会計士開発のAIによる業績予測ソフト提供開始
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業績予測、AIで決算分析(日本経済新聞 2019年4月5日付)
あらた監査法人(現PwCあらた監査法人)出身の会計士起業家、関洋二郎氏が社長を務めるゼノデータ・ラボに関するニュースが取り上げられています。関氏の経歴については、会計士起業家の活躍状況をまとめた過去記事で詳細をお伝えしています。
今回、ゼノデータ・ラボが開発した企業の業績を予測するソフトウェアについての記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
三菱UFJ銀行などが出資するゼノデータ・ラボ(東京・渋谷)は企業の業績を予測するソフトウエアを開発している。膨大な経済ニュースや企業の決算短信を人工知能(AI)で分析し、インターネットのブラウザー上で使うソフトを証券会社などに提供する。関洋二郎社長はAIで金融機関の業務を効率化できる余地は大きいとみる。
引用元:業績予測、AIで決算分析(日本経済新聞 2019年4月5日付)
記事によると、ソフトはAIで記事を自動解析し、上場企業の決算短信や有価証券報告書の情報を組み合わせることで企業の業績を予測するということです。メガバンクなどの金融機関を中心に、5月から正式なサービスを開始するそうです。
今後は製造業でもサービスを予定しているということで、監査経験を生かしたビジネスが様々な業界に浸透しつつあります。
英国BIG4監査法人に業務分離提言
- 「監査ビッグ4」英で解体論 議会下院委が提言(日本経済新聞 2019年4月6日付)
以前、英国ビッグ4の寡占状態を排除するため、監査と非監査業務を分離する新たな制度を模索しているというニュースをご紹介しました。
今回、英競争・市場庁が監査・非監査業務の分離など具体策を報告したことについての記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
「ビッグ4」と呼ばれる巨大監査法人の改革論議が英国で山場を迎えている。英議会の委員会はこのほど監査と非監査業務を完全分離する「解体」に踏み込んだ提言をまとめた。大手4グループの寡占を問題視し、占有率に上限を設けるなどの競争政策への支持も表明した。相次ぐ企業の大型破綻や会計不祥事を踏まえて抜本改革に動く。英国の方針は世界の監査業界に影響を与えそうだ。
引用元:「監査ビッグ4」英で解体論 議会下院委が提言 (日本経済新聞 2019年4月6日付)
記事では、非監査業務で収益を上げる一方で監査は採算割れでも受注するという大手グループの収益構造が、監査の質の悪化を招いていると指摘されています。改善案として、組織内での監査・非監査業務を分離するほか、グループ内で財務や報酬などを切り分け運営面も分離する形態や、完全な別法人として解体するという選択肢も視野に検討されているそうです。
非監査業務が受注できなくなれば、BIG4の経営に打撃を与えかねません。今後数週間で最終報告書が公表されるということで、解体が法制化されるのか成り行きが気になります。
会計士協会会長7月よりトーマツ手塚氏
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会計士協会会長に手塚氏 トーマツ出身(日本経済新聞 2019年4月17日付)
女性初の公認会計士協会会長を務めた関根愛子会長が6月で任期満了することに伴い、後任の会長が選出されました。
今回、会計士協会会長に監査法人トーマツの手塚正彦氏が内定したことについての記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
日本公認会計士協会は17日、手塚正彦常務理事(57)が次期会長に内定したと発表した。7月の定期総会で正式に就任する。関根愛子会長(60)は任期満了に伴い退任する。
引用元:会計士協会会長に手塚氏 トーマツ出身(日本経済新聞 2019年4月17日付)
記事によると、手塚氏は会計士協会の常務理事としてAI活用の主導的な役割をされてきた方で、会計不正を二度と起こさないよう現場力の強化に尽力するとコメントされています。
会長決定や手塚氏の経歴詳細については、会計士協会のWebサイトをご覧ください。
- 第22回役員選挙に伴う次期会長の決定について(日本公認会計士協会Webサイト)
関根会長が就任した2016年7月以降、監査制度に対する信頼を回復するため、監査法人のガバナンス・コードの公表、金融庁の「監査報告書の透明化」に関する文書の公表をはじめ、かつて会計士業界が経験したことがない改革が行われ、波乱の任期となりました。手塚会長に交代し、監査の信頼回復がより確実なものとなることを祈念いたします。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)