みなさん、こんにちは。公認会計士ナビ編集部です。
みなさんの中には、独立を目標に公認会計士を目指したという方も、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?
けれども、いざ独立となるとワクワクする反面、PCやITインフラ、ファシリティの準備、営業やマーケティング、請求書の発行など細かい事務処理にいたるまで完璧に提供してくれていた勤務先を離れて、すべて自分で用意しなければならず、そこに不安や手間を感じる方も多いと思います。
そこで、本記事では、独立に必要なツールや備品を網羅した『公認会計士のための独立・開業ツール』をまとめました。
独立・開業に必要な準備物や、お勧めのツールをリスト化し、また、ジャンル別に、どこで入手したら良いかも分かるようになっていますので、開業準備にかける時間をなるべく節約したいという方などぜひご活用ください。
なお、本記事はクラウド会計ソフトでお馴染みのfreeeさんに制作をご協力頂きました。
本記事の目次
- 開業・法人設立
- 銀行口座・クレジットカード
- オフィス
- メールアドレス・WEBサイト
- PR・ブランディング・SNS
- 営業・顧客獲得
- 総務・備品
- オフィス機器
- WEBサービス・クラウドツール
- 税務関連ツール
- FAS・コンサルティング関連ツール
- freeeの開業サポートで独立準備をスムーズに!
開業・法人設立
独立にあたっては、法人か個人事業か事業形態を決める必要があります。
会社設立や開業手続きには提出書類も多く手間がかかりますが、必要書類の作成を簡単に行えるWEBサービスを利用するのがお勧めです。
必要な準備物・手続き
- 開業届の提出(個人事業者として事業を行う場合)
- 法人設立の手続き(法人として事業を行う場合)
ポイント
- 公認会計士や税理士業務を中心に行うのであれば、基本的には「~会計事務所」「~公認会計士事務所」など個人事業主形態での独立で良いでしょう。
- 公認会計士の独立においては、上場企業やIPO準備企業などがクライアントとなるケースも少なからずあります。そういったクライアントの場合、法人との取引が求められることもありますので、予め株式会社など法人を設立しておくのも良いでしょう。
銀行口座・クレジットカード
事業に必要な銀行口座やクレジットカードを用意しましょう。
必要な準備物・手続き
- 銀行口座
- クレジットカード
ポイント
- 個人事業であれば個人名義の銀行口座やクレジットカードをそのまま利用するのも良いでしょう。
- メガバンクの場合、オンラインバンキングには利用料がかかったり、利用できるブラウザが限られるケースもあります。そのため、ネット銀行の口座もあると便利です。
- ネット銀行はダイレクト納付に対応していないことがあるので、ネット専業でない銀行(メガバンクや地銀など)と併用するのも良いでしょう。
- 新設法人の場合、特にメガバンクなどでは口座の開設に時間がかかる、もしくは、審査が通らないこともあるので注意が必要です。
- 近年はクレジットカード払いのWEBサービスも多いので事業用のクレジットカードを用意しておく方が便利です。また、クレジットカードであれば明細を会計ソフトに取込み自動仕訳の処理ができるため、自社の記帳の手間も減り便利です。
- クレジットカードの利用限度額がいっぱいになると、WEBサービスなどの利用料が引き落とせずサービスが使えなくなることがあります。また、サイトによっても使えるブランドが異なります。カードは異なるブランドで2枚用意しておくのがオススメです。
オフィス
独立に当たってはオフィスも大切です。できれば見栄えもアクセスも良いオフィスに入りたいところですが、賃料はコストの大部分を占めるためなるべく節約したい部分でもあります。オフィス利用可能なマンションやレンタルオフィスを利用するのもお勧めです。
必要な準備物・手続き
- オフィス
ポイント
- オフィス選びには以下の選択肢があります。
- オフィスビルにオフィスを借りる
- 賃貸マンションに部屋を借りオフィス利用する
- レンタルオフィスを利用する
