日本メンバーファームでもあり、梅原氏自身も1年間に世界を4~7周し、約15~25ヶ国を訪問する国際派のコンサルタント。
国際業務に就くのは、TOEICで何点必要だと思いますか?
TOEICありきではありませんが、現実的には800点くらいがまずスタートラインになると思います。プロフェッショナルのフィールドであるからこそ、ある程度の語学力が求められます。後から「実は英語がよく分からなかった」では、済まされないことも多々ありますので。ただ、グローバルビジネスの場では、英語力はごく一部にしか過ぎないことを強調しておきます。
国際業務に就くために、留学経験は必要でしょうか?
経験は何事もあれば尚良しなのですが、ただ留学経験があるだけ、語学力があるだけでは、実際にプロフェッショナル・ビジネスの場では歯が立ちません。また、昨今は新興国への投資などが伸びていることもあり、ビジネスの主戦場は新興国に動いていることから、それら新興国現地での経験が重宝されています。留学と言えば、アメリカやカナダ、オーストラリア、イギリスなんかを想像する人が多いかと思いますが、例えばアメリカに留学経験があるからと行って、タイやインド、ベトナム、インドネシアで業務ができるかと言えば、これは環境が全然違いますし、全く別の話になります。どの国や地域で仕事をしたいのか、考えて留学をするなり、勉強をするなりの努力が必要です。
英語以外の言語は必要ですか?
やはり、新興国へ行けば英語が通じないところが多いので、現地語ができることは圧倒的にプラスになると思います。ただ、例えば当社の所属するGGIグループ等では、公用語は英語なので、現地の公認会計士や弁護士とは基本的に英語のコミュニケーションになります。公認会計士の方であれば、現地の会計や財務部門の専門家と話をすることも多いと思いますので、よっぽど特種な国で無い限り、ひとまず英語で乗り切れる場合が多いのではないかと思います。
英語力はごく一部にしか過ぎないと言うことでしたが、それ以外には何が求められますか?
大きく4つの点を挙げたいと思います。
(1)プライベートとのバランスを上手く取り、多少の犠牲は覚悟する
グローバルにビジネスをするということは、出張で海外へ出向くことも多くなりますので、プライベートもある程度犠牲になることは覚悟が必要だと思います。実際は移動日で週末が潰れることもあるでしょうし、家を空ける時間も多くなると思いますので、家族の理解と協力も必要不可欠でしょう。
(2)語学力ではなく、異文化コミュニケーション能力を養う
英語力があるからと行って、異なる文化や価値観の方々と上手くコミュニケーション取れるかどうかは別の問題です。異文化コミュニケーションを恐れず、上手くコミュニケーションする能力が問われます。人柄なんかも問われると思います。
(3)チャレンジ精神を持ち続ける
グローバルにビジネスをすると言うことは、今まで行ったことがない国や地域に飛び込むことも多くなります。飛び込んで進んでいくチャレンジ精神と勇気が必要です。最初から分かっているところにしか羽を伸ばせないようでは、ビジネスの活動領域を大きくすることは難しいと思います。実際に現地に行ってわかることも多いので、チャレンジ精神は持ち続けてください。
(4)ITに精通する
昨今、IT化が進み高度な連携が求められています。グローバルビジネス環境下で、これらの技術を使いこなすことは必要不可欠です。スマートフォンの国際ローミングから、現地でPCの調子が悪くなった場合の対処方法まで、ITとグローバルビジネスは切っても切り離せない分野になっていると思います。
現地の会計基準や税制や法律に精通する必要はないのですか?
どのようなビジネス展開を想定しているかにもよりますが、我々日本人がいくら現地の専門情報を勉強しても、現地の専門家に勝ることはなかなかできません。実際には、現地の専門家に頼ることが多いと思います。ですので、もちろん基礎的な情報収集は必要不可欠ですが、現地での専門家に相談できる体制を維持しておく必要があるでしょう。
これからグローバルビジネス展開を目指す会計士へひとことください
人間のチャンスは無限大です。日本の監査ばかりをやっているガチガチの会計士に留まるのではなく、様々なチャンスや機会に挑戦し、自ら飛び込んでいってください。最後、宣伝になりますが、当社プラムフィールドアドバイザリーでも国際業務に携われる公認会計士の方を募集していますので、是非ともエントリーください。
今日は最後までありがとうございました。
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