2021年9月の会計士業界ニュースをお届けします。
「デロイトがスタートアップに幹部人材紹介」「トーマツでなくトーマス!?国税OBが50社に20億円の脱税指南」「BIG4決算発表で監査業務増収」の3本です。
デロイトがスタートアップに幹部人材紹介
- デロイト系、スタートアップに幹部人材紹介(日本経済新聞 2021年9月14日付)
大型の資金調達やIPOなど、ここ数年、スタートアップ業界が盛り上がっていますが、それにともない人材不足の状況が続いています。
そのような中、デロイトのスタートアップ向け人材紹介に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
人材紹介を手掛けるデロイトトーマツ人材機構(東京・千代田)はスタートアップ向けに、最高財務責任者(CFO)や最高執行責任者(COO)といった経営幹部の候補人材を紹介する事業を始める。
引用元:デロイト系、スタートアップに幹部人材紹介(日本経済新聞 2021年9月14日付)
記事によると、人材紹介は公認会計士だけではなく、コンサルタントや大手企業の管理職経験者なども対象となり、約1400人が登録するデータベースを活用すると伝えられています。
専門性の高い人材を経営幹部として社内に擁することで、スタートアップの成長が後押しされ、ひいては日本経済の発展にも貢献することが期待されます。
詳細は以下の記事をご参照ください。
- デロイト系、スタートアップに幹部人材紹介(日本経済新聞 2021年9月14日付)
トーマツでなくトーマス!?国税OBが50社に20億円の脱税指南
国税OBによる悪質な事件が発覚しました。
今回、「トーマスコンサルティング」という社名のコンサルティング会社による脱税指南に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
経営コンサルティング会社「トーマスコンサルティング」(千葉県市原市)と顧問先の約50社が東京国税局の税務調査を受け、昨年までの7年間に計約20億円の所得隠しを指摘されたことが関係者の話でわかった。
引用元:国税OBの税理士が税務申告担当、廃業で「懲戒処分逃れ」か…コンサル所得隠し指南(読売新聞オンライン 2021年9月20日付)
記事によると、トーマスコンサルティングの元社長は、顧問先に対して、「赤字法人」を使った税逃れを指導していたと伝えられています。また、申告手続はトーマスコンサルティング元社長が実質的に経営する、トーマス税理士法人が行っていましたが、所属する東京国税局OBの税理士らは、税務調査の開始後に税理士を廃業し、懲戒処分を免れていたということです。
東京国税局OBという肩書を信頼して、指導を受け入れていた顧問先も多かったと思います。また、デロイトトーマツグループと関わりのある会社ではないかと誤解されかねない名称でもありました。脱税指南と並んで、大手監査法人グループの名前を想起させる法人名や、懲戒処分逃れの行為にも悪質さを感じる事件です。
詳細は以下の記事をご参照ください。
BIG4決算発表で監査業務増収
監査法人トーマツは5月決算、あずさ、EY新日本、PwCあらたが6月決算ということで、ようやくBIG4の「業務及び財産の状況に関する説明書類」が出揃いました。
今回、BIG4の業績に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
4大監査法人の2021年度決算(21年5月期または6月期)は売上高にあたる業務収入の合計が前の期比3%増えた。
引用元:4大監査法人、21年度3%増収 コロナで作業増加(日本経済新聞 2021年9月24日付)
記事によると、4法人とも監査業務収入は増収となり、減損関連の見積もりなど、コロナ下で企業の長期的な収益力を測定する作業が増えたことが要因となったと伝えられています。
監査報酬が増額となり監査業務収入も増収となりましたが、その一方で、BIG4から中小監査法人への監査人の交代も加速しています。翌期以降もBIG4の監査業務収入の増収傾向は続くのか、注視する必要があります。
詳細は以下の記事をご参照ください。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)