適正意見以外なら説明求む、四大監査法人が合同フォーラム開催、監査法人交代急増の理由など3件:今月の会計士業界ニュース(2019年1月その2)

2019年1月9日、22日、25日に、監査報告書、監査法人、監査契約などに関するニュースがリリースされています。

適正意見以外は説明求む、四大監査法人が合同フォーラム開催、監査法人交代急増の理由などの記事を幅広くご紹介します。

監査法人は適正意見以外なら理由の説明を

2021年3月より監査報告書に監査上の主要な事項(KAM)の記載が求められることになり、監査報告書の透明化に期待が寄せられています。

今回、監査法人が守秘義務違反に当たらないケースを金融庁が明示したことに関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

金融庁は22日、監査法人が発信する情報の充実策を盛った報告書をまとめた。監査法人が会計監査した企業の決算書類にお墨付きを与えない理由を詳しく説明することは守秘義務違反に当たらないと明示。監査法人が積極的に説明することを事実上求めた。発端となった東芝問題をはじめ、企業の不正会計が後を絶たない。投資家が企業財務の問題を把握しやすくなるよう「もの言う監査法人」の育成をめざす。

引用元:決算認めないなら説明を 金融庁、監査法人に要請(日本経済新聞 2019年1月22日付)

記事によると、監査法人が不適正意見や意見不表明などの判断に至った詳しい理由を説明することは、公認会計士法の正当な理由に該当すると明示し、監査意見の詳しい理由を説明するよう促すねらいがあるとのことです。

『会計監査についての情報提供の充実に関する懇談会』が発表した報告書によると、監査人の説明が監査報告書の定型文だけという現状を不十分とし、株主総会で追加的な説明を行うなど適切な手段を検討することが必要だとしています。

報告書によると、追加的な説明の内容として「経営者や監査役等とのコミュニケーションの状況」、「経営者や監査役等との見解不一致の内容」、「具体的な監査手続に関する説明」などが挙げられています。また説明する場合は監査役等と十分協議をすることも求めています。

株主総会で説明するとなれば監査人には臨機応変な対応が求められます。標準型の報告形式に慣れている監査人にとって、報告のハードルは高くなりそうです。監査は投資判断に資するものに生まれ変われるのでしょうか。

四大監査法人が合同フォーラム開催

四大監査法人は残高確認システム開発のために共同で会社設立するなど、法人の垣根を越えて協力し合う時代になりました。

今回、四大監査法人と日本経済新聞社が1月24に開催した『4監査法人合同フォーラム』に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

あずさ監査法人など4大監査法人は24日、日本経済新聞社と「4監査法人合同フォーラム」を東京・大手町の日経ホールで開いた。企業の会計不祥事で監査への信頼が揺らぐなか、監査法人が果たす役割を議論した。

引用元:4大監査法人が質向上へ討論会 IT対応など議論(日本経済新聞 2019年1月25日付)

記事によると、各監査法人が監査の質向上やIT対応について議論したとのことです。

この『4監査法人合同フォーラム』を受けて、4監査法人による共同声明が発表されています。声明では、(1)財務報告と監査の信頼性向上に向けた取組み、(2)情報技術への積極的な投資、(3)国際感覚を有する会計人材やデジタル社会に対応する人材への投資、(4)日本経済の健全な発展への貢献についてのコミットメントを発表しています。

フォーラムの内容を受けて4法人がそれぞれ共同声明をリリースしています。

急激に複雑化する経済社会に対して、監査法人が協力し合って乗り越えようとしています。

監査法人交代急増の理由

監査法人を交代する企業の動きはひと段落したかのように見えましたが、動きはさらに広まっていました。

今回、2018年の監査法人の交代急増に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

決算をチェックする監査法人を変更する企業が増えている。2018年は監査法人の合併など特殊要因を除いた変更件数が125社と17年を上回り、リーマン・ショック直後の09年以来、9年ぶりの高水準となった。東芝などの会計不祥事を受けた監査の厳格化で大手を中心に報酬を引き上げる動きが背景にあるようだ。一方で監査法人との「なれ合い」を防ごうとして監査法人を変更する企業もある。

引用元:監査法人の交代相次ぐ 18年、9年ぶり高水準(日本経済新聞 2019年1月9日付)

記事では、トーマツからの変更が40社強と目立ち報酬引き上げが原因になっているのではないかと報じられています。また報酬面以外でも、欧州で監査法人ローテーションが義務化されたことを受けて、自主的に監査法人を変更しているケースも見られるそうです。

最近話題のローテーション制度は、法制化を待たずして、自助努力で日本に浸透しつつあるのかもしれません。

(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧

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【大津留ぐみ:公認会計士・税理士/会計士・税理士専門ライター】 大学在学時にシェイクスピアを学んだことをきっかけに劇作家を目指すも挫折。編集プロダクションで編集やライティング業務に従事した後、公認会計士試験にチャレンジし合格。大手監査法人の東京事務所にて監査業務、財務デューデリジェンスなどに従事。 その後、フリーランスの公認会計士として非常勤監査、税理士法人の社員税理士として税務業務に従事しつつ、大津留ぐみのペンネームでライターとしての執筆活動にも従事。ライターとして、お金、社会保障、会計、税務などに関する記事を執筆。また、2児の母となったことをきっかけに、子どもの貧困や教育格差、子どものイジメに関する記事なども執筆。現在は、株式会社ワイズアライアンスの専属ライターとして会計・税務の記事を執筆しつつ、会計事務所にて内部統制業務にも従事するパラレルワーカー。公認会計士・税理士。

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