監査法人に何年いるべきとか、いつまでいるべきとか関係ない-スタートアップの会計士が語った会計士の強みとキャリア【第6回・公認会計士ナビonLive!!(5)】

  • 2017/3/21

来る2017年3月25日(土)に東京・日本橋にて「理想のキャリアの見つけ方、会計士にブルーオーシャンはあるのか?」「独立・開業を選んだ会計士たちが語る、独立の苦楽や戦略」をテーマに第7回・公認会計士ナビonLive!!が開催されます。

本記事では第7回の開催に向けて昨年8月に開催された第6回・公認会計士ナビonLive!!の内容を振り返ります。

第6回 公認会計士ナビonLive!!の第2部トークセッションでは、「公認会計士とベンチャー・スタートアップ」をテーマに、スタートアップ業界で活躍する4名の公認会計士とSkyland Venturesファウンダーの木下慶彦氏が、それぞれのキャリアやスタートアップ業界での会計士の活躍フィールドについて語りました

※本記事はセッションでの発言を一部補足・編集した記事となっております。

第6回 公認会計士ナビ on Live!!
~公認会計士×「FAS・コンサルティング」「ベンチャー・スタートアップ」~

【日時】 2016年8月20日(土)13:30~16:30
【場所】 野村コンファレンスプラザ日本橋6階
【第2部 トークセッション テーマ】ベンチャー・スタートアップ×公認会計士
【登壇者】
・寺谷 祐樹(株式会社ミクシィ チケットキャンプ事業部長 兼 株式会社フンザ取締役)
・高木 悟(freee株式会社 クラウドバックオフィスコンサルタント 公認会計士)
・納富 隼平(大手監査法人系ベンチャーサポート会社 事業開発部)
・川村 卓哉(株式会社百戦錬磨 管理部 マネージャー 公認会計士・中小企業診断士)
【モデレーター】
・木下 慶彦(Skyland Ventures 代表パートナー)

※登壇者の役職、肩書等はイベント開催時のものです。

会計士に戻るつもりはない。ハマる仕事に出会えれば、仕事は本当に楽くなる。

第6回 公認会計士ナビonLive!!納富氏“ width=

納富 隼平

大手監査法人系ベンチャーサポート会社 事業開発部

2009年明治大学経営学部卒、2011年早稲田大学大学院会計研究科修了。大学院在学中の2010年に公認会計士試験合格。大手監査法人で大手電機メーカーを中心に会計監査に携わった後、大手監査法人系ベンチャーサポート会社に参画。各種ベンチャーイベントの企画・運営に携わる。得意分野は衣食住等、ライフスタイル系のBtoCサービス。

※役職等はイベント開催時のものです。
また、講演は所属会社を代表するものではなく、個人に帰属します。

 

あずさ監査法人から大手監査法人系ベンチャーサポート会社へと転職し、スタートアップ業界で注目度の高いピッチイベントを始めとした数々のスタートアップイベントの運営や、スタートアップの支援を行う納富氏。本セッションでは、スタートアップの“支援者”としての仕事をライフワークとして見出した経緯や会計士としてのキャリア観について語ってくれた。

素晴らしいベンチャーが認知されていないのは日本経済の損失。スタートアップの支援者としてどんな仕事をしているのか?

現在の仕事では「会計にはまったく携わっていない」という納富氏。まずは現在どのような仕事を行っているかを語ってくれた。

私個人の仕事としては、会計:会計以外の仕事でいうと、ほぼ0:100です。会計関連の仕事はほぼ行っていません。修了考査も受かっているのですが会計士登録もしていなくて、多分、一生、会計の仕事はしないんじゃないかな…と。

今の仕事で多いのはマーケティングで、特にイベントマーケティングをやっています。イベントをどんどん開催して…ということなんですけど、何のためにやっているかというと、ベンチャー支援のためのイベントマーケティングなんですね。