- シェアオフィスやコワーキングスペースを利用する
- 知り合いのオフィスに間借りする
- 自宅をオフィスにする
- オフィスビルにオフィスを借りる場合など、敷金(家賃の6ヶ月分など)のまとまった資金が必要となります。
- 独立税理士として税理士登録を行う場合は、「施錠できる個室」など税理士会指定の基準を満たすオフィスが必要になるため注意が必要です。
ここでは全国展開しているハイグレードなレンタルオフィスやシェアオフィス、コワーキングスペースをご紹介します。
ハイグレードレンタルオフィス★
シェアオフィスやコワーキングスペース
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メールアドレス・WEBサイト
メールアドレスやWEBサイトは独立の必須ツールです。勤務会計士時代は勤務先が用意してくれていましたが、独立すると自分で用意しなければなりません。
必要な準備物・手続き
- ドメイン(サイトやメアドの@以降、●●●.com などの部分)の取得
- メールアドレスの取得
- WEBサイトの作成
ポイント
- 独立する人の中には、最初はGmailや会計士協会のメールを利用し、後から独自ドメインのメアドを取得する人もいますが、最初から独自のメアドを利用する方が印象が良くお勧めです。
- ドメインは早めに取得し独自メアドを作成しておきましょう。メアドがあれば名刺を作成し、挨拶にまわることができます。
- Googleアカウントがあればメールやカレンダー、ストレージ(Google Drive)などが無料で使えて便利です。Gmailでは自分で取得したドメインのメールを送受信できるように設定することも可能です。有料でしっかりしたものを利用したい場合は、Gmailの有料版のGsuiteを利用するのがお勧めです。
- ITが苦手でドメインの取得などが自分で行えない場合は、WEBサイトの制作会社に頼めばドメインの取得も行ってくれるので相談してみましょう。
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PR・ブランディング・SNS
個人で独立することの多い公認会計士や税理士は、信頼あるイメージ作りや、得意領域や強みをPRする広報活動も大切です。写真、ロゴ、SNSなどは早めに整えておきましょう。
必要な準備物・手続き
- プロフィール写真
- ロゴ
- SNS(Facebook、Twitter 等)
ポイント
- プロフィール写真は自社のWEBサイトや営業資料のみならず、セミナー講師やイベント登壇時などにも必要となります。そういった際に使用する写真をプロカメラマンや写真館に依頼して撮影しておきましょう。
- 個人の会計事務所でもロゴがあるだけでイメージが大きく変わります。独立時にロゴも準備しておくのが良いでしょう。
- 近年ではSNSをビジネス利用する機会も増えています。FacebookやTwitterのアカウントも用意し、写真もしっかりとしたものを設定しておくのがお勧めです。
- 個人だけでなく事務所のFacebookページやTwitterアカウントを作成しておくのもお勧めです。
ロゴ作成
SNS
営業・顧客獲得
独立する際に多くの会計士の方が不安に思うのが「仕事があるのか」ということでしょう。「知人・関係者への連絡」をしっかりと行ったり、また、税理士検索サイトへの登録や仕事紹介サービスへの登録を行うことによって仕事の受注基盤を作っておきましょう。
必要な準備物・手続き
- 知人・関係者への独立連絡
- 税理士検索サイトへの登録
- 会計士向けの仕事紹介サービスへの登録
- SNSでの情報発信
ポイント
- 仕事は「親しい知人」「過去に仕事をしたことのある知人」など、信頼関係がある方から来やすい傾向があります。知人への連絡はしっかりと丁寧に行いましょう。
- 独立の挨拶は、挨拶状の送付が礼儀正しい印象はありますが、近年はメールでの挨拶も一般的になっています。メールは受け取った人がそのまま返信できるため商談の機会につながったり、メールからWEBサイトを見てもらえたりと利便性が高くお勧めです。
