2020年10月の会計業界の注目ニュースをまとめました。
2020年9月28日、10月26日にリリースされた「CPE不適切研修の処分年内に結論」「EY JapanのD&I推進について会長語る」「オリンパス旧経営陣に594億円賠償確定」の3件のニュースをご紹介します。
CPE不適切研修の処分年内に結論
今年9月7日に、あずさ監査法人がeラーニングを利用した不適切な研修受講が行われたと発表しましたが、その後会計士の処遇などどうなったのでしょうか。
今回、日本公認会計士協会の手塚正彦会長への不適切な研修受講問題に関するインタビュー記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
日本公認会計士協会の手塚正彦会長は28日の記者会見で、公認会計士による不適切な研修受講の問題に関して、事実確認や法令・会則等の違反の有無について「年内に結論を出す」と述べた。
引用元:会計士協会会長、不適切研修の違反の有無「年内に結論」(日本経済新聞 2020年9月28日付)
記事によると、会計士の処分については独立性を担保するため協会の執行部を除いた会議で検討するということで、手塚会長より処分までは時間がかかると認識が示されたと伝えられています。
それなりの人数の会計士が不適切な研修受講をしていたということで、皆がやっているから大丈夫だと思ってしまったのかもしれません。どの程度厳しい処分が下されるのか、注目が集まります。ご興味のある方は以下をご参照ください。
EY JapanのD&I推進について会長語る
女性活躍推進や障がい者活躍推進など、大手監査法人ではD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)に対する取り組みが進められていますが、どの程度活用され、浸透しているのでしょうか。
今回、EY Japan会長兼CEO辻氏にD&Iの施策やニューノーマルの働き方についてインタビューした記事が、Human Capital Onlineよりリリースされています。
しかしD&Iを企業のコストととらえていては、目的は達成できません。業績が悪化してコストを負担できなくなったら、取り組みをやめてしまうからです。企業のD&I推進の基本はそこではありません。D&Iは「利益を上げ、成長して付加価値を上げ、雇用を増やす」という企業の社会的責任と合致するものだ、ということに気づかないといけないのです。
引用元:D&I推進はコストにあらず、企業価値向上の原動力――EY Japan辻会長兼CEO(Human Capital Online 2020年10月26日付)
記事では、D&I推進が企業の成長戦略に直結するとした辻氏の基本理念や、ペーパーレス化が女性の活躍にプラスに働いた点や、今後の人材戦略やオフィス改革についてインタビューが行われています。
それぞれの立場の人がワークライフバランスを実現しながら働ける業界になりつつあることを、実感できる記事になっています。ご興味のある方は以下をご参照ください。
オリンパス旧経営陣に594億円賠償確定
オリンパスは2011年に粉飾問題が発覚し、2012年7月6日付で金融庁によりあずさ監査法人と新日本監査法人に対して業務改善命令が下されました。その後、旧経営陣に対する訴訟が続いていましたが、ようやく終わりを迎えたようです。
今回、オリンパスと個人株主に対する旧経営陣の594億円の損害賠償確定に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。
オリンパスの粉飾決算事件に絡み、同社と個人株主が旧経営陣らに損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(池上政幸裁判長)は26日までに旧経営陣側の上告を退ける決定をした。同社などの上告は受理しない決定をし、菊川剛元社長ら3人に総額約594億円の支払いを命じた二審・東京高裁判決が確定した。
引用元:オリンパス粉飾 旧経営陣、594億円の賠償確定(日本経済新聞 2020年10月26日付)
記事によると、一審では旧経営陣と相続人らに約590億円の損害賠償を命じており、その後東京高裁で地裁判決の一部を取り消した上で改めて菊川元社長ら3人の賠償責任を認めていたと伝えられています。
事件発覚から10年たち、ようやくオリンパス粉飾決算事件に終止符が打たれました。ご興味のある方は以下をご参照ください。
(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧)