本日、令和4年11月18日(金)、令和4年(2022年)の公認会計士試験の合格者が発表されました。
合格者の皆様、おめでとうございます!
また、今年惜しくも合格とならなかった皆様に関しましては、次回はきっと良い結果となりますよう祈っております。
さて、本記事では、毎年恒例、合格発表の内容を速報していきます。
まず、今年度の合格者に関する概要は下記の通りです。
令和4年公認会計士試験 合格者の概要
【願書提出者数】 18,789名(昨年の14,192名から4,597名の増加)
【合格者数】1,456名(昨年の1,360名から96名の増加)
【合格率】 7.7%(昨年の9.6%から1.9%減少)
【合格者最高年齢】58歳
【合格者最低年齢】17歳
【合格者の平均年齢】24.4歳
【合格者性別】男性1,129名、女性327名(合格者の女性比率22.5%)
●30歳未満(20代・10代)の合格者比率:88.4%
●大学(および短大)在学中の合格者比率:44.1%
合格者数と合格率
合格者数は1,456名!合格率は7%台へと低下
本年の公認会計士試験(論文式)における合格者数は1,456名となりました。また、合格率は7.7%でした。
この結果は、昨年と比較すると、合格者数は96名の増加となり、合格率は1.9%の低下となっています。
合格者数に関しては、平成27年(2015年)に1,051名で底を打って以来、徐々に増加し、近年は1,300名台で推移していましたが、今年は1,400名を超える結果となりました。
また、合格率はここ7年は10~11%で安定的に推移していたものの、今年は7.7%と大きくダウンし、10年ぶりの低水準となっています。
【図1:直近20年間の合格者数と合格率】
願書提出者数
会計士人気も回復!?願書提出者数も順調に増加!
本年の願書提出者の総数は18,789名でした。
願書提出者の総数は7年連続の増加となりますが、本年は昨年の14,192名と比較すると4,597名の大幅な増加となっています。
ここ数年は、かつて減少トレンドにあった願書提出者数が継続的に増加しており、一時期低迷していた会計士人気も再び高まりつつある状況でしたが、急激に会計士志望者が増えているのは注目すべき点だと言えるでしょう。
一方で、志望者が大きく増えたものの、合格者数の増加はそれほどであることによって、合格率が低くなるという側面も見られます。
【図2:直近20年間の公認会計士試験 願書提出者数の推移】
合格率と平均年齢
合格者の平均年齢は24.4歳!学生合格も珍しくない時代に
本年の合格者は、88.4%が30歳未満での合格、平均年齢が24.4歳、大学在学中の合格者の比率が44.1%となっています。
合格者の平均年齢は、本年は24.4歳と昨年に続き25歳を切っており、また、合格者の半分近い44.1%が大学(および短大)在学中での合格でもあり、近年の公認会計士試験では、若い年齢での合格者が一般的に見られる状況となっています。
本年と昨年の比較
- 合格者の平均年齢:24.4歳 → 昨年度は24.5歳
- 合格者最高年齢:58歳 → 昨年度は60歳
- 合格者最低年齢:17歳 →昨年度は19歳
- 30歳未満の合格者比率:88.4% →昨年度は86.9%
- 大学(および短大)在学中の合格者比率:44.1% →昨年度は44.4%
ここ数年、若手の合格者が増加したことによって、若い会計士の活躍や露出も増え、公認会計士という存在が若者へより身近となり、会計士を目指す若者も増えているという好循環ができていると考えられます。
また、公認会計士試験は合格できなかった場合のリスクがありますが、大学在学中など早いタイミングからチャレンジしていれば、合格できなかった場合にも早期に軌道修正を行うことができるため、受験者側のリスク低減につながる側面もあるかと思います。
そういった点からも合格者の平均年齢が下がることによって、若者が魅力を感じる資格、若者がチャレンジしやすい資格とのイメージがより強くなり、会計士試験のさらなる人気上昇につながっていくかもしれません。
公認会計士業界関係者としては、この好循環が今後も維持されることを願います。
試験合格者に占める女性人数・比率
女性合格者数は今年は327名、女性比率は22.5%
試験合格者に占める女性人数と女性比率の推移は以下の通りです。
今年は、女性327名が合格、女性比率22.5%となりました。
長期トレンドでは、合格者に占める女性比率は10%台後半で推移し、今年は昨年の21.8%から0.7%上昇し、22.5%となっています。
また、女性合格者数に関しては、今年は327名と300名を上回る結果となりました。合格者の総数が3,000名を超え、女性も600~700名が合格していた時期と比較すると合格者数ではまだまだ見劣りはしますが、近年は、300名前後は安定的に輩出される状況が続いています。
近年は、働き方改革が推進されたことによって、監査法人においても女性が勤務しやすい環境が以前よりもさらに整ってきています。また、世の中のリモートワークの普及、出産・子育て環境の整備などにより、監査法人以外の会計ファームや事業会社においても、男女問わず家庭と仕事を両立しやすい勤務先も少しずつ増えつつあります。
今後、より女性が活躍しやすい環境が整備されることによって、女性の受験者や合格者がさらに増えていくことが期待されます。
【図3:直近17年間の合格者に占める女性人数と女性比率の推移】
監査法人の採用・合格者の就職活動
監査法人就活は今年も合格者優位!?引き続き高い人材需要を維持
会計士試験に合格された方々は次は就職が気になるところかと思います。
本年も監査法人業界では引き続き人手不足の状況が続いているため、今年も合格者(就職希望者)の方々が優位な売り手市場になると予想されます。
一方で、売り手市場であるということは、買い手(採用側)にとっては、リクルート活動における競争が厳しいということとなります。先日も大手監査法人間で結ばれている就職協定に関して、離脱する法人が出てくるなど、ひと騒動となったのは記憶に新しいかと思います。
合格者の皆様にとっては、法人によって選考スタンスが異なることにやりにくさもあるかもしれませんが、全体を見れば、大手、準大手、中小いずれの監査法人も採用に対して積極的で、多くの監査法人を見て、多くの情報を得られる貴重な機会であることは変わりありませんので、納得の行く就職活動を行い、充実した会計士キャリアをスタートして頂ければと思います。
※本文中のデータは金融庁の「令和4年公認会計士試験 合格者調」「令和4年公認会計士試験の合格発表の概要について」を参考に作成。
※願書提出者数、合格者数、合格率等、本文中の数字は短答式試験みなし合格者、旧第2次試験合格者を含んだ数字で算出しています。