- 親しい人や過去に仕事をした人とはSNSでつながり、自分の近況をアップデートしておくことも大切です。
- 税理士検索freee…月間5万人以上がアクセスする税理士検索サイト
- freee認定アドバイザー…顧客紹介制度あり
- freeeの独立・開業サポート…税務・コンサル業務などの紹介制度あり
- 独立会計士.job…コンサル業務の紹介/BridgeConsulting提供
総務・備品
独立時には印鑑や名刺を始め、細かい準備物も多くあります。意外と準備にコストや時間がかかるあるため、早めに用意しておきましょう。
必要な準備物・手続き
- 携帯電話
- 印鑑(代表印、銀行印、角印、税理士印など)
- 名刺
- 執務用・来客用の机・椅子
- 文房具各種
ポイント
- 名刺があると挨拶回りなど営業活動を行なうことができます。メアドの取得は早めに済ませておきましょう。
- 名刺はラクスルなどWEBで簡単に作ることができます。
- ビジネスでの備品購入はASKUL(アスクル)などが有名ですが、近年ではAmazonもビジネス利用が可能です。書籍購入の機会が多い公認会計士の場合、書籍が豊富なAmazonもお勧めです。
- 会計事務所総合ショッピングプラザのように、伝票や各種申告書専用のファイルなど、会計事務所特有の備品を販売しているサービスもあります。
- 意外と役に立つのがレターパック。1通あたりの価格は封筒利用より高くなりますが、郵送用の封筒を準備して使うよりも手間がかかりません。
- 執務用の机や椅子などのオフィス家具は中古品を活用するのもお勧めです。
- ラクスル…オンラインで簡単に名刺作成&発注が可能
- Amazonビジネス…備品以外に書籍も購入できて便利
- 会計事務所総合ショッピングプラザ…税理士業務特有の備品も購入可能/エッサム提供
- 郵便局のネットショップ…レターパックの購入が可能
- オフィスバスターズ★…中古オフィス家具
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オフィス機器
独立にあたっては、パソコンを始め、プリンタやスキャナなど、様々な機器が必要になります。勤め人時代は何気なく使っていたオフィス機器ですが、自前で用意するとなると意外と高額なものも少なくありません。
必要な準備物・手続き
- パソコン
- ビジネスフォン
- 携帯電話
- プリンタ、スキャナ、複合機
- シュレッダー
ポイント
- ビジネスフォンは高額なため、小規模な間は携帯電話だけでも良いでしょう。
- プリンタは印刷の機会が多くなければ高性能の家庭用プリンタでも代用可能です。提案書の作成機会が多い場合は、高機能なプリンタを購入したり、複合機をリースで利用するのも良いでしょう。
- ペーパーレス化のために開業のタイミングでなるべく紙を使わない業務体制を意識してオフィス機器を準備するのもお勧めです。
- スキャナは、ScanSnapをEight(名刺管理クラウドサービス)と連動させて活用することにより名刺データも効率良く取り込み管理できます。
- freeeの開業サポート…パソコン、プリンタ、スキャナ、複合機、ScanSnapなどを割引価格で提供
- エッサムのOA機器・オフィスレイアウトサポート…コピー・複合機、ビジネスフォンの購入、オフィスレイアウト工事等をサポート
WEBサービス・クラウドツール
近年は様々なITツールが登場しており、それらを効果的に活用することによって、生産性を大きく高めることができます。また、IT系スタートアップなどをクライアントとして仕事をする場合、それらのツールが必須となるケースもあります。
必要な準備物・手続き
- Office・グループウェア
- ビジネスチャットツール
- 名刺管理ソフト
- データベース
ポイント
- Officeソフトやグループウェアなどは、Office365やGsuiteを活用し、クラウドベースで業務を行えるようにしておくことがお勧めです。
- 監査法人や会計ファームでは、ビジネスチャットやオンラインミーティングツールを利用する機会は多くないかもしれませんが、活用する企業は増えています。独立時には活用できるようにしておきましょう。
