公認会計士の転職活動・キャリアに関するQ&Aです。
Q:ブラック監査法人から内定を貰いました。入社すると今後の転職にも影響はありますか?
ブラック監査法人と言われる資本市場で評判の良くない監査法人に就職した場合、キャリアを大きく毀損し、その後の転職活動も大きく不利になります。会計業界(監査法人や会計系コンサルティングファーム)はもちろん、上場企業の経理職などに転職する際にも不利になりますので、そういった監査法人に就職する場合は注意が必要です。
ブラック監査法人とは?
「ブラック監査法人」とはどのような監査法人を指すのでしょうか?一般的に「ブラック企業」と言うと、労働基準法を始めとする各種法令を順守していなかったり、コンプライアンス体制に問題があったりするなど、「労働環境が過酷な企業」や「長期勤務が難しい企業」を指す傾向にあります。
しかしながら、監査法人の場合は違うニュアンスで語られることが多く、「ブラック監査法人」というと「問題のある上場企業を監査している監査法人」「監査の体制やクオリティに問題のある監査法人」のことを意味する傾向にあります。
具体的には、「半市場勢力や仕手筋が株主で入っている、もしくは、入っていると噂されている企業」や「上場廃止基準に抵触している、もしくは、抵触しそうな企業」の監査を行なっている監査法人が「ブラック監査法人」(もしくは、「受け皿監査法人」など)と呼ばれます。
ブラック監査法人の労働環境
ブラック監査法人の労働環境に関しては、「ブラックだから労働環境も過酷なのでは?」と思われがちですが、ひと言に「ブラック監査法人」と言ってもさまざまな監査法人がありますので、一概にそうとも言えません。業務量や勤務時間に関してだけ言えば、BIG4監査法人など大手監査法人の方が業務量も多く、体力的には大変なことも少なくありません。
ただし、ブラック監査法人の労働環境には下記のような特徴が見られる傾向があります。
- 従業員を正社員ではなく、契約社員や業務委託、非常勤社員として雇用している
- 年収が公認会計士の平均よりも著しく低い
- 社歴の浅い公認会計士が上場企業(金商法監査)のインチャージを行なっている 等
このように、ブラック監査法人の労働環境は必ずしも激務ではないものの、一般的な監査法人と比較すると違和感がある点が複数見受けられます。
ブラック監査法人での勤務経験はどう評価されるのか?
ブラック監査法人での勤務経験に関しては、転職市場ではほとんど評価されず、むしろ大きくマイナスとなる傾向にあり、(ブラック以外の)監査法人、コンサルティングファーム、上場企業のいずれにおいても、ブラック監査法人の出身者は門前払いとなってしまいます。
これには、ブラック監査法人に在籍しているというだけで、本人の倫理観やコンプライアンス意識に疑問符がついてしまうこと、また、ブラック監査法人出身者を採用することによって企業側の健全性も問われることなどが理由として挙げられます。
つまり、「ブラック監査法人での社歴が履歴書に載るだけで、経験内容問わず大きく評価が下がってしまう」のです。
監査法人に就職できないからと言って「とりあえずブラック監査法人に就職する」のは避けるべき
公認会計士試験に合格してからの就職活動で監査法人から内定を貰えなかった際などに、「ブラック監査法人でもいいからとりあえず監査経験を積んだほうがいいかも」と考えて、ついブラック監査法人に就職してしまう方もおられるかと思います。
しかしながら、上述のように、ブラック監査法人は在籍するだけで経歴的に大きなマイナスとなりますので、安易に就職することはオススメできません。仮にそういった選択をするのであれば、どんな中小企業でもいいので経理職として就職し、最低限の経理実務経験を積みながらTOEICやUSCPAを取得してキャリアアップを目指すほうが賢明な選択であると言えます。
監査法人への就職の際は、しっかりと情報収集を行い、冷静な判断をするよう心がけましょう。
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