2019年5月の会計士業界の時事ニュースをお届けします。
5月28日、27日、30日にリリースされた「手塚次期会長が抱負語る」「『上場企業監査人・監査報酬実態調査報告書』公表」「スタートアップで会計士増加の背景」の3件のニュースをご紹介します。
手塚次期会長が抱負語る
-
「AIで監査の現場力向上」 会計士協・手塚次期会長(日本経済新聞 2019年5月28日付)
来月7月から、監査法人トーマツの手塚正彦常務理事が会計士協会の会長に就任されます。
今回、手塚常務理事へのインタビュー記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
7月に日本公認会計士協会の新会長に就く手塚正彦常務理事(57、監査法人トーマツパートナー)は日本経済新聞の取材に応じ「会計監査の現場力向上に向け、人工知能(AI)技術を積極導入する」と述べた。
引用元:「AIで監査の現場力向上」 会計士協・手塚次期会長(日本経済新聞 2019年5月28日付)
記事によると、今後は中小の監査法人が新システムを導入しやすい体制を整備するとともに、女性会計士の比率を現在の15%から30%から引き上げ活躍推進を進めるため、在宅勤務を可能にする環境作りにも取り組むそうです。
大手監査法人がAIに取り組む様子を静観していた小規模監査法人や地方で働く会計士にとって、また、出産育児などライフステージに合わせて仕方なく転職したという女性会計士にとっても朗報です。
『上場企業監査人・監査報酬実態調査報告書』公表
-
「2019年版 上場企業監査人・監査報酬実態調査報告書」の公表について(日本公認会計士協会 2019年5月27日付)
今年度も、上場企業の監査人及び監査報酬の実態調査が行われ、日本公認会計士協会より『2019年版 上場企業監査人・監査報酬実態調査報告書』が公表されました。
「監査人・監査報酬問題研究会」(本年度責任者・林隆敏関西学院大学教授)が、当協会からの委託研究の成果として「2019年版 上場企業監査人・監査報酬実態調査報告書」を取りまとめたので公表します。
引用元:「2019年版 上場企業監査人・監査報酬実態調査報告書」の公表について(日本公認会計士協会 2019年5月27日付)
報告書は、2018年3月末時点の上場企業3,676社を対象に、2017年4月期決算から2018年3月期決算に至る1年間を対象として調査が行われています。なお監査報酬は本年度も引き続き増加傾向です。
スタートアップで会計士増加の背景
-
新興企業の参謀はサムライ 弁護士・会計士、社内で活躍(日本経済新聞 2019年5月29日付)
監査法人などプロファームではなく、企業で活躍する会計士の話題が増えています。
今回は、新興企業の参謀として活躍する弁護士・会計士に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
弁護士や公認会計士といった難関国家資格を持つ士(サムライ)業たちがスタートアップ企業の中で活躍の場を広げている。法務や財務の専門知識を生かし、新規事業の立ち上げや株式上場に向けたガバナンス強化に手腕を発揮する。スタートアップは手薄だった「守り」の部分を固め、持続的な成長をめざそうとしている。
引用元:新興企業の参謀はサムライ 弁護士・会計士、社内で活躍(日本経済新聞 2019年5月29日付)
記事によると、スタートアップの資金調達が活発になる中、創業間もない企業に飛び込む会計士が増えているそうです。会計士が参画することで、スタートアップが集めた多額の資金を適切に管理できるようになったり、コンプライアンスやガバナンスが改善したりしているということです。
会計士の方の中には、企業の中に入り事業に携わりたいという理由で転職を考える方もいらっしゃると思います。スタートアップの士業ニーズの高まりを受けて、転職先の候補として考える方も増えるのではないでしょうか。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)