2024年1月の会計士業界ニュースをお届けします。
「太陽有限監査法人の新規契約締結停止3ヶ月」「有限責任あずさ監査法人、短期海外赴任制度拡充で選択肢広がる」の2本です。
太陽有限監査法人の新規契約締結停止3ヶ月
監査法人業界で5番目の規模を誇る準大手監査法人で、不祥事が起きました。
太陽有限責任監査法人の業務停止命令に関するリリースが、同社及び金融庁から出ています。
リリースによると、太陽有限責任監査法人の新規契約締結停止期間は2024年1月1日から3月31日までの3ヶ月間、担当していた公認会計士2名は業務停止6ヶ月の懲戒処分、審査担当社員も3ヶ月の審査関与禁止の処分を受けることになります。
処分理由として、社員の2名の公認会計士が相当の注意を怠り、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明したこと、また当該監査業務の審査担当社員も重大な責任を有することが挙げられています。課徴金納付命令に係る審判手続開始も決定されたとのことです。
なお、虚偽表示を行っていた株式会社ディー・ディー・エスは2023年8月4日付で上場廃止となっています。
BIG4監査法人から監査契約を切り替えた多くのクライアントの受け皿となり、急激に規模を拡大してきた太陽有限責任監査法人。監査実施体制の整備が間に合っていなかったのでしょうか。監査法人に対する投資家の信頼を回復すべく、業務改善計画に従って、再発防止に注力してもらいたいものです。
有限責任あずさ監査法人、短期海外赴任制度拡充で選択肢広がる
海外赴任は監査法人でマネジメント層を目指す上で、有効な手段のひとつです。主査業務を経験したり公認会計士登録が済んだりしたら、海外赴任を希望するという方も少なくないでしょう。
一方で、赴任するとなると2~3年程度は現地にて働くこととなり、赴任できるのはプライベートも含めてまとまって日本を離れることができる人に限られます。
そのような状況のなか、今回、有限責任あずさ監査法人の短期海外赴任制度に関する記事が、日本経済新聞からリリースされています。
あずさ監査法人は短期海外赴任制度を拡充した。今年駐在先にマレーシアを加え、計4カ国にした。
【引用元:あずさ、短期海外赴任制度拡充 女性も活用しやすく(日本経済新聞 2023年12月26日付)】
従来、海外赴任期間は3年程度のことが多かったようですが、記事によると、今回の制度拡充により、有限責任あずさ監査法人の短期赴任は、1ヶ月、3~6ヶ月、18~24ヶ月と選択肢が増加しました。渡航先も米国、シンガポール、オランダ、マレーシアの4カ国があると伝えられています。
公認会計士ナビでも記事にて取り上げたこともありますが、PwC Japan有限責任監査法人では、以前より短期間の海外赴任ができるグローバル人材の育成プログラムが行われています。(当該記事はこちら)
今回、あずさ監査法人も海外赴任制度を拡充することによって、他の監査法人への影響もあるかもしれません。海外赴任の選択肢が広がることは、家庭の事情で海外赴任を諦めていた会計士にとって朗報でしょう。
今回取り上げたニュース
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)