本日、令和5年度修了考査の合格発表が行われました。
合格された皆様、おめでとうございます。また、残念ながら不合格となってしまった皆様におかれましては、次回、良い結果が得られますよう祈念しております。
昨年は、JFAEL(一般財団法人 会計教育研修機構)主催で実務補習に関する意見を聞くイベントが開催されるなど、実務補習や修了考査の今後の在り方についても検討されているようですが、今年の修了考査の結果はどうだったのでしょうか?
本記事では、そんな令和5年度の修了考査の合格発表の内容を詳しく考察していきます。
令和5年度・修了考査合格者の概要
まず、令和5年度の合格発表に関する概要は下記の通りです。
【受験願書提出者数】2,146名(男性1,664名、女性482名)※女性比率22.5%
【受験者】1,958名(男性1,518名、女性440名)※女性比率22.5%
【合格者】1,495名(男性1,151名、女性344名)※女性比率23.0%
【合格者の年齢】平均年齢29.3歳、最高年齢63歳、最低年齢22歳
【対受験願書提出者数合格率】69.7%
【対受験者数合格率】76.4%
合格者数と合格率
合格者数は前年比103名増加
さて、合格者数や合格率を見ていきましょう。
まずは受験者数と合格者数です。
令和5年度の修了考査における「受験者」の総数は昨年の2,000名から1,958名へと減少しています。また、「合格者数」は1,495名と、前年度の1,392名と比較して103名の増加となっています。
受験者数の増減は、3~4年程度前の論文式試験の合格者数と相関性が高い傾向にありますが、参考までに近年の論文式試験の合格者数の推移は以下になります。
対受験者数合格率は76.4%!過去最高の数字に
続いて合格率を見てみましょう。
一時期、大きく低下し、昨年も回復基調にあった合格率ですが、本年も大きく改善しています。
※平成18年度・修了試験の「対受験願書提出者数合格率」は開示されていないため、旧3次試験を受験した51名のデータとなっています。
「対受験願書提出者数合格率」は69.7%と、昨年の63.8%から5.9%のアップとなっています。
また、「対受験者数合格率」も76.4%と、前年の69.6%より6.8%アップとなっており、修了考査の開始以来、過去最高の数字となっています。
以前の修了考査は、70%程度の合格率で推移していましたが、それを上回る水準となっており、従来の水準に戻ったと言ってよいでしょう。
男女別合格者数、合格者の年齢は?
昨年の合格発表から、新たに男女別の合格者数と、合格者の年齢に関する数字が開示されています。
今年はどうだったでしょうか?
【受験願書提出者数】2,146名(男性1,664名、女性482名)※女性比率22.5%
【受験者】1,958名(男性1,518名、女性440名)※女性比率22.5%
【合格者】1,495名(男性1,151名、女性344名)※女性比率23.0%
【合格者の年齢】平均年齢29.3歳、最高年齢63歳、最低年齢22歳
今年の合格者の平均年齢は29.3歳であり、ここ数年、論文式試験の合格年齢も下がってきていることから、修了考査の合格者の平均年齢も20代となっています。
また、女性比率は23.0%となっています。公認会計士協会や大手監査法人を始めとして、業界全体で女性会計士増加のための広報活動や勤務環境の整備も進んでいますが、その辺りを考慮すると、今後はもう少し女性比率が高まっていって欲しいところです。
氏名非公表制度は合格者の14.0%が利用
現在の修了考査では、受験者本人から申請があれば、合格発表時に氏名を公表せず受験番号のみを公表することが可能となっています。
今回の修了考査においても、全国で210名、合格者全体の14.0%の方が氏名非公表制度を利用しています。
制度開始以降の推移は以下のグラフの通りで、一昨年に利用率が大きく高まったものの、その後は2年連続で13~14%となっています。
「公認会計士の転職」は引き続き「売り手市場」、求職者が有利な状況が続くか!?
今回の修了考査合格者1,495名すべてが公認会計士協会の正会員登録を行ったとすると、公認会計士(正会員)数は35,532名(2024年3月末現在)から37,027名へと、約4.2%増加することとなります。
また、修了考査の合格をきっかけとして、転職や今後のキャリアを考える方々もおられるかと思います。
数年前から続く公認会計士不足ですが、引き続き業界全体でまだまだ人不足の状況です。
そのため、公認会計士の転職市場も引き続き転職希望者が優位な「売り手市場」が継続しており、3~5年程度以上の監査経験のある公認会計士の方であれば、転職すること自体は容易な市場となっています。監査、FAS、税務、事業会社(スタートアップ~大企業)など、いずれのジャンルでも転職のチャンスは大きいと言えるでしょう。
現在の資本市場は、30数年ぶりの高値を更新した日経平均、グロース株は低迷しているものの引き続き意欲旺盛な企業が多いIPO市場、2025年からの英文開示の義務化など、公認会計士を取り巻くビジネス環境においても、良好な状況にあると言えるでしょう。
修了考査の結果をきっかけとし、ひとりでも多くの会計士の方が充実したキャリアを歩めるよう祈念しています。
以上、本年の修了考査に関する考察でした。
公認会計士ナビでは、引き続き修了考査の動向をウォッチしていきます。
※本文中のデータは全て公認会計士協会発表のデータより作成。
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