KPMG英国で大企業の非監査業務を中止、監査報告書の長文化に議論過熱など2件:今月の会計士業界ニュース(2018年11月その2)

  • 2018/11/20

2018年11月6日、9日に、非監査業務、監査報告書などに関するニュースがリリースされています。

KPMGが英国大企業のコンサルティングなど非監査業務を中止、監査報告書の長文化に議論過熱などの記事を幅広くご紹介します。

KPMG、英国で大企業のコンサルティングなど非監査業務を中止

国内の四大監査法人が発表した直近2017年度の『業務及び財産の状況に関する説明書類』によると、業務収入に占める非監査証明収入の比率は、あずさが21.18%、EY新日本が16.02%、トーマツが29.5%、PwCあらたが48.59%と高い比率を占めています。

その非監査証明業務について、今回、KPMGが英国の会計監査を手がけている大企業を対象として、コンサルティングなど非監査証明業務の提供を中止するという記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

国際会計事務所のKPMGが、英国で会計監査を手掛けている大企業に対し、コンサルティングなどの非監査業務の提供を中止する見通しになった。複数の英メディアが8日に報じた。様々な企業向けサービスを展開する監査法人を巡っては、複合的な役務の提供が利益相反を生むとの批判が出ていた。監査業務に集中することで透明性を高める狙いがある。

引用元:KPMG、英で監査以外の役務制限へ ビッグ4初(日本経済新聞 2018年11月9日付)

記事によると、英財務報告評議会が6月に公表した報告書の中で、KPMGに対して「監査の質低下は受け入れがたい」と指摘していたことなどが背景にあったようです。

今回の非監査業務の制限はKPMGの英国に限った話ですが、今後、日本にも影響が波及することになるのでしょうか。非監査証明業務は、四大監査法人の屋台骨と言えるほど高い収入比率を占めているだけに、行く末が気になります。

監査報告書の長文化に議論過熱

不適切会計の発覚で監査人に説明責任が求められる中、監査意見の形成過程を透明化するために、監査報告書を従来の短文式から長文式へと改正するための検討が重ねられてきました。

今回、監査報告書の新たな開示ルールの実際の運用に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

金融庁主導で検討が始まった新たな開示ルールを巡り、監査法人などからは早速、戸惑いの声が上がっている。ありきたりな監査報告書に慣れきった公認会計士にとって、企業それぞれについて具体的な意見を求められるとなれば、心理的な負担感が大きい。「金融庁がどこまで本気なのか見極めないといけない」(大手監査法人幹部)と今後の議論の行方をうかがう。

引用元:監査法人・企業に戸惑い リスク情報開示に抵抗も(日本経済新聞 2018年11月6日付)

記事によると、新たな開示ルールでは意見不表明などの詳しい理由が分かるため投資家にとってはメリットがある一方で、企業が自ら都合の悪い情報を開示せざるを得なくなり、企業と監査法人が戸惑いを感じているとしています。

また、11月2日に開かれた「会計監査についての情報提供の充実に関する懇談会」に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

問題は「不適正」や「意見不表明」のケースだ。監査報告書での意見は決算内容が正しいかどうかを示すもの。そのため現在は監査法人が判断した理由などを詳しく、主体的に発信する手段は限られている。金融庁は今後、判断の理由についても詳しく説明するよう求めていく方針だ。

引用元:「不適正決算」判断の理由詳細に 監査法人に説明責任 (日本経済新聞 2018年11月6日付)

記事によると、監査人は被監査会社と守秘義務契約を締結しており、正当な理由としてどこまで情報を提供できるかが焦点となっていると説明しています。

なお、新しい監査報告書の実施時期ですが、今回話題になった「監査上の主要な検討事項」については、平成33年3月決算にかかる財務諸表の監査から適用となります。

標準化された監査報告書での報告に慣れていた公認会計士にとって負担は大きなりますが、監査がより投資家にとって分かりやすいものになり、投資の意思決定に資することは、監査業界にとって歓迎すべきことと言えるのではないでしょうか。

(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧

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