「ベンチャー」というとカッコよく聞こえるんですけど、言い方を変えるとベンチャーって零細企業でもあって、そうするとまだまだ皆さんに知られていない企業ばかりだと。

そうゆうベンチャーのことなんて知らなくて良い、ではなくて、ベンチャー企業のことをみなさんが知ってくれたら世の中がもっと元気になったり、楽しくなったりすると思っていて、逆に、知られていないことは日本経済の損失だと思っているんですね。

ですので、大企業にベンチャーを知ってもらうためのイベントや、一般の方々や消費者の方に知ってもらうためのプレゼンイベント、ベンチャーへの転職希望者の方々に向けてのマッチングイベントをやったりと、別にイベントにこだわっているわけではないんですが、そうゆう面からいろんな人たちにいろんなベンチャーを知ってもらって、日本経済を良くしようということをしています。

また、支援者として活躍する納富氏だが、会計士としての経験から、会計士がスタートアップで必要となるタイミングについても語ってくれた。

ベンチャー企業の場合、社長はプロダクトを作って、それを売っていくのがメインの業務になりますので、会社のことをまわしていく、管理・運営していくということが苦手な社長は実は意外と多いんですね。CEOなんですけど社長業が苦手、みたいな(笑)

そうすると、最初5人とか10人くらいのメンバーでやっている時はプロダクトを作るのに一生懸命で、会社の裏側とか管理ってわりとおざなりに、後回しになってしまうことが多いんですね。

まぁ、ベンチャーはそれくらいで良いと思うんですけど、メンバーが20人くらいになって会社っぽくなってきて、これから上場しようってなってくると、だんだんバックオフィスの話とか、組織をうまくコントロールしていくとか、数字の話をしなければならないってことが増えていくんですが、そこで会計士の必要性が出てくる感じです。

会計士って数字を見たりとか、体制を整えたりとかそうゆうことをやってきた人たちですから、そこで会計士の経験が活きやすい仕事が出てくるというイメージを持ってもらうと良いかなと思います。

会計士には戻らない、ハマる仕事を見つけたら仕事は本当に楽しいし、QOLも上がる

会計士資格を持ちながらも会計の仕事をほとんど行っていないという納富氏。将来のキャリアについてはどう考えているのか?という質問に対してこう答えた。

会計とか監査の仕事に戻りたいかというと、今の仕事、マーケティング寄りの仕事のほうが楽しいので、会計士としての仕事には戻らないかな、というのが正直なところですね。

かと言って、将来何をしたいかっていうと、特段これをやりたいというのはないんですけれど、今の仕事が好きでスタートアップの人たちに負けず劣らず仕事をしていたいタイプなので、今の活動を続けていきたいなと。

一方で、今の活動にこだわっているのかというと、そうではなくて、そうゆう意味では、もしかしたら起業したいことが見つかるのかもしれないし、ベンチャー企業に入ってCFOかCOOかわからないですけれども、そうゆう風になるのかなとも思ったりという感じです。やっぱり毎日ベンチャーの人たちに何人も会っているといろいろと感化される部分もあるんですね。というわけで、将来どうなるかはニュートラルですかね。

また、納富氏は、会場の参加者に対して「会計士という資格に囚われず、やりたいことを見つけて欲しい」と呼びかけた。

私もそうだったし、私の周りの人もそうだったんですが、スタートアップに限らずなんですけど、ハマる仕事を見つけると仕事ってすごい楽しいんですね。

私も今の仕事になってからは、会社の近くに引越したり、家に帰ってからメッセとかで仕事の連絡が来たりしても返信するのはまったく苦じゃなかったりして、趣味を仕事にしたようなところがあるので、そうすると仕事していても苦じゃないし、さっきワークライフバランスという話もありましたけど、むしろ、ワークワークバランスとでも言うのか、仕事のバランスしかとらないみたいな生活になってます。

こう言うと、「仕事のことばかり考えていてしんどくないんですか?」みたいな話になるんですけど、仕事がめっちゃ楽しいので、自分的には、監査法人で監査していたときよりもQOL(Quality of Life)はすごい上がってるんですよね。

ベンチャーとかスタートアップ界隈で働いている人は、もちろん従業員とか経営者って色々立場は違うんで一概には言えないんですけど、自分で選んでこれやりたいってことをやってる人で、思いっきりやってる人っていうのは、QOL高くて楽しそうに活きていて、そうゆう生き方はお勧めだと思うので、みなさんには会計士とかそうゆう枠に囚われずにやりたいことを探して欲しいなって思います。

監査法人に何年いるべきとか、いつまでいるべきとか関係ない-スタートアップの会計士が語った会計士の強みとキャリア

第6回 公認会計士ナビonLive!!寺谷氏“ width=

寺谷 祐樹

株式会社ミクシィ チケットキャンプ事業部長 兼 株式会社フンザ取締役

大阪府出身、1985年生まれ。2010年公認会計士試験合格後、新日本有限責任監査法人金融部にて国内外大手投資銀行への監査業務およびアドバイザリー業務に従事。スマイルワークスで執行役員としてセールスマーケティングの統括を経て2015年1月、ミクシィ入社。経営推進本部にてM&Aの戦略立案と実行を担い、チケットキャンプを運営するフンザ買収を遂行。2016年4月1日より、株式会社ミクシィ チケットキャンプ事業部長 兼 株式会社フンザ取締役。大阪大学基礎工学部電子物理科学科卒。

※役職等はイベント開催時のものです。

新日本監査法人金融部から、スタートアップの執行役員を経て、ミクシィでのM&Aやベンチャー投資、チケットキャンプで有名な子会社・フンザの取締役を務める寺谷氏。自身の経験から、スタートアップで活きる会計士の強みや、会計士のキャリア論について語ってくれた

会計士の経験として活きているのは“数字からものを考える”ということ

大手監査法人の金融部からスタートアップへとキャリアチェンジした寺谷氏。金融部で身につくスキルは一見、スタートアップでは役に立たないように思えるが、スタートアップでも活きた経験やそもそもの会計士の基礎スキルの有用性を語った。

今は事業部長としてチケットキャンプという事業全体を見ているので、細かな会計業務というのはほぼやっていないのですが、買収当初のフンザはバックオフィスメンバーがゼロだったこともあり、暫くの間は月次の請求書処理なども行っていました。

監査法人を離れてもそこでの経験はもちろん活きています。事業を運営していく上で、財務諸表上の数字のみならず、例えばマーケティングの各種KPIやカスタマーサポートのパフォーマンスを判断する際なども、その数字が良いのか悪いのかを正しく判断する力が知らぬ間に養われていたことを感じています。実務での経験だけでなく、受験勉強の時の経験も含めてという感じです。

また、M&Aできる会社を探したり、実際にそういう話が出てきた際には案件として進めていくことになるのですが、対象企業の財務諸表のどこがポイントとなるのか、どのように企業価値を評価することがベストなのかを考え抜かなければなりません。そういった時には頭を一気に会計やファイナンスモードに切り替えています。

また、監査法人時代には、将来のキャリアを意識して仕事に取り組んでいたとも語った。

監査法人での経験が実際に活きたという場面はたくさんあります。試験を終え監査法人に入所したときには既に、将来は投資・経営の仕事をしたいという明確なイメージがあったので金融部を選び、投資銀行の仕事ばかりを希望して担当していました。

投資銀行がプリンシパル(自己勘定)で投資している案件の事業計画やバリュエーションを見たり、その投資先企業がイグジットして東証に上場する案件を担当させてもらったりですとか、もちろん一般的な監査も経験はしているのですが、未公開株式やデリバティブ、仕組債などの評価を担当することが自分の将来に繋がると勝手に予想して積極的に手を上げていました。

そういった経験もあって、「数字からものを考える」という部分は監査法人を辞めてからもすごく活きた点だと思っています。ビジネスの現場では、プロダクトからものを考えるとか、マーケットからものを考えるとかあると思うんですけど、今、事業をやっている上で、P/Lからものを考えるクセがついていて、例えば、事業のある部分で5,000万円の費用がかかっていて、ここを私が交渉して何%下げたらいくらのコストダウンでその分営業利益がいくら上がって、その分で人を何人採用でき、それによって事業が…と意思決定の最初に自然とP/Lが来る思考ができるようになったのは良かったと思っています。

監査法人に何年いるべきとか、いつまでいるべきとか関係ない。意思決定は早い方が良い。

第6回 公認会計士ナビonLive!!寺谷氏

会計士は何を基準にキャリアを選んだら良いのか?寺谷氏は、監査法人時代の自身の経験や価値観から語ってくれた。

会計士が将来を考える時、会計士として生きていきたいのか、それとも、何かやりたいことを目指す中に会計士の経験が活きてくるとかその知識が役立つと考えるか、それ次第かなと思ってます。
私自身は、もともと会計士になりたくてなったのではなく、知識や経験を得るためのファーストキャリアと考えて会計士を選んだんですね。

なので、私が今後監査法人に戻ることはまずないですし、実は修了考査も過去3回申し込んで受験料も払ったのに3回とも受けに行かなかったくらい(笑)

そんな感じだったので、監査法人にいる時は、朝起きた時に「あー、今日は仕事行くのダルいな」とか思ってたんですが、転職してスタートアップ業界に入ってきた瞬間に、ダルいとか仕事行きたくないとかぱたりとなくなって、いつでも自社プロダクトの数字を見れるようにスマホを設定して、朝起きた瞬間に寝てる間の数字をチェックして、よし早く会社に行こうとか、とことん仕事するために会社の近くに引越したりしてるんですね。
なので、そういった生き方ができるかどうかというのも、仕事選びにおいて重要な判断軸ではないかなと思います。

また、寺谷氏は、最後に、会計士業界でよく言われる“監査法人にいつまでいるべきか”という話題にも言及した。

今日は監査法人にいらっしゃる方がたくさん来られているかと思うんですけど、私がいた時も周りには、将来は投資銀行に行きたい、スタートアップやベンチャーキャピタルに行きたい、とか言ってる人は多かったんですね。

そうゆう時によくみんなが話すのが、監査法人って何年いるべきか、いつ辞めるべきなのか、スタッフなのかシニアなのか、いや、マネージャーになってからだとか、そうゆう議論ってしょっちゅう行われていると思うんですけど、私が出ていった結果として見えた結論としては、別にいつでも良くて、いつでも良いんだったら、監査法人でやることがなくなったら早いほうが良いし、時は金なりではないですけれど、意思決定はとにかく早いほうが良いと思います。

私自身も監査法人から飛び出してみて、今は周囲がスタートアップやベンチャーキャピタルにいる、本当にすごい、次元の違うような人ばかりなので、そんな人たちと仕事したり飲んだり、毎日がすごく面白いです。

あと、もうひとつは、今の世の中って、どこで何年働いてたとかそうゆう世の中じゃなくなってきているので、中途半端に自分の実力が伸びない1年間を過ごすのは無駄なのかなと。実力が伸びる1年間にするにはどうするべきなのか考えて、実力さえついていれば何回転職をしようと仕事もあるし、良い誘いもかかります。

常に視座を高く保ち続けて、転職もそうですが日々の生活を考えていけば、5年後とかにはもっと毎日が充実して面白くなっているんじゃないかなと思いますし、私も今後もそんな感じでやっていこうかなと思っています。

【残席わずか!】第7回 公認会計士ナビonLive!! 間もなく開催!

第7回 公認会計士ナビonLive!!が2017年3月25日(土)東京・日本橋にて開催されます。ご興味のある方は下記お申込みください!(先着・50名限定です)


 

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