2020年12月の会計士業界ニュースをお届けします。
「不適切研修来年2月に処分決定」「監査法人大手門会計事務所および公認会計士が懲戒処分等」の2本です。
不適切研修来年2月に処分決定
今年9月7日に、あずさ監査法人の内部告発で明らかになった、公認会計士による不適切研修の問題。他法人についても調査が行われており、処分まで時間がかかるとされていました。
今回、研修を不適切受講した公認会計士への処分に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
日本公認会計士協会の手塚正彦会長は27日の記者会見で、公認会計士による研修不適切受講の問題について「2021年2月にも処分が決定される見通し」と述べた。
引用元:会計士協会、不適切研修 2月にも処分決定(日本経済新聞 2020年11月27日付)
記事によると、まず2020年内に協会執行部から独立した審査会が処分案を決定し、異議申し立てがなければ早ければ2月に処分が決定されるということです。
単なる単位不足では済まされない、虚偽に研修受講を報告するという行為に、どのような処分が下されるのでしょうか。ご興味のある方は以下をご参照ください。
監査法人大手門会計事務所および公認会計士が懲戒処分等
各監査法人が、監査の品質向上に向けて体制を整える中、監査法人の業務停止と公認会計士の懲戒処分という残念な事件が起きてしまいました。本件は処分後に当該監査法人はその後解散、公認会計士協会からも声明が出されるなど、ひときわ重い事案となっています。
今回、監査法人大手門会計事務所及び公認会計士の懲戒処分等について、金融庁よりリリースが出ています。
(1) 処分の対象者
監査法人大手門会計事務所(法人番号9010005003922)(所在地:東京都千代田区)
(注)当監査法人は、令和2年10月27日をもって解散し、清算法人に移行している。(2) 処分の内容
業務停止5月(清算業務を除く。)
(令和2年11月30日から令和3年4月29日まで)
引用元:監査法人及び公認会計士の懲戒処分等について(金融庁Webサイト 2020年11月27日付)
リリースによると、日本フォームサービス株式会社の平成29年9月期及び平成30年9月期における財務書類監査で、故意により、虚偽のある財務書類を虚偽のないものとして証明し、また、相当の注意を怠り、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明したことが監査法人の処分理由とされています。
リリースでは、さらに公認会計士2名の処分についても言及しており、うち1名は登録抹消と厳しい処分となっています。
なお、本件に関しては、その重大性からか、日本公認会計士協会からも声明が出されています。
監査法人大手門会計事務所に対しては、令和元年12月に公認会計士・監査審査会から金融庁長官に対して行政処分その他の措置を講ずるよう勧告が出されていましたが、約1年後に厳しい処分が下されました。
ご興味のある方は以下の金融庁からのリリースをご参照ください。本件事案の詳細も記載されています。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)