Office・グループウェア
ビジネスチャットツール
クラウドストレージ
名刺管理
- Eight…スキャンした名刺をデータ化してくれる名刺管理アプリ。有料版はCSVでのデータエクスポートも可能。
オンラインミーティング
データベース構築
- kintone(キントーン)…webデータベース型の業務アプリ構築クラウドサービス。Excelで基本的な関数を使える程度の知識があれば、クラウドのデータベースを作成できます。
税務関連ツール(会計ソフト、税務申告ソフトなど)
独立会計士の中には税務サービスを提供する人も少なくありません。税理士登録をはじめ、税務業務を行う準備も必要です。近年では会計ソフトや税務申告ソフトもクラウド化してきていますので、クラウドを中心に業務を組み立ててみるのも良いでしょう。また、万が一に備えての税理士賠償責任保険や税務論点の照会先などを準備しておくのもお勧めです。
必要な準備物・手続き
- 会計ソフト
- 税務申告ソフト
- 税理士登録
- 税理士賠償責任保険
ポイント
- 会計ソフト会社は一般ユーザー向け以外にも、会計事務所向けの製品やサービスを提供しています。会計ソフト会社の営業担当が独立準備の相談にのってくれる場合もあります。
- 税務業務を行う場合、記帳業務は公認会計士自身が手を動かして作業を行うには、収益性が低く時給が見合いません。業務を自動化する、記帳業務を受けない、もしくは、アルバイトを雇用するなど工夫をすることがお勧めです。
クラウド会計ソフト
- 会計freee
- 弥生会計オンライン
- マネーフォワードクラウド会計
クラウド税務申告ソフト
税理士登録
- 税理士登録freee…必要な手続き・書類をナビゲートしてくれるサービス。利用料は無料。
- エッサムファミリー会…税理士資格維持に必要な認定研修も提供。
その他
- 税理士賠償責任保険
- 税務ガイド…経験豊富な国税OBにオンラインで質問が可能。
- 税理士協同組合の報酬自動支払制度…顧問料回収を効率的に。
- ゆりかご倶楽部…会計事務所専用インターネット活用サービス。エッサム提供。
FAS・コンサルティング関連ツール
FASやコンサルティング業務で独立し、企業価値評価などのサービスを提供する場合、企業データや資本コストデータの数値の取得が必要となります。ここではデータベースサービスをまとめてみました。
必要な準備物・手続き
- 企業データベース
ポイント
- 企業データベースは、使用頻度(評価業務をどれくらいの頻度で受注しているか)や必要なデータ(株価、β、リスク等)は何かによって使い分ける形になります。
- 有料のものには、上場企業の株価データを含むS&P Capital IQ、Bloomberg、SPEEDA等の企業データベースと、プルータスやイボットソン等の資本コスト関連データベースがあります。
- 前者は年間で3桁万円(月額2桁万円)の利用料と個人で利用するには高額、後者は単発データ購入で数万円から利用可能と個人でも利用できる金額です。
- そのため、個人で受けられる簡単な評価業務であれば、無料(Yahoo!ファイナンスやロイター)の情報と、イボットソンやプルータスなどのデータベースの併用で対応するケースも多そうです。
- 小規模ファームでも、評価業務専門で独立しているケースでは、有料の企業データベースと資本コスト関連データベースを併用するケースもあるようです。
企業データベース(有料)
企業データベース(無料)
資本コスト関連データベース(有料・単発購入可)
freeeの開業サポートで独立準備をスムーズに!
freee株式会社は、公認会計士の独立・開業を応援しています!スキャナから案件紹介まで、開業時に必要なサービス・特典を提供することで、スムーズな独立準備をサポートいたします。
税務業務対応を予定されており、開業半年前〜開業後1年以内の方を対象としております。ぜひご活用ください。
以上、公認会計士の独立・開業のためのツールをまとめてみました。
このツールが少しでもお役に立って、みなさんの独立が成功することを祈念しています。
制作協力:freee株式会社