2018年10月5日、7日、8日に、監査手法、クラウド会計、大手監査法人などに関するニュースがリリースされています。
AIで変わる監査手法『CA』とは、クラウド会計が監査手法に与える影響、大手監査法人が情報発信拠点開設などの記事を幅広くご紹介します。
AIで変わる監査手法『CA』とは
- AIが変える会計監査 リアルタイム監視の足音(日本経済新聞 2018年10月7日付)
四大監査法人では、AIが本格的に活用され始めていますが、AIで今後の監査はどのように変わっていくのでしょうか。
今回、AIシステムによる異常取引の抽出精度向上と、『継続的監査(コンティニュアス・オーディティング=CA)』と呼ばれる監査手法についての記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
CAは企業と監査法人がネットでつながり、データをリアルタイムでやり取りして監査する。監査の世界は、取引データからサンプルを抽出する「試査」が中心だった。CAでは精査(全ての取引を調べる)により日次、秒次での決算書作成も理論上は可能になる。
引用元:AIが変える会計監査 リアルタイム監視の足音(日本経済新聞 2018年10月7日付)
記事によると、PwCあらた監査法人では、AIシステムによる監査上検証すべき仕訳の抽出率が、17年12月の11%から56%まで上昇したとのことです。また、30年ごろよりCAという新たな監査手法の導入が予想されており、リアルタイムで精査することが可能になるそうです。
監査を取り巻く環境は、目まぐるしく変革しています。今までの監査の常識は、時代に合わせてどのように変化していくのでしょうか。
クラウド会計から新たな監査手法『継続的監査』へ
- 「監査チームの形変わる」 (日本経済新聞 2018年10月8日付)
AIシステムの導入に関する記事が、連日のようにリリースされています。
今回、東京大学の首藤昭信准教授による継続的監査へのコメントと、あずさ監査法人次世代監査技術研究室の小川勤室長によるこれからの監査チームに関するコメントに関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
「近未来の継続的監査のイメージと部分的に類似している」と東京大学の首藤昭信准教授が注目するのが、フィンテック企業の中小企業向けのクラウド会計ソフトだ。
引用元:「監査チームの形変わる」 (日本経済新聞 2018年10月8日付)
記事によると、クラウド会計ソフトを提供するfreeeではAIで金融データを自動仕訳できたり、マネーフォワードでも独自のサービスを展開しており、継続的監査とクラウド会計ソフトのイメージが類似していると首藤准教授は指摘しています。また、継続的監査の時代になれば、少数の公認会計士をデータ専門家やAI技術者が補佐する形へ監査チームが変わると、あずさ監査法人小川室長がコメントしています。
AIによって監査が変わると言われてきましたが、その具体像が見えてきました。
大手監査法人が情報発信拠点を開設
- 監査法人大手、相次ぎ情報発信拠点を開設(日本経済新聞 2018年10月5日付)
監査法人が変わろうとしています。
今回、大手監査法人が企業向けの情報発信拠点を続々と開設している件について、日本経済新聞より記事がリリースされています。
大手監査法人が企業向けの情報発信に使う拠点を相次ぎ設けている。EY新日本監査法人は2018年冬に、人工知能(AI)を用いた監査システムの解説などができる施設をつくる。監査法人トーマツも19年春にも導入する。「ブラックボックス」とみられがちな監査業務の紹介などを通じて、企業との情報交換を円滑にする。
引用元:監査法人大手、相次ぎ情報発信拠点を開設(日本経済新聞 2018年10月5日付)
記事によると、EY新日本監査法人は新拠点『ウエーブスペース』を作り、企業の経理データをAIで分析する過程や作業の進め方について説明することにしており、トーマツも同様の施設を設けるそうです。また、PwCあらた監査法人やあずさは、会計制度のセミナーや、新興企業の経営者向け勉強会などに施設を活用するそうです。
- EY Japanのメンバーファームが「東京ミッドタウン日比谷」に新東京オフィスを開設(EY Japan 2018年1月31日付)
大手監査法人がクライアントに対して積極的に情報開示するこの取り組みは、監査を理解してもらうための施策として、クライアントや市場からも歓迎されることになりそうです。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)