2019年5月の会計士業界の時事ニュースをお届けします。
5月17日、21日にリリースされた「会計士が大阪府警財務捜査官へ」「会計士男が女子中学生にわいせつ未遂」「AIで変わる企業の評価方法」の3件のニュースをご紹介します。
会計士が大阪府警財務捜査官へ
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大阪)監査法人から転身の浜本さん、府警の財務捜査官に(朝日新聞DIGITAL 2019年5月17日付)
協会や地域会のメールや案内で“財務捜査官”という職業を目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
今回、大手監査法人を退職して大阪府警の財務捜査官になった、公認会計士に関する記事が、朝日新聞DIGITALよりリリースされています。
帳簿や通帳などの財務資料から犯罪を見抜く「財務捜査官」が今年4月、約20年ぶりに大阪府警に新たに加わった。浜本典彦・警部補(39)=兵庫県尼崎市=は公認会計士の資格を持ち、大手監査法人からの転身だ。
引用元:大阪)監査法人から転身の浜本さん、府警の財務捜査官に(朝日新聞DIGITAL 2019年5月17日付)
記事によると、監査を通じて汚職などの経済事件に興味を持つようになり、より真相に近づける捜査権を持つ財務捜査官への転職を決めたそうです。大阪府警では、詐欺や横領などの知能犯罪を扱う捜査2課に所属し、来年4月から財務捜査官としてデビューする予定とのことです。
監査法人での経験が、高度多様化する贈収賄事件、詐欺事件の解決にどう生かされるのか、活躍が楽しみです。
会計士男が女子中学生にわいせつ未遂
- 会計士の男、マンションで女子中学生に抱きつく(讀賣新聞オンライン 2019年5月21日付)
会計士の活躍に関するニュースが連日続く中、あってはならない事件が起きてしまいました。
今回、会計士の男性が女子中学生への強制わいせつ未遂の疑いで逮捕されたという記事が、讀賣新聞オンラインよりリリースされています。
女子中学生にわいせつな行為をしようとしたとして、警視庁調布署は21日、東京都調布市、公認会計士の男(32)を強制わいせつ未遂の疑いで逮捕した。
引用元:会計士の男、マンションで女子中学生に抱きつく(讀賣新聞オンライン 2019年5月21日付)
記事によると、5月12日午後5時頃、調布市内のマンションのエレベータにおいて、乗り合わせた住人の女子中学生が降りた際に、後ろから抱きつきわいせつな行為をしようとした疑いで、会計士の男性が逮捕されました。会計士の男性は容疑を認めているそうです。
社会的に決して許されることではなく、被害に遭われた女子中学生や保護者の方の心情は察するに余りあります。一方で、会計業界の繁忙期の真っ只中に起きてしまっただけに、会計士の所属する法人への影響も懸念せずにはいられません。
AIで変わる企業の評価方法
- 良い会社こう見つける(日本経済新聞 2019年5月21日付)
AIの時代、監査そして企業の評価方法はどこまで変わるのでしょうか。
今回、監査法人PwCあらたパートナー久保田正崇氏が思い描く、人工知能(AI)を使ったリアルタイム監査に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
そしていま会社という存在が社会や経済に与える影響はかつてなく複雑になった。力を有効活用するには決算依存ではない、時代にあった評価の物差しがいる。現代の会計士、投資家が動き出した。
監査法人PwCあらたのパートナー、久保田正崇氏は人工知能(AI)を使ったリアルタイム監査の時代が来ると思い描く。
引用元:良い会社こう見つける(日経新聞 2019年5月21日付)
記事によると、同監査法人は全職員にデジタル研修を実施し、データ解析などIT利用の場面を増やすことで、AIによるリアルタイム監査への助走を始めているそうです。また久保田氏は、経営者の発言、転職サイトへの従業員の書き込みといった非財務情報を加味することで、不正発見能力がアップすると指摘しています。
記事ではさらに、世界最大の資産運用会社の米ブラックロックの評価手法を挙げ、評価の対象は決算書だけではないとも言及しています。
今まで監査現場で扱われなかった情報を集めて、会社の実態面を把握することで、数字からは見えない会社の別の側面を知り、投資家が求める深度のある監査ができるようになるかもしれません